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【主張】鳩山政権1カ月 首相の指導力がみえない

2009.10.17 02:37
このニュースのトピックス鳩山内閣

 政権交代への強い追い風を受けて発足した鳩山内閣が1カ月たった。

 各種世論調査で鳩山内閣の支持率は、6〜7割台と高い。「脱官僚依存」などに対する期待が大きいからだろう。各省との軋轢(あつれき)を招きながらも、新政権が政治を変える作業に取り組んでいることへの評価があるのだろうか。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は「予算を徹底的に見直し、無駄を排除している。外交も積極的に展開し、成果を上げている」と語っている。

 だが、この政権が抱えている問題点も一段と浮き彫りになっている。懸念を深めるのは、八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設中止方針にみられるように、マニフェスト(政権公約)ありきの一方的な手法は関係者に唐突感を与え、反発を招いたことなどだ。中小企業のための「貸し渋り・貸しはがし対策法案」のとりまとめも、本質的に市場経済をゆがめてしまいかねないとの疑念を強めた。

 補正予算の見直しと来年度の概算要求の過程では、閣僚、副大臣、政務官の「政務三役」が中心となり、各省で政治主導により政策を進めるスタイルが定着しつつある。これを内閣全体の中でどう調整するか。

 菅直人副総理が担当する国家戦略室や行政刷新会議などの役割をより明確にし、総合調整機能を持たせる必要がある。それに加え、鳩山由紀夫首相が指導力を発揮しなければ問題は解決しない。また政府・与党の政策決定一元化を目指すあまり、民主党内の政策論議を否定するようなとらえ方が生まれている。与党内の幅広い議論や情報が、政策決定に反映されなくてよいのだろうか。

 26日に臨時国会が召集され、首相が所信を表明する。内閣が取り組む政策や進め方について全体像をもっと明らかにすべきだ。

 首相は就任以来、米国や韓国、中国を相次いで訪問したが、米国排除につながりかねない東アジア共同体構想など、日米同盟の弱体化に突き進む「鳩山外交」の危うさも見せつけた。

 首相はマニフェストの見直しにも言及している。米軍普天間飛行場の県外移設など、実際に政権を担当して、その困難さを認識したことも多いはずだ。新政権の真価を問われる臨時国会で、国益を守るために何をすべきかを明らかにしてほしい。

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