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滴翠クラブ
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毎月1回徳島新聞主催で開く、滴翠クラブ例会の講演要旨を紹介
平成皇室の光と影 「公あってこその私」
考え方の違い 両陛下ら苦悩   2009/2/27 12:04
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平成皇室の光と影 「公あってこその私」滴翠ク2月例会 共同通信社社会部長 宮城孝治氏 

 滴翠クラブの二月例会が二十六日、徳島市内の新聞放送会館であり、共同通信社の宮城孝治社会部長(三好市池田町出身)が「平成皇室の光と影」と題して講演。天皇、皇后両陛下と皇太子ご夫妻を取り巻く問題について、エピソードを交えながら語った。講演要旨は次の通り。

 週刊誌などによる「皇后バッシング」の渦中の一九九三年、皇后さまが倒れられた。そして、二〇〇四年五月、皇太子さまが記者会見で「雅子のキャリアや人格を否定する動きがあったことも事実」とおっしゃった。この二つが、平成皇室の苦悩を表す最も大きい出来事だと思う。

 いわゆる「人格否定発言」の余波は今も続く。当時「雅子さまの人格を否定する動き」とは何なのか、と大騒ぎになった。核心は陛下と皇太子さまが疎遠で、意思疎通がないというところにある。お二人が話す機会は結婚後、ほとんどない。

 昨年十二月、陛下のストレスによる胃の炎症が発表されたが、側近に聞くと一番の悩みは皇太子さまにあると言う。陛下は何を悩んでいるのか。

 天皇には二つの顔がある。一つ目は「象徴天皇」としての顔。憲法には「天皇の地位は国民の総意に基づく」とある。しかし「国民の総意」とは何かの答えを見つけるのは難しく、真剣に模索している。二つ目は、「百二十五代続いた家の当主であり、家系を絶やしてはならない」という顔。前者は民主主義の根本の憲法、後者は家族主義。相反するような二つの立場を大事にされる。

 「国民の総意」へのこだわりには、陛下の原体験があるのではないか。十一歳で敗戦を迎え、皇室はどうなってしまうのか、不安を抱いたことだろう。そこに新憲法ができた。象徴天皇として生きていく、天皇家が生き続けていける根拠が示され、憲法とともに生きていくという光明を見いだした。

 陛下は「自分はこうしてやってきた」と後継者の皇太子さまに言いたいのだと思う。両陛下は「公があってこその私」というスタイルだが、皇太子さまの口から語られるのは、雅子さま、愛子さまという「私」ばかりと映っているのではないか。皇太子さまは「全力でお守りします」という約束を一番大切にし、陛下と向き合うことを避けていたようにみえる。

 ある宮内庁関係者によれば、皇太子ご夫妻は新婚時代、「二年間は子どもをつくりません」と両陛下におっしゃったという。真実だとすれば、落胆したことだろう。

 実は、皇太子ご夫妻は真剣に「お世継ぎ問題」を受けとめていた。雅子さまは、生真面目で頑張り屋だ。両陛下の期待に応えたいという使命感のような気持ちは強かった。しかし、この問題は頑張ろうとすればするほど女性にはつらい。

 雅子さまが九九年に流産したとき、撮影されるのは忍びない、と皇太子さまが食堂の白いカーテンを外し、車窓に目隠しをした。それを聞いた両陛下は不快感を示したという。皇族という立場は、つらいときも国民から姿を隠すようなことはしてはいけない、ということだと周りは斟酌(しんしゃく)した。厳しいが、考え方の違いを物語っている。

 人格否定発言の前、不調を訴えていた雅子さまは、実家・小和田家の別荘で静養された。「離婚では」という話も流れた。皇太子さまも行かれ、先に一人で帰ってきた。そして、両親がいる皇居に向かった。食事後、皇后さまと二人きりになった皇太子さまは、母の腕をさすり、落涙されたという。悩みを打ち明けられるのは、母である皇后さましかない。

 皇太子さまの苦悩が分かる気がする。ストレスを感じる雅子さまを守らないといけない、しかし親に甘えることはできない。そのジレンマの中で生きていらっしゃる。陛下との間の糸は絡み合い、なかなかほどけないという状況だろう。

 しかし、平成皇室にとっての最大の敵は、「国民の無関心」だと思う。こんなことをしているうちに、国民が無関心になってしまわないか。こうした危機感が皇太子さまにはあるのかと、天皇陛下は言いたいのだろう。

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