興味深かったので訳してみた。
凱旋門賞が終わり、Sea The Stars は明らかに偉大なチャンピオン、もしかしたらこの10年で最高の馬と見なせるかもしれない。しかし、大袈裟に言われているような生涯に1頭の馬ではない。
名馬というのは、チャンピオン級の遥か上を行き、ほとんどの年において最高である滅多にない存在である。過去12年間でこれに当たる馬というのは、ヨーロッパのフラットレースでは5頭しかいない。頭文字順に Daylami、Montjeu、Dubai Millennium、Sakhee、そして Sea The Stars だ。
Sea The Stars は、偉大なチャンピオンのそれと認められるパフォーマンスを少なくとも1回は見せており、文句なくこの仲間に入ってくるだろう。
だからこそ、彼が第2次世界大戦後にヨーロッパの1マイル半でトップ3の Sea-Bird、Ribot、Mill Reef と比べることができないと断じることは侮辱ではない。彼の2つのベストパフェーマンスが1マイル2ハロンのレースであることからしてもだ。
Sea The Stars の競馬界のパンテオンにおける正確な位置付けというのは、サラブレッドの偉大さをどう測るかによって変わってくる。彼らが勝利したレースの格によるうわべだけしか見ない大多数と、唯一の重要な基準であるパフォーマンスの質によって判断する者とでは大きく違いが出てきます。それは、レーティングという手法によって最良に測ることができるのです。
レーシングポストレーティングス（RPRs）は1988年から編纂されており、その間では、1マイル半の最高の数値は、*ジェネラス（137）、*パントルセレブル（137）、Montjeu（136）によって達成されている。
1999年の著書「A Century of Champions」の中で、トニー・モリスと私は、1900年以降の世界のフラットレースのトップ200の馬をランク付けした。恐らく、ここで使われていた基準は、RPRの基準より数ポンドは高いです。
我々が戦後ヨーロッパの1マイル半のチャンピオンでトップクラスにランク付けしたのは、Sea-Bird（145）、Ribot（143）、Mill Reef（141）、Nijinsky、*ダンシングブレーヴ、Vaguely Noble、Shergar（以上140）でした。
このリストでは、Brigadier Gerard、Daylami、Dubai Millennium といった短い距離で秀でていた馬は除外しており、Sea The Stars 自身のRPRsにおける上位2つの数値は、アイリッシュチャンピオンステークス（138）とエクリプス（135）で出されており、そのいずれもが1マイル2ハロンのレースでした。
しかし概算はしている。スーパーチャンピオン達は、トップクラスのライバルを突き放し、彼らを大差でぶっちぎった。Sea The Stars はそういうことをしたことがない。
Ribot は、1956年に凱旋門賞を連覇した時、イギリスの3歳チャンピオン Talgo を公式では6馬身差（写真を見る限りでは8馬身から9馬身はあった）で破っているし、Sea-Bird は1965年の凱旋門賞で、1つのレースのためにこれほど集まったことがないような強力な国際的な相手をタイ記録となる着差で打ち負かしている。そして Mill Reef も1971年に3馬身差で勝った。
Sea The Stars の熱心なサポーターは、レーティングでは彼は測れないと反論するが、底辺にあるのは、彼がやってないことへの信任は与えられないということだ。
Sakhee を例外として、彼がベストより下のパフォーマンスで勝利した類のない偉大な凱旋門賞馬だという事実が、Sea The Stars の評価を難しくしている要因だ。Youmzain、Cavalryman、Conduit が2着を争っていたが、彼らは偉大なチャンピオン達の2馬身以内にはいない。
Youmzain と Conduit は共に Sea The Stars に対して8ポンドが与えられている。だからといって、彼らが全く劣っているのだろうか？
Sea The Stars の名声は確かなものであるが、名声は時に人気や誇張に基づいており、それゆえミスリードされがちである。
Sir Ivor、Nashwan、Rock Of Gibraltar などといった馬達は、しばしばその名声に値するほどのパフォーマンスを達成していないにもかかわらず、偉大なチャンピオンと見なされることがある。逆に、Vaguely Noble、Alleged、Sakhee などといった偉大な凱旋門賞馬は、それに値するような評価を得ることが滅多にない。
我々競馬ファンの全ては、その瞬間の興奮に一喜一憂してしまう。それはファンであることの本分ではある。しかし、今行われているイベントを適切に展望し、誇張を矯正していくのが評論家の務めである。
人は自分が信じたいことを信じるが、Sea The Stars の凱旋門賞での勝利にまつわる誇張のいくつかはヒステリーじみており、それは競馬が1990年から始まったとでも思っているかのような人達によって語られています。
例えば、BBCのテレビ放送では、このような論調があった。「どんなフィールドでも、世界のどんな場所でも、二度と見ることがないようなスポーツ史上最も偉大なパフォーマンスの1つだ・・・。我々はこれまでになかったような最も偉大なものを見てしまったのかもしれない・・・。これは真に生涯に1頭の馬だ・・・。こんな凄い馬を見ることはもうないだろう。」
Sea The Stars を凱旋門賞で初めて見て、こんなコメントを聞いたアメリカ人や日本人の視聴者は、彼らは本当に同じレースを見ていたのだろうか？と不思議に思うに違いない。
後は煮焼
Sea The Stars is a great but not best we've seen - Racing Post
- 愛も競馬も全てがアンフェア by BH (2009-10-18)
- SEA THE STARS の引退こそがアンフェア by BH (2009-10-14)
新しくコメントをつける
コメント一覧
- 愛も競馬も全てがアンフェア by BH (2009-10-18)
- SEA THE STARS の繋養先はナショナルスタッドが1番人気 (2009-10-16)
- SEA THE STARS の引退こそがアンフェア by BH (2009-10-14)
- SEA THE STARS は凄いけど史上最高ではない by RP (2009-10-14)
- SEA THE STARS が引退種牡馬入り (2009-10-13)
- ゴールドカップ4連覇の YEATS が引退種牡馬入り (2009-10-05)
- KINGSFORT、ナショナルステークス制覇 (2009-09-13)
- ALANDI、アイリッシュセントレジャー制覇 (2009-09-13)
- SEA THE STARS、アイリッシュチャンピオンS快勝 (2009-09-06)
- RAINBOW VIEW、メイトロンSで復活 (2009-09-06)