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【経済】

合格は前原国交相のみ 『査定大臣』になり切れず…

2009年10月17日 朝刊

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 二〇〇九年度補正予算の執行停止事業が十六日閣議決定し、一カ月にわたる見直し作業が終了した。一〇年度予算の概算要求総額も同日発表された。鳩山内閣の閣僚は、この一カ月、補正の見直しと概算要求という二つの作業を通じ「査定大臣」となることを求められた。出そろった金額からは「査定大臣」の成績が表れた。

 最も査定大臣に徹することができたのは前原誠司国土交通相だ。補正見直しでは最多の九千百七十億円を執行停止し、概算要求では〇九年度当初予算よりも千七百四十億円削減した。

 しかも、マニフェスト(政権公約)に掲げた高速道路無料化のための六千億円を盛り込んだ上での減額要求。ただ一人の合格点といえる。

 補正予算の見直しで大なたを振るい、三千億〜六千億円台を執行停止した厚生労働、文部科学、農林水産の三省も概算要求では苦戦。三省とも既存予算の削減に努めたが、マニフェストで掲げた新規政策を盛り込んだ結果、増額要求となった。

 概算要求では減額要求に苦労した各省から、金額を盛り込まない「事項要求」が相次いだ。各省とも、今後の編成過程での予算獲得を狙っている。

 藤井裕久財務相は十六日の閣僚懇談会で、「われわれは野党の時に、今までの予算が水ぶくれしていると批判してきた。野党時代の気持ちを持って削減してほしい」とけん制した。概算要求で、閣僚たちから従来型の「要求大臣」の姿が垣間見えたためだ。

 仙谷由人行政刷新担当相は十五日の会見で、今回の補正見直し作業での閣僚折衝について「直観的に『この大臣は査定大臣の割合が六十で要求(大臣)が四十なのかな』『この人は四十五対五十五なのかな』と思いながらやっていた」と振り返った。今後の編成作業では、各閣僚が「査定大臣」の割合をより高めることが求められる。 (清水俊介)

 

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