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支局長からの手紙:誕生「倉工ジーンズ」 /岡山

 1本5500円。9本作って6本が売れました。

 県立倉敷工高ファッション技術科の生徒たちが初めて完成させたジーンズ。おしりのポケットには赤や緑のリボンで「KURAKO」のネームタグがついています。先日、倉敷市児島で開かれた「瀬戸大橋まつり」で即売デビューし、「はき心地がいい」「縫製がしっかりしてる」と褒められました。

 文科省から「目指せスペシャリスト研究開発事業」の指定を受け、同校は地場産業のデニム衣料の研究開発に取り組んでいます。まずデニム生地を織ることから始まりますが、強度の高い織り機を使う必要があるため、プロの助言を受けながら学校の織り機の改造を重ね、昨年末に初めて生地を織りあげました。1反は幅77センチ、長さ50メートル。大人2人で抱えねばならない重さです。

 最初は今春のセンバツで野球部を応援する約40人の吹奏楽部員用のチューリップハットを完成させました。2反目でジーンズへ。指導教諭の林朋子さんと相談しながらデザインを決め、型紙をつくって裁断し、工業用ミシンで縫い上げます。

 業界では「超格安ジーンズ」が話題ですが、倉工ジーンズは縫い糸の色も茶金や赤、ピンクとそれぞれに工夫を凝らし、前ボタンにはファッション技術科3年、西尾浩三君がデザインした「倉」の文字を旋盤で彫り込むなど、一本一本に「手仕事」の味が残っています。

 同科3年の石原裕子さん、佐藤亜衣さん、竹波舞美さん=写真左から=を学校に訪ねました。瀬戸大橋まつりでは販売も受け持ち、お客から「もっといろんなサイズのジーンズをつくって」とはっぱもかけられました。「一つの部分だけでなく、全体のものづくりを究めていきたい」(石原さん)▽「ジーンズが作れると聞いて入学できたのでよかった。自分用のジーンズも作ってみたい」(佐藤さん)▽「『また倉工ジーンズがほしい』とお客さんに思ってもらえるようになればいい。外で倉工ジーンズをはいた人に出会えるといいな」(竹波さん)……。いろいろな思いがふくらむジーンズ作りです。

 3反目は藍(あい)の本場・徳島の天然藍で糸を染め、12月18日に倉敷市民会館で開く同校の研究発表の場で公開できるようにジーンズを作ります。児島の大手ジーンズメーカーで1年間の研修経験を持つ林さんは「今、作り手には『誰にどういうものを提供するか』という企画力とリサーチが求められています。生徒の腕はどんどん上がっており、何を表現するかをさらに考えていきたい」と話しています。【岡山支局長・松倉展人】

毎日新聞 2009年10月19日 地方版

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