ストーカー行為を受け、転居した被害女性の住所が、事件の公判を担当した京都地検検事のミスで収監中の加害者の男に伝わり、男から女性の転居先に文通を求める手紙が届いていたことが分かった。女性は「精神的な苦痛を受け、再度の引っ越しも余儀なくされた」などとして、国に約440万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。
訴えなどによると、男は、女性への傷害や女性宅での窃盗罪などに問われ、昨年10月、同地裁で懲役4年の実刑判決を受けた。男は尾行などで住所を突き止めて危害を加えていたため、公判では、女性の住所などを明らかにしないよう「被害者特定事項」を秘密にする決定がされた。
しかし、担当検事は、女性の診断書に転居先の住所が書かれていたのを見落とし、被害立証のための証拠として裁判所に提出。弁護人を通じて証拠の差し入れを受けた男から、昨年11月、謝罪とともに、文通を求める内容の手紙2通が送られてきたという。
京都地検は事実関係を認めて女性に謝罪したといい、西浦久子次席検事は「通常診断書には住所が書かれていないので見落としてしまった。ミスでご迷惑をおかけして申し訳ない」と話している。