医療介護CBニュース -キャリアブレインが送る最新の医療・介護ニュース-

医療介護CBニュース


政府(厚労省他)


厚労省課長「自然増削減すると医者か患者が泣く」

ソーシャルブックマーク: Yahoo!ブックマークにに追加 はてなブックマークに追加 この記事をlivedoorにクリップ! この記事をdel.icio.usに登録する

 厚生労働省医政局指導課の新村和哉課長は10月18日、日本医療・病院管理学会学術総会のシンポジウムに出席し、医療費の自然増を削減すれば、「医療機関や医者が泣くか、患者が泣くかだと思う」と述べ、高齢化や医療技術の進展に伴う医療費の自然増を削減することに否定的な考えを示した。一方、財務省主計局の可部哲生主計官は、「この10年間の人事院勧告や物価が5%程度のマイナスになっているのに、診療報酬のマイナスは0.4%程度」などと述べ、診療報酬の配分見直しなどによる適正化を訴えた。

【関連記事】
入院基本料「1点引き上げると相当な金額に」
「医療費配分は診療所有利」−中医協会長
中医協、診療報酬改定めぐる議論開始
診療報酬改定めぐる議論、政権交代で先見えず
診療報酬と医療提供体制「関係が大きく変化」―医療保険部会

 シンポジウムで新村課長は、診療報酬改定が2002年度以降、4回連続でマイナス改定になった点に言及し、「国民医療費を単純に30兆円とすると、2兆4000億円のカット。これを経済産業省に話すと、『産業が一つなくなったくらいの規模だ』と言っていた」と述べた。その上で、民間病院の近年の経営状況について、「累次にわたる診療報酬カットが効いたと思うが、非常に厳しい。今年度にはさらに赤字病院が増えた」などと強調した。

 また、大腸・直腸ファイバー検査の実施件数が、1998年から2008年にかけて倍近くに増えている状況を紹介。「(医療費の)自然増を削減しようとすると、検査回数の増加を絞らなければならなくなる」と述べ、仮に保険適用を検査の一部に限定するなどの措置を取れば、「検査しなければ見つからないがんが見落とされるケースが確実に増える。それをどう考えるかだ」と強調した。

 新村氏は、医療費の自然増について「高齢化で診断・治療が多く行われるようになっていることが、一つの大きな理由ではないかと思う」と指摘した。また、新規の医療技術が国民の健康維持に貢献していれば、「保険で評価せざるを得ない」と強調。自然増を抑えるために診療報酬を削ったり、診療行為の対象患者を限定したりすれば、「医療機関や医者が泣くか、患者が泣くかだと思う」と、こうした方向に否定的な見解を示した。

 一方、可部主計官は、人事院勧告や物価が過去10年間で5%程度下がったのに対し、診療報酬が0.4%程度の削減にとどまっていると指摘し、「(診療報酬は)5%近い実質改善が行われていることを考える必要がある」と述べた。

 可部氏はこの日、「個人の意見」と前置きして講演し、国の一般歳出に占める社会保障関係費の割合が、この30年間で4分の1から2分の1にまで上がっている状況をまず指摘。
 その上で、高齢化の影響などにより医療費の給付増が今後も避けられない中、医師不足などの問題に対応するには、診療報酬の配分見直しや、医療給付の効率化などについて検討する必要があるとの認識を示した。

 診療報酬の配分については、「病院と診療所、診療科間などのシェアは過去10年間、ほとんど変わっていない」「病院と診療所の医師の給与には大きな差がある」などとし、今後は医療機関や診療科が抱えるリスクや、医師の勤務時間などを踏まえて大胆に見直す必要があるとの見解を示した。

 可部氏はまた、「国営医療の英国はともかく、保険医療のドイツやフランスでも地域や診療科ごとの定員制や枠がある」「独仏では、かかりつけ医制度の取り組みも進められている」などと述べ、これらの仕組みの導入も検討すべきだとの認識を示した。


更新:2009/10/19 17:26   キャリアブレイン

この記事をスクラップブックに貼る


注目の情報

[PR] 医師の転職ならCBネット(CBnet)

ログイン-会員登録がお済みの方はこちら-

CBニュース会員登録メリット

気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。

一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を

プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?

キャリアブレインの転職支援サービスが選ばれる理由

【第82回】有賀徹さん(昭和大医学部救急医学講座主任教授) 産婦人科を未受診の妊婦や泥酔者などは、一般的な患者よりも3倍以上、搬送先が決まりにくいという。救急医療に30年以上にわたって携わり、日本救急医学会の理事も務める昭和大医学部教授の有賀徹さんは、こうした搬送者の受け入れを含めて今後の救急医療の ...

記事全文を読む

 へき地医療の施策を決定するため、1956年度以降、国が5年ごとに策定している「へき地保健医療計画」。現在、その計画を実行する上で重要な役割を担っているのが、社団法人地域医療振興協会(会長=高久史麿・自治医科大学長)だ。2001年度に施行された第9次計画では、全国の医療関係者を結ぶ情報サイト「へき地 ...

記事全文を読む

新機能のお知らせ


会社概要 |  プライバシーポリシー |  著作権について |  メルマガ登録・解除 |  CBニュースについて |  広告掲載ついて |  スタッフ募集