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中南米の反米左派各国、仮想通貨「スクレ」導入

10月19日19時19分配信 読売新聞

 【リオデジャネイロ=小寺以作】ベネズエラやキューバなど中南米・カリブの反米左派政権の国々が、2010年から相互の貿易決済に仮想通貨「スクレ」を導入することを決めた。

 ドル基軸体制に揺さぶりをかけるとともに、域内貿易を活発化させて米国への経済依存度を抑える狙いがある。

 スクレを導入するのは、エクアドル、ボリビア、ニカラグア、カリブ諸国など反米左派の経済協力協定「ボリバル代替統合構想」(ALBA)に加盟する9か国。16〜17日にボリビアで開かれた首脳会議で合意し、ベネズエラのチャベス大統領は、「ドルの独裁から自由になるための重要な一歩だ」と強調した。

 当初は各国の通貨を一定比率で組み合わせた仮想通貨を中央銀行間の決済に使い、将来はユーロのような流通貨幣を目指すという。

 ただ、貿易決済に新通貨が導入されても、直ちにドルや米経済依存から脱却できる見通しは低い。ベネズエラとキューバは自国通貨の為替レートをドルと固定し、エクアドルは国内でドルを流通させている。加盟国の多くは米国が最大の貿易相手でもあり、ボリビアのホセ・リベロ輸出業組合会長は「スクレを使う機会は限られる」、キロガ元大統領も「実現性はない」と浸透に懐疑的だ。

 むしろ各国の現時点での主眼は、新通貨計画を打ち出すことで反米各国の結束をアピールし、米国を政治的にけん制する意味合いが大きいと見られている。

 一方で、南米ではアルゼンチンとブラジルが昨年から、二国間貿易を自国通貨で決済できるシステムを導入しており、実際の経済取引で緩やかな脱ドルの兆しも見られる。

最終更新:10月19日19時19分

読売新聞

 

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