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二重国籍:韓国政府、認可範囲を拡大へ(上)

国籍法改正案を整備、外国人の帰化条件も緩和

 韓国政府が「二重国籍」を広範囲に認める国籍法改正案を整備し、来月国会に提出することが18日までに分かった。兵役義務を終えた二重国籍の男性の場合、現行制度とは異なり、他国の国籍を放棄しなくてもよい、とする内容などが骨子となっているという。

 韓国政府の高官は、「現行の国籍法では韓国人が外国の国籍を取得した場合、2年以内に一つの国籍を選択しなければならず、20歳未満の二重国籍者の場合、満22歳になるまでに一つの国籍を選択しなければならない。これを改め、兵役義務を履行した場合には、複数の国籍をそのまま認める方向で法案を検討中だ」と語った。法務部と大統領直属の未来企画委員会は、こうした内容を骨子として、来月11日ごろに総合的な案を発表する方針だ。

 韓国政府による改正案の中核は、複数国籍の保有を認めることで、優秀な人材の活用を広め、徐々に高齢化しつつある韓国の経済人口の構図を改善しようというもの。

 韓国政府の当局者は、「兵役義務がない女性の場合、無条件に二重国籍を許可する案と、男性との均衡上、英語の教育支援教師などとして2年間の公共ボランティア活動を終えた場合に限り認めるという案を、平行して検討している」と語った。さらにこの当局者は、「韓国国籍の保持者についても、兵役など一定の条件を満たせば、外国の市民権を同時に取得できるようにする案も含める方向で検討中だ」と語った。

 ただし、これら二重国籍者は、韓国に入国した際はすぐに納税など、韓国国民としての義務を履行しなければならず、これに違反した場合、直ちに国籍を失うことになる。また、韓国人と結婚し韓国国内に一定期間以上居住した場合など、純粋な外国人の場合にも、帰化の条件を大幅に緩和する案を同時に検討中であることが分かった。

 これに先駆け韓国政府は、今年5月1日付で国籍法改正案を立法予告した。この時点では、科学・経済・文化・体育など特定分野で卓越した能力を有する「優秀な外国人」と、自分の意志とは関係なく海外で長期間養育された「海外養子」のケースに限り、制限的に二重国籍を認める内容が含まれていた。

 韓国政府が今回、二重国籍を積極的に許可する方向で方針を定めたのは、韓国社会の人口構造が急激に高齢化しつつある点を考慮したためだ。また、優秀な人材が国籍問題で「外国人」になるのは、将来の国家経済力の確保という観点から問題があるという認識も、理由の一つとなっている。

権大烈(クォン・デヨル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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