上関原発計画を進める中国電力は、反原発派の抗議行動で膠着(こうちゃく)状態が続く原発敷地の海面埋め立て問題で、抗議行動を続ける上関町祝島の「上関原発を建てさせない祝島島民の会」会員ら39人に対し、埋め立て工事の妨害禁止仮処分命令の申し立てを地裁岩国支部に起こしたことが16日分かった。
申し立ては今月9日に実施。内容は祝島島民らは埋め立て工事海域内に漁船やシーカヤックなどを進入させたり、係留して中電の埋め立て作業を妨害させてはならないという趣旨。その論拠として中電は昨年10月22日、県知事から公有水面の埋め立て免許を得たため、埋め立て工事海域で公有水面埋め立て権を持つとし、同海域で工事を妨害する行為に対して埋め立て権に基づく妨害予防請求権があるとしている。
上関原発に反対する祝島島民らは上関原発による海面埋め立てで「生活の糧である海が破壊される」として9月10日から、平生町田名埠頭(ふとう)に置かれた埋め立て作業海域を明示する灯浮標(ブイ)9基の積み出し作業を阻止。中電は10月7日、田名とは別ルートから積み出したブイ2基を作業海域に設置した。しかし、反原発派は引き続き残る7基の積み出し阻止行動を続行。両者がにらみ合う膠着状態が1カ月以上も続いている。
中電は、田名埠頭の状況から、埋め立て作業海域で祝島島民らが作業を妨害する恐れが大きいとし、このままにらみ合いが続けば県知事から指定されている3年以内の工事期間に埋め立て作業が終了できずに免許が失効する恐れがあるとして申し立てに踏み切った。
地裁岩国支部はこの申し立てによる第1回の審尋を11月2日午前10時半から開く。 |