七回に左翼席へ本塁打を放った楽天・山崎武
「パ・リーグCS第1S、楽天11-4ソフトバンク」(16日、K宮城)
恩師のために打った。七回だ。楽天の山崎武はバットにこん身の力を込め、左翼席に運んだ。日本シリーズを含めたポストシーズンで、41歳シーズンでの本塁打は03年の広沢克(阪神)に並ぶ快挙だ。「打った瞬間、本塁打だと思った」と納得の表情だった。
気合が入っていた。今季限りの退任を告げられた野村監督が試合前のミーティングで号泣。この光景に「百戦錬磨の監督が感極まるなんて…。監督の涙を無にしたくないと思った」と奮起した。
その思いがアーチにつながった。それまでの打席では無安打だったが、この一発で先発全員安打。「(4番の)僕が安打を打てないのはいけない。1人だけ乗り遅れるのは寂しいからね」とホッとした表情を浮かべた。
三回には一走としてダブルスチールに“参加”するなどハッスルした大ベテラン。「(みんなが)監督の涙で奮起したんだと思う。監督の気持ちに応えるには僕らは勝つしかない」。ノムさんを頂点に導き、有終の美を飾ってもらうつもりだ。
(2009年10月16日)