傷病者の搬送・受け入れガイドライン、都道府県に通知へ
総務省消防庁と厚生労働省は10月16日、「傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会」(座長=山本保博・東京臨海病院長)の第3回会合を開いた。事務局側は、各都道府県が傷病者の搬送・受け入れの実施基準を策定する際のガイドラインとなる報告書案を提出し、大筋で了承された。報告書は改正消防法が施行される30日までに各都道府県に通知される。検討会では、各都道府県の実施基準の策定状況や、その後の課題などについて、今後も議論を続ける。次回は年度内の開催を予定している。
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大筋で了承された報告書案では、傷病者の搬送および受け入れの実施基準や、実施基準の策定に当たって協議などを行う協議会、傷病者の搬送・受け入れに関する調査・分析などについての考え方が示されている。
実施基準は、状況に応じて適切な医療提供が傷病者に行われることを確保するために医療機関を分類する「分類基準」や、分類基準に基づき分類された医療機関の区分ごとに該当する医療機関の名称を具体的に記載した「医療機関リスト」など7項目から成る。
報告書案で例示された医療機関リストは、「緊急性」「専門性」「特集性」の3つの観点を基に傷病者の状況を「重篤(バイタルサインなどによる)」「急性アルコール中毒」などに区分。項目ごとに該当医療機関の名称を記している。
協議会については、消防機関と医療機関などの間の意見調整や搬送・受け入れに関する合意の形成を行うことから、関係機関における一定の責任を有する者がメンバーとして望ましいとする一方、現場の消防職員や救急医療に携わる医師による現場の意見の反映も不可欠との考えを示し、消防機関、医療機関をはじめ、関係者が広く参画することを求めた。
会合では、取りまとめに向けた最終的な議論が行われ、山崎學委員(日本精神科病院協会副会長)が、現在救急搬送の受け入れを実施している医療機関が財政的に苦しい状況にあることを指摘。報告書に「運営補助金」「診療報酬の引き上げ」など「財源支援」についての具体的な記述を盛り込むよう求めた。
これに対し事務局側は、同検討会の委員の意見をまとめている部分に「あまり踏み込んだ表現ではないかもしれないが、そういった(財源支援の)問題意識も入れさせていただくということで考えたいと思う」とした。
また野口英一委員(東京消防庁救急部長)は、消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関に傷病者の状況を伝達するための基準「伝達基準」について、「救急隊が伝達基準に基づいて、非常に圧縮された時間の中で系統立った伝達をすることが必要なのは確か」とした上で、受け手側の問題を指摘。「受け入れ可否を主体的に判断できる人が、それ(伝達)を聞く必要がある」という趣旨を報告書に盛り込むことを求めた。事務局は野口委員の意見を反映させる方向で検討するとした。
これらの議論を踏まえた報告書の最終取りまとめは、山本座長に一任された。
今年5月1日に公布された改正消防法は、10月30日に施行される。同法では各都道府県に、消防機関や医療機関などが参画する協議会の設置や、傷病者の搬送・受け入れ実施に関するルール(実施基準)の策定を義務付けている。
同検討会は、協議会と実施基準に関する基本的事項を検討するため、今年6月に発足した。
更新:2009/10/16 21:18 キャリアブレイン
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