ダッシュする吉見(左)とチェン=ナゴヤドームで(小嶋明彦撮影)
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中日がヤクルトを迎え撃つセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージが17日、ナゴヤドームで開幕する。3試合制で勝負が決まる超短期決戦。絶対に取りたい第1戦の先発に予想されるのはチェン・ウェイン投手(24)だ。1・54という驚異的な数字で防御率タイトルを獲った左腕が“逆転日本一”へ、先陣を切る。
チェンは正直な男だ。決戦を前に、自分が抱えている不安すら隠さない。「長いイニングは最近投げていないので、不安はあります。球数とか(増えると)難しいと思う。(体力の)スタミナは全然大丈夫だけど、実戦で投げないと分からないので…」
最近は短いイニングしか投げていない。長かったのは9月22日の7イニングが最後。ここ3試合のイニングは1、4、3。確かに不安だろう。
ヤクルト対策でも首をかしげる。「印象に残っているのはデントナ、福地さんくらい。自分が対戦しないと相手の調子も分からないから…」。11日に今季初対戦したものの、青木、宮本、ガイエルら主力が不在だった。3イニングを無失点だったが、胸を張ることもない。
虚勢は張らない。ちょっと頼りなげに見えるが、これがいつものチェンだ。「向こうも研究してくるかもしれないけど、それ以上に自信を持って投げて、できることなら勝ちたい」。言葉は謙虚。いざマウンドに立てば、圧倒的な力で敵の打者たちを屈服させる。その繰り返しが、最近39年間で12球団最高記録の「1・54」という驚異の防御率になった。
CS開幕マウンドを任される左腕には、強いリベンジの思いがある。「去年は2試合に投げて2試合負けた。くやしかった」。昨年のCSは阪神、巨人に1試合ずつ先発した。チェン自身は1敗ながら、2試合ともチームは負けた。
「今年は何とか1つ勝って、いい印象を残したい」。嫌な思い出は早く消し、巨人とのCS第2ステージへ向けて「いい印象」を刻み込む。「いよいよ始まるので、何とか勝って、東京に行って、日本シリーズで勝ちたい」。巨人に屈し、苦杯をなめたペナントレース。逆襲の道は若い左腕が切り開く。 (生駒泰大)
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