原因分析報告書案で議論紛糾−産科医療補償制度
日本医療機能評価機構の産科医療補償制度原因分析委員会(委員長=岡井崇・日本産科婦人科学会常務理事)は10月19日、第8回会合を開いた。仮想事例の模擬部会が行われたこの日は、原因分析報告書案での脳性まひ回避の可能性の記載をめぐって議論が紛糾。第6回会合では明言を避けることで決着していたが、議論は逆戻りし、次回会合で再度検討することになった。【関連記事】
産科補償制度で5事例を初の補償認定
原因分析報告書、概要版をHPで公表―産科補償制度
産科補償制度で初の補償申請
医療事故への真摯な姿勢が国民の理解につながる
原因分析報告書案、大筋で固まる―産科医療補償制度
第3回となるこの日の仮想事例の模擬部会で示された原因分析報告書案では、「児・家族からの情報」の項目に、「分娩で感じたこと、疑問や説明してほしいこと」として、「病院に搬送されていたら、子どもは脳性まひにならなかったのではないか」などが例示された。
脳性まひ回避の可能性の記載については、同委員会の第5回会合で、言及する際の表現方法が検討課題となり、第6回会合で、日本内科学会などが現在実施している「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を参考に、回避の可能性を明言しないことで決着していた。このため、この日示された報告書案では、回避の可能性に関する直接的な表現はなかった。
しかし、これについて、家族からの質問の答えになっていないなどの批判が噴出し、脳性まひ回避の可能性の記載をめぐる議論に逆戻りした。
また、この日同席していた、報告書案を中心となって作成する同委員会の部会員からも意見が出た。部会の田中守委員(慶大医学部産科講師)は、「議論は、中央の委員の方だけで決めてしまわれるのか。部会の構成員であるわれわれも発言できるのか。全部会員のコンセンサスが必要だと思う」と発言。これに対し岡井委員長は、「コンセンサスといっても、立場が違い、考え方も違うと意見も違ってくる。こちらで決めさせていただいて、部会の先生方にお願いするという格好でいいか」と答えた。これを受け、田中委員は「因果関係の問題と、『何かをすべきだった』という問題は違う。そこを一緒に議論しておられる。法律家と医療者は考え方が違うので、もう少し今後議論していただきたい」とクギを刺した。
次回会合は11月9日に開かれる予定。
更新:2009/10/19 23:05 キャリアブレイン
新着記事
- 国産ワクチン接種始まる 医療従事者を優先 ...(2009/10/20 00:00)
- 確保量は全国民分に匹敵 接種回数減で余る可 ...(2009/10/20 00:00)
原因分析報告書案で議論紛糾−産科医療補償制 ...(2009/10/19 23:05)
注目の情報
[PR] 医師の転職ならCBネット(CBnet)
記事を検索
CBニュース会員登録メリット
気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。
一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を
プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?
【第82回】有賀徹さん(昭和大医学部救急医学講座主任教授) 産婦人科を未受診の妊婦や泥酔者などは、一般的な患者よりも3倍以上、搬送先が決まりにくいという。救急医療に30年以上にわたって携わり、日本救急医学会の理事も務める昭和大医学部教授の有賀徹さんは、こうした搬送者の受け入れを含めて今後の救急医療の ...
へき地医療の施策を決定するため、1956年度以降、国が5年ごとに策定している「へき地保健医療計画」。現在、その計画を実行する上で重要な役割を担っているのが、社団法人地域医療振興協会(会長=高久史麿・自治医科大学長)だ。2001年度に施行された第9次計画では、全国の医療関係者を結ぶ情報サイト「へき地 ...
WEEKLY