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栃木女児殺害:DNAは元県警幹部 「有力証拠」対象外に

左は以前配られていた情報提供を呼び掛けるチラシ。「冷酷で残忍な男」と犯人像が示されていた。右は2009年夏から配布されたチラシ
左は以前配られていた情報提供を呼び掛けるチラシ。「冷酷で残忍な男」と犯人像が示されていた。右は2009年夏から配布されたチラシ

 栃木県今市市(現日光市)で05年12月、小学1年の吉田有希ちゃん(当時7歳)が連れ去られ、遺体が茨城県常陸大宮市の山林で見つかった事件で、栃木・茨城県警の合同捜査本部が遺体周辺から採取し、犯人特定の手掛かりになるとみていた男のDNAが、栃木県警の元捜査幹部のものだったことが捜査関係者への取材で分かった。捜査活動中に付着したとみられ、事件現場におけるDNAの取り扱い方法が問われそうだ。

 捜査関係者によると、遺体やその周辺からは有希ちゃんやその家族以外の複数のDNA型が検出された。合同捜査本部は犯人特定の手掛かりになるとみて関係者らから任意で粘膜を採取し、このDNA型と照合するなどして捜査を進めてきた。

 ところが今年5月、足利事件の再審請求即時抗告審で行われたDNA型の再鑑定で、被害者の着衣に付着していた体液と、無期懲役が確定し服役していた菅家利和さん(62)のDNA型が一致しないとの結果が出た。栃木県警は体液は捜査員のものだった可能性もあるとみて、当時の捜査員のDNAを採取して調査。有希ちゃん殺害事件で現場から採取されたDNAについても同様に調べたところ、一部が元捜査幹部のDNA型と一致した。

 犯人特定の手掛かりになるとみられた男のDNAが事件発生から3年以上もたって捜査の対象外となったことに、捜査関係者からは「現場に残されたDNAと捜査員のDNAを迅速に照合する仕組みが必要ではないか」との声が上がっている。

 有希ちゃんは05年12月1日午後2時ごろ、下校途中に友達と別れた後に行方不明になり、翌2日午後2時ごろ、約65キロ離れた常陸大宮市三美の山林内で遺体で見つかった。遺体は裸で胸付近を約10カ所刺されており、髪に粘着テープ片が残されていた。

 ◇チラシなどから「男」の文言削除

 犯人特定の手掛かりになるとみられていたDNAが栃木県警の元捜査幹部のものだったことが判明後、合同捜査本部は事件の情報提供を呼びかけるチラシやポスターから、犯人を「男」と断定する文言を削除していた。

 昨年ごろまで作製されたチラシやポスターは犯人像について「冷酷で残忍な男です」とうたっていた。しかし今夏に新しく作り直したチラシなどからこの文言は削られ、現場付近で目撃された白い不審車両の情報を掲載するようになった。

 ある捜査関係者は「手掛かりになるはずのDNAが元捜査幹部のものと判明し、犯人が男か断言できなくなった」とみているが、毎日新聞の取材に応じた捜査幹部は「『冷酷で残忍な男』という表現が変なので削除しただけ」と説明している。

毎日新聞 2009年9月20日 2時30分(最終更新 9月20日 2時30分)

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