大阪市で97年、警護の組員に拳銃を持たせたとして、銃刀法違反(共同所持)に問われた元指定暴力団山口組最高幹部、滝沢孝被告(72)の上告審判決で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は19日、1、2審の無罪判決を破棄し審理を大阪地裁に差し戻した。小法廷は「拳銃所持の共謀を否定した1、2審判決には重大な事実誤認の疑いがある」と指摘しており、差し戻し審では逆転有罪となる可能性が高まった。
滝沢被告は97年9月に宿泊中の大阪市北区のホテル前で、拳銃と実弾を所持した配下の組員2人=ともに有罪確定=に警護させたとして起訴された。大阪地裁は「組員の拳銃所持を認識していたとは認められない」と無罪を言い渡し、大阪高裁も支持したため、検察側が上告していた。
小法廷は「被告は抗争相手から拳銃で襲撃される危険性を十分認識し、配下の組員を警護に当たらせた。組員の拳銃所持を認識し、当然のことと認めていた」と判断した。
同様のケースでは山口組組長、篠田建市=通称・司忍=受刑者(67)が2審で逆転有罪の実刑判決を受け確定。弁護側は「被告の警護は厳重でなく、篠田受刑者とは状況が異なる」と訴えたが、小法廷は「警護態勢はそん色ない」と退けた。
毎日新聞 2009年10月19日 20時22分