第8話
「じゅ・・・十五ぉ!・・・」
「はい、やっと数え終わりましたねぇ、綾ちゃん。ご苦労様です」
全身に鞭の打擲による痛々しい蚯蚓腫れを縦横に走らせ、必死の思いで数を叫びあげる綾に、相変わらず軽々しい口調のアナウンスが後をとる。
ステージ上で、母である寺田恵の手によって、娘の寺田綾に対する公開お仕置き・・・鞭打ちショーは、案の定、十五発で済まされるはずはなかった。
ただでさえ母娘の肉体の敏感な三つの肉の突起には、悪魔の媚薬「731アルファ」を塗り込められることによって、そこを震源地とする全身を強力な媚薬の効果によって翻弄されているのだ。
そしてそれらの突起・・・乳首やクリトリスの根元にきつく食い込むバイブレーションリングから送り込まれる振動は、幼い綾の性感を蹂躙し続けているのだ。
しかもそのリングから伸びる鎖が天井や床に繋ぎとめられることによって、まるで見えない椅子にでも座っているかのような、辛い中腰の姿勢を強要されている。
そして、恵の神経を表皮限界まで剥き出された肉の突起たちにも、根元にきつくバイブレーションリングが強力な振動を送り続けている。しかもそのリングにはそれぞれに長さが五センチほどの鎖が垂れ下がり、その先端にはテニスボールをやや小さくした五キロばかりの錘が吊り下げられているのだ。わずかな肉体の動きにも揺れ動くそれは、きつく食い込むバイブレーションリングからの振動と相まって辛うじて立ち続けることができるほどである。
そんな状態で二人は鞭を降り下し、その身に浴びねばならないのである。
打擲が十五発で終わるはずがないのは、誰の目にも明らかだった。
成長期の過程にあるそこはただでさえ敏感な部位である。そんな部位にプロの年増娼婦でさえたちまちのうちに根をあげてしまう悪魔の媚薬を塗り込められることによって、幼さの際立つその肉体はたちまちのうちに淫らな欲情に支配され、悪魔の媚薬の催淫効果によって、かつて少女に相応しく、可愛らしくポツンと膨らんでいた三つの肉の突起も成人女性をはるかに上回るサイズへと肥大している。
そんなイヤらしさばかりが際立つ乳首やクリトリスと言った敏感な部位に、追い討ちをかけるように強力な振動を送り込むバイブレーションリングをその根元にきつく食い込ませているのだ。
肉芽たちの直径よりも二回りも小さなリングを食い込ませる激痛もさることながら、リングから伸びる鎖を天井へ、あるいは床へと引っ張られる苦痛。そしてそうされることで強いられる不自然なまでの中腰の姿勢に、綾の口からは悲鳴がこぼれている。
そんな肉体に振りおろされる鞭の打擲をまともに数え上げられるはずなどなかったのだ。
必死の思いで数え上げても苦痛からの絶叫にかき消されてしまい、それが明瞭なものとして聞こえるはずもなく、いつまで経っても読み上げることができず、また、必死にの思いで十四発数え、最後の十五発目をまさに死に物狂いで数えたのに、客席の後方に位置するものらが茶化すように、聞こえない…などと言っては、ショーをリセットさせていたのだ。そんな調子だからいつまでも鞭打ちも終わらないでいたのだ。
いつまでも終わらない公開お仕置と称する鞭打ちに晒される綾も、鞭の打擲や幼い性感を翻弄する悪魔の媚薬の催淫効果も相俟って、肉体的にも精神的にも崩壊点間近と言ったところだが、そんなたった一人の愛娘に鞭を振り下ろす母も、想像を越える辛さに晒されている。
神経を表皮限界にまで剥き出しにされた、鋭敏化した三つの肉の突起達の根元にきつく食い込む、高振動を送り込むバイブレーションリング。そしてそこに取り付けられた鎖にぶら下げられた五キロほどもある錘を揺らしながら、娘の華奢な肉体に鞭打つのである。
ただでさえ無惨な肉体改造を施されることによって異様な感度を誇るそれに、追い討ちをかけるように悪魔の媚薬を塗り込められ、三十八歳という熟した性感を翻弄され続けながら、そこにぶら下がる錘に引き千切られそうな肉体的な苦痛を与えられることもさることながら、自らのお腹を痛めて生んだ、今は亡き夫の忘れ形見である綾の、幼さばかりが際立つその華奢な肉体に鞭打たねばならないという精神的な苦痛に、恵の精神もいたたまれない思いに苛まれているのであった。
十分に成熟し脂の載った自分の肉体にでさえ、鞭の打擲にはその身を切り裂かんばかりの苦痛を与えて来るのに、まだ十分な成長を見せない、どこか少年を思わせるシルエットを浮かべる綾の受ける苦痛も、恵のそれとは比にならないことなど想像に難くない。
大量に噴き出した汗で濡れ光り羞恥に染まった全身に刻まれた蚯蚓腫れは見るからに痛ましい限りだ。
しかし、両目からとどまることなく涙を零す哀れな母娘奴隷に、涼しげな口調でアナウンスの声は新たな責め苦を与えようとする。
「はい。ご苦労様でしたね。それではしばらく綾ちゃんには休憩してもらいまして、今度はお母さんの恵さんに、皆様の目を楽しませていただきましょう…明美さん…すみませんが用意をしていただけますか?」
あいも変わらず、惚けた口調で話すアナウンスの声を耳にし、朦朧とする綾は一瞬安堵の表情を浮かべるものの、すぐにそれが間違いであることに気付く。
アナウンスに促されるまま、明美が綾のそばまで来ると、リモコンを操作しながら綾の乳首を引っ張る鎖を緩めながら話しかける。
「今度はあんたのママが見せ物になる番だよ!…その間あんたは休憩だけど、ただ待ってるのもつまらないだろ?」
そう言って明美は崩れ落ちそうになる綾の首輪に繋ぎとめられた両手の拘束を解きながら一旦抱き抱えるが、すぐにその両手首を一纏めに縛り上げると、天井から垂れ下がる鎖につなぎ止め、膝上に竹棒をくくり付けられることによって強制された開脚ポーズのままで爪先立つまでに吊り下げられてしまう。
「ただ立ってるだけって言うのも退屈でしょ?…だからこれで綾ちゃん、少し楽しんでてね!」
そう言うと明美は、黒子から手渡されたピンクローターと呼ばれる卵型のバイブレーターを、微かな膨らみを見せる幼げな乳房の頂点の、成人女性をはるかに上回るサイズに肥大、勃起している乳首に張り付けると、今度は大きく割り広げられた股間の前にしゃがみ込むと、一本の毛叢も失われた秘密の花園の上端で真っ赤に、そしてやはり成人女性の乳首ほどにも肥大した最も敏感な肉の突起にも張り付けた。
「あぁ…い、イヤァ…や、やめてぇ…」
「何言ってんのよ、綾ちゃん…まだこれもつけてあげるからね!」
ガタガタと、瘧が付いたように肉体を震わせながら震える声で辛うじて聞き取れる微かな声で慈悲を乞う綾に、明美はさも楽しげにそう言いながら再び黒子から手渡された電動マッサージ器を、綾の下腹から恥丘の辺りに電動ヘッドが来るよう強力なガムテープで張り付けてしまう。
「さぁ…これで準備はできたんだけど…多分さっきみたいにギャァギャァ騒いでうるさいと思うから、これを口に入れといてあげるわ…」
「な、なにを…う、うぐぅ…」
そう言って最後の仕上げとばかりに明美は綾の口許に、ボールギャグと呼ばれる口枷を口中に押し詰め綾から言葉を奪ってしまう。
「これで準備はできたわ…綾ちゃんはこれで一人で楽しんでてね!…今度はママさんの番よ!」
そう言うと明美は綾の体に張り付けたバイブ達のスイッチを入れ、言葉を封じられた綾の口からくぐもった悲鳴を零させると、一転、もはや興味を失ったのかの如く綾から離れて、今度は恵に近付いていく。
たった一人の…実の娘である綾の、未だ幼さばかりが際立つ華奢な肉体へ、いくら仕方のないこととは言え自らの手で鞭を振り下ろしたことに自責の念に駆られる恵のそばまで来ると、そんなことを言いながら明美は恵の髪を鷲掴む。
「あんたには、違うことして皆さんに楽しんで貰おうねぇ…」
そう付け加えると明美は、いつの間にか黒子の用意していった板の上に恵の四肢を拘束する。
戸板のようなその板は、四十五度の傾斜がついていて、そこに恵は四肢を大の字に延ばし、膝を立てた格好に拘束されている。
そうしておいて今度は、大きく割り広げられた恵の秘密の花園に、表面に無数の瘤を隆起させる、黒人男性のそれをはるかに凌ぐ大きさを誇る、携帯型の電気ドリルに取り付けられた男根を模したバイブレーターを容赦なく根元までえぐり込む。
肉襞を、そして腟穴深く侵入し、子宮をえぐるその感覚に、マゾヒスティックな性癖をすっかり開化させてしまっている恵の口から思わず切なげな吐息が漏れるのだが、そんなことおかまいなしに、未だ恵の最も敏感な…鋭敏な神経を誇るクリトリスの根元にきつく食い込むバイブレーションリングから伸びる鎖を、腟穴深くを抉り込む極太の疑似男根の根元に繋ぎとめてしまう。
そこまですると今度は、恵の上半身…やや俯せ気味になっても形の崩れることのない、重たげに実った左右の乳房の頂点で、中学生のペニスほどにも肥大した乳首へ狙いを定めるように、真っ赤な蝋燭を用意する。
「さぁ…準備はできたわよ。あなたには大人の楽しみ方で、皆さんに楽しんで貰うのよ…たくさんいい声で泣いて、お客様に悦んで貰うのよ…」
そう言って明美は、まず恵の股座に置かれた腟穴を深く抉り込む疑似男根を取り付けた電気ドリルのスイッチを入れるとともに、蝋燭の炎をつけては、乳首目掛けて灼熱の雨を垂らし始める。
「ウギャァァァ!…」
電気ドリルの激しい震動で、腟穴はおろか子宮さえも抉られ、そして長大な疑似男根の挿入に合せてはクリトリスをしごくように引っ張られ…そして上半身、胸元の乳首はといえば、わずか二十センチの高さにも満たない至近距離から真っ赤に焼けた灼熱の蝋涙を浴びせられるのだ。
恵の口から絶叫が迸るのも、無理からぬことであった。
そして、天井から人の字に吊り下げられ、幼さの際立つ肉体に張り付けられた複数ものバイブレーターに幼い性感を翻弄され、のた打つ綾であったが、そんな母の魂消えんばかりの絶叫を耳にし、声のする方向に視線を向けては母の姿に絶句…円らな瞳から母のため、新たな滴を零し始める。
囚われの…哀れな母と娘の奏でる叫び声は、客席を埋める嗜虐者達には心地よいものだ。
そして母娘のハーモニーはそれからしばらく…恵の胸元へ降り注ぐ蝋燭が燃え尽きるまで…止むことはなかった。
膝上に竹棒をくくりつけられることによって開脚を強いられ、ざっくりと両膝をついたまま、天井から垂れ下がる鎖に一まとめに縛り合わされた両手首を繋がれることによって、囚われの母娘は肩で大きく息をしながら力なく垂れ下がっている。
いつの間にか会場内に灯っていた薄暗い照明は消され、代わりに、天井から哀れな変態牝豚肉奴隷母子を照射するスポットライトだけに切り替わっている。
いよいよこれから、変態牝豚肉奴隷母子を一晩弄ぶ権利をかけたオークションが開かれるのだ。
「さて、皆様・・・これよりお待ちかねのオークションを始めたいと思いますが、本日は主催者の意向もあり、いつもと違うルールで行いたいと思います」
シンと静まり返った場内に、戸田和代の命を受けたアナウンスがルールの説明をし始める。
「いつもであるなら、皆様からこの金額だったら遊んでもいい・・・という金額を提示いただき、一番高い金額を提示してくださった方が権利を獲得する・・・という、いわゆるオークションのシステムで開催しておりますが、今回はいささか事情が変わっております」
場内に響き渡るそのアナウンスに、会場内の人々から騒めきが浮かぶ。
「今回、主催者である戸田和代様の強い要望により、こちらがまず、電光掲示板に金額を表示しますので、一番最初に、お手元にボタンがございますね?・・・そのボタンを押してくださった方の番号が表示されますとともにその方が権利を獲得する・・・そのようなシステムで、今回は皆様に参加していただきます」
ようするに、早押しゲームみたいなものである。
寺田母娘を一晩陵辱できる金額を、あらかじめ主催者側・・・つまりは戸田和代が決めておくのだが、そこに寺田恵に対する積年の想いを募らせる、和代の意思が色濃くにじんでいるのには間違いない。
思えば、かつて和代がたった一人、心の底から愛した男・・・寺田勇次。その勇次の愛を一心に受け、さらには勇次の子供を身ごもった恵。
たとえそこに恵の意思などなく、ただ言われるがままに勇次からのプロポーズを受けただけであるのだが、そんな恵から味わった屈辱感というものは、和代にとっては人生最大の汚点と言えるものだったのだ。
恵からすれば、中学時代から育んできた熱い友情を持っていた和代に対して、和代が勇次に抱いていた恋心をトンと知らぬだけに、今のこの手のひらを返したような仕打ちに合点が行くはずもない。
とはいえ、恵自身を取り巻くこの環境・・・和代から抱えた負債がとんでもない利息を生みそれが支払い不能になったことや、その負債を返すため文字通り変態牝豚肉奴隷としてに人間の尊厳を一切無視した扱いを受けていること。そして、そればかりか、今年中学に入学したばかりのたった一人の娘、綾を連帯保証人としたことだけでなく、その綾にまで自分の歩んだ過酷な変態牝豚肉奴隷の運命を歩かせねばならないこと・・・。
そのすべてが現実であり、無様な肉体へと変貌させられた肉体を晒し続けているのである。
いや・・・。それが自分一人で済むものなら、まだいくらかの諦めの気持ちを恵は持てたかもしれない。
ところが、いまだ幼さの際立つ綾を、性を売り物とする変態牝豚肉奴隷として、今夜これから競りにかけられようというのだ。
母としてその事実を受け入れることなどできるはずがないのは当然である。
しかし、それこそ和代の狙いでもある。
子を思う母の気持ち・・・明美と言う娘がいる以上、和代だって恵のそんな気持ちは手に取るようにわかるものだ。
しかし・・・だからこそ和代は恵の娘である綾を連帯保証人に仕立てあげ、あげくに変態牝豚肉奴隷として競りにかけようというのだ。
がっくりと力なく、うなだれるように鎖に垂れ下がる寺田母娘の変わり果てた姿を、胸のすくような思いで会場の片隅から眺めながら、積年の恨みの晴れる思いで和代はステージ上で皆の注目を集め続ける哀れな母子へと視線を送っていたのだった。
「さぁ、皆様、ご注目ください!・・・ステージの上の方から電光掲示板が降りてまいりましたね?これからあの掲示板にランダムに数字が表示されていきます。そして私の、一、二、三という合図とともに掲示板の表示がピタッと止まりますので、その瞬間とともに皆様お手元のボタンを押してください。そうすることで一番早くボタンを押し方の番号が、金額の下に表示されます。それでは皆様、用意はよろしいですかぁ?」
軽快な口調で改めてルールを説明するアナウンスに促され、会場内の人々は皆、一種の緊張に包まれながらもテーブルに設置されたボタンに手をかけ、アナウンスの合図を固唾を飲みながらじっと待っている。
「それではスタートしてください!」
その言葉とともに、ステージ上の掲示板の表示部は、目まぐるしいまでに数字を表示していく。表示されていくその桁は、八桁・・・一千万単位にもなろうかと言うものだ。会場内の人々にとってもステージ上の哀れな美貌の母子を一晩陵辱できるにはそれだけの金額を払うだけの価値があるというものだったのだ。
「さぁ、それではいよいよまいりますよぉ!・・・」
さすがにそれまで軽快な口調でショーの進行をしてきたアナウンスの声にも、若干の緊張の色が見る。
それに伴い客席もまた異様なまでの静寂に包まれきっている。
そして、主催者や観客ばかりでなく、競りにかけられている本人達…類い稀なる美貌を誇る変態牝豚肉奴隷母娘の顔色も、緊張の色はもちろん、恐怖に引きつったものとなっている。
この春中学に入学したばかりでようやく性的好奇心が芽生え始めたばかり…いまだ、白馬に乗った王子様と素敵な恋に落ち…などと夢見る綾からすれば思いも寄らぬ…甘い恋を夢見る少女には想像もつかなかった過酷な現実に…。
そして、母として何より娘の幸せを願っていたのに、自分の考えの甘さから思いも寄らぬ…無惨極まりない形で破瓜を迎えさせることになろうとは…。
力なく天井から垂れ下がる鎖に肉体を預けながら、やはりこの先待ち受ける、地獄の運命の行く末を案じていた。
「それではいよいよまいります…一、二ぃ、三っ!」
そしてアナウンスが数を読み終わるのと同時に、掲示板の表示もピタリと止まる。
それと同時に誰もがテーブルに備えられたボタンを必死に叩くのだが、そんな客達はもとより、これから売られる身にある恵と綾も、それぞれの思いを胸にしながらそこに表示される金額に目を見張る。
誰もがそうするのも当然、そこに表示されている゛250円゛という金額は、美貌の母娘を一晩凌辱するのにはあまりにも破格といえるものだった。
ランダムに表示されていく八桁もの数字も、力なくがっくりとうなだれる美貌の母子を一晩ものにできるなら、誰もが納得していたのだ。それだけ綾の美貌に皆が引かれており、類稀な美少女を母親の前で蹂躙できることにそれだけの価値を誰もが認めていたのだが・・・二百五十円という、缶コーヒーを二本買っても十円のお釣りが来るその金額は、ある意味誰もが驚愕を覚え、目を見張るものである。
そして会場内の誰よりも一番その金額を驚いたのは、ショーでの主役を演じる寺田母娘だったかもしれない。
和代から負った莫大な借金を、たとえそれが望まぬものとはいえ、春をひさいで返さなければならないのだ。
直接金を借りた恵ももちろん納得がいくものではないものの、しかし、それが自らの責任なんだとマゾヒズムの性癖は受け入れているのだが、それをたった一人の娘である綾に、連帯保証人として署名させた以上連帯責任として強要せねばならないことに、血の繋がった母として心が痛まないはずがない。
ただでさえ納得いくものでないのに・・・そして、一生忘れることのできない破瓜を、成人女性にでさえも耐えがたい・・・羞恥と屈辱にまみれた方法で迎えさせようとしているのは目に見えている。
まだこの春中学に入学したばかりの、幼さの際立つ華奢な肉体に加えられるであろう嗜虐にどこまで耐え切れるのだろうか・・・。
恵自身、自らの抱える莫大な負債を理解しているからこそ、そして女の子にとってはたった一度きりの破瓜であるからこそ、少なくとも電光掲示板の桁はすべて埋まるものだと思っていたのに・・・。
それをまさか、二百五十円・・・。
いまどき、小学生の一日の小遣いはいくらだろうか?おそらくそれさえにも満たないその金額は、哀れな母子をますます絶望の淵へと叩き込むものであった。
掲示板に表示される、あまりにも非現実的なその金額にもはや言葉もなく、がっくりとうなだれる寺田母娘を、会場の片隅から和代は見つめていた。
着実に進行している和代の復讐劇の一環でもある、このオークション・・・。
確かに恵との約束で、債務者と債権者と言う立場から有無を言わさず春を売らせているのだが、その売上も手数料として折半、そして手渡されたお金から借金を返済させ、日常生活をさせている。そして恵自身の春を売らせても、その金額は週刊誌などに広告を掲載している風俗店の十分の一程度のものだ。
和代にとっては、恵を変態牝豚肉奴隷として客に奉仕させるのは、ただ単に貸金の回収のためではなく、恥辱と屈辱にまみれさせることが目的なのだ。
だからこそ、和代の抱える変態牝豚肉奴隷母子の中でも、ひときわ群を抜く美貌を誇る母子を、小学生の小遣い程度の金額で客に一晩弄ぶ権利を売るのも、そんな復讐心からであったのだ。
そして、ステージ上でがっくりとうなだれる寺田母娘のそばへ、会場中の人々の注目を一身に浴びながら一人の男が近づいていった。
今宵・・・過酷な運命に晒される美貌の母子を自由にできる権利を得た・・・そして、母娘のよく知る人物が・・・。