野田佳彦副財務相は16日の会見で、税収の落ち込みによる09年度の歳入不足について、「補正予算での国債増発はやむを得ない」と述べた。09年度の国債発行額は既に44兆1130億円と過去最大規模。野田氏は、当初予算で46兆1030億円を見込んだ税収も「40兆円を割る可能性もある」と指摘。国債発行額は戦後初めて税収を上回り、50兆円の大台に乗る可能性が高まった。
国債の増発は、09年度の税収見通しを固めた上、12月中に編成する09年度の第2次補正予算で決定する見通し。09年度の税収は、8月末までに7・9兆円と、前年同月比26・8%減と低迷している。企業の業績悪化を受けて、前年度に取り過ぎとなった法人税の返還額が税収を上回り、昨年より2兆円下ぶれしているほか、給与の減少や失業者の増加で、所得税も1兆円近く減少している。
税収減による歳入不足の穴埋めは、同日までの09年度補正予算の見直しで捻出(ねんしゅつ)した2兆9259億円を充てる可能性もあった。
だが、野田氏は「無駄を削って生きた投資に使いたいという方針で各閣僚が取り組んだ」として、10年度予算の財源などに回し、09年度予算の穴埋めには使わない方針を示した。
一方、国と地方を合わせた長期債務残高は今年度末で830兆円近くに達する見通し。国内総生産の2倍に迫る水準に達している。国内の景気回復の足取りは弱く、10年度も税収の目覚ましい回復は見込めない。
鳩山内閣が掲げる「無駄遣いの根絶」が進まなければ、10年度も50兆円規模の新規国債発行を余儀なくされかねない。【斉藤望】
毎日新聞 2009年10月17日 東京朝刊