▼ロッド型増幅器
固体レーザの増幅する方式の中で最もシンプルな構成です。この方式では、通常のレーザ発振器の両端のレーザ共振器(ミラー)を外し、ロッド端面にも蒸着を施さずに使用します。ロッドの一方向からレーザ光の種火が入射し、ロッドを通過する過程で誘導放出を促しロッドから放出する時には入射光の何倍かになっているというものです。こうしたロッド型増幅器を複数配置することによりレーザ光の増幅ができるようになります。レーザ増幅はもちろん簡単なものではなく、各ロッド増幅器の光学アライメントを細心の注意を払って調整する必要がありますし、増幅器内の増幅度(G = ゲイン)が系の損失を十分に上回るものでなければなりません。
▼スラブ(slab)型増幅器
結晶面を平行四面体形状として媒質中(ロッド中)を伝わる光学パスを長くとった構造をしています。媒質中をジグザグ状に幅広く伝搬することにより熱的な偏りがなくなり(固体レーザで問題になっているレンズ効果がなくなり)、効率がよく品質が良くて大出力レーザができるようになります。スラブレーザは、高出力が要求される高温加工分野の熱源として期待され、国のプロジェクトにも指定されてレーザ加工機メーカ、電機メーカ、大学研究所による産学共同開発プロジェクトができました。スラブ型レーザの材質はNd:YAGで、これにポンプ光源として半導体レーザを使って増幅します。この増幅器は、電気-光変換効率16%で平均出力4kwのレーザが開発されているそうです。
▼ディスク型増幅器
レーザ光を極限のエネルギとして使おうとする場合にレーザ光を何段にも渡って増幅し、エネルギを強くしていく手法が取られますが、エネルギが強くなると装置自体がそのエネルギを扱えなくなるくらい強くなってしまいます。一つの解決策として、レーザを増幅していく場合、ビームを拡げる手法がとられます。ビーム径が大きくなれば単位面積あたりのエネルギ密度が下がり、増幅装置に与えるダメージが軽減されるからです。ディスク型増幅器(Disk Amplifier)は、大きな口径の円盤状の媒質(ロッド)で、これで増幅を行います。通常、ディスク型増幅器は、ブルースタ角に何段にも並べて徐々に口径を拡げてレーザの光出力を上げていきます。大阪大学レーザ核融合研究センターのような大規模なレーザ装置に採用されている増幅器です。