原価率が7割を切るのは、メイテック、VSN、ジェイテックの3社。いずれも技術者派遣が中心だ。
こうして見てみると、一般事務職派遣の場合は原価率が高く、技術者など専門職派遣の場合は比較的原価率が低いことがわかる。
手数料に相当する粗利が大きいことに加えて、専門職の派遣料金は一般事務職より高く設定されている。人材サービス各社にとっては、技術者など専門職の派遣に力を入れるのは当然の成り行きだろう。
ちなみに、メイテックとVSNの2社は、テレビなどでもお馴染みの関口房三朗氏と因縁浅からぬ会社。関口氏は1996年7月に「代表取締役解任決議」を受けてメイテックを去り、その後、VSNを創業。ただし、同氏は08年3月にVSNの相談役を辞任、持株もSBIホールディングスに売却している。1株1885円で146万株、約27億円での取引だった。
人材紹介企業は売上原価の発生がほとんどない
ところで、USENの子会社であるインテリジェンスの原価率は50%を切り、ジェイエイシージャパンやキャリアデザインセンターは10%台、エス・エム・エスにいたっては限りなくゼロに近い。
これは、人材紹介が主力事業であることが要因。人材紹介の場合は派遣と異なり、紹介企業から手数料が入る一方で、売上原価の発生はほぼないことによる。ちなみに、インターネットでの求人情報提供を手がけるエン・ジャパンやディップも原価率が低いことが見てとれる。
人材サービス会社の従業員の年収は?
一方、人材サービス会社の従業員の年収はどうか。持株会社を除くと、600万円台のメイテックがトップ。同社の従業員6197人の平均年齢は35.05才、そして、平均勤続年数は10.08年。勤続年数の長さも人材サービス業界では別格だ。以下、テンプスタッフ、パソナ、エス・エム・エスが500万円台で続いている。
テンプスタッフは平均年齢33・3歳、平均勤続年数4.5年で590万円。パソナは平均年齢32.0歳、平均勤続年数5.3年で543万円。平均年収が502万円のエス・エム・エスは、平均年齢が28.7才、そして平均勤続年数は1.1年である。
そのほかも含めて、人材サービス会社は、比較的若い社員で構成されているといっていいだろう。それを考慮すれば、年収も低くないといえそうだ。