中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > プロ野球 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【プロ野球】

爆勝呼んだノムさんの涙 楽天4発11点で王手

2009年10月17日 紙面から

第1ステージ初戦に勝利し、声援に応える野村監督=Kスタ宮城で

写真

 ドカン、ドカンとノムさん先勝! パ・リーグのクライマックスシリーズ第1ステージ、楽天−ソフトバンクの第1戦が16日、Kスタ宮城で行われ、今季限りの退任が決まっている野村克也監督率いる楽天が先勝した。打線が4発の乱れ打ちで11点を奪えば、投げてはエース岩隈久志投手が4点を失いながらも完投。投打の歯車がガッチリかみ合い、第2ステージ進出に王手をかけた。

 寒空の下に「ノムラ」コールが響く。退任が決まっている野村監督を惜しむように、勝利を祝福するように、Kスタ宮城を埋めた今季最多2万1303人のファンが声をからした。指揮官は右手を繰り返し振って大歓声に応えた。球団史に刻まれるCS初勝利を、「予想もしない展開」という11得点の猛攻でつかみ取った。

 短期決戦の経験が違う。就任1年目の秋山監督に対し、老将が執念のベンチワークを見せつけた。杉内対策でスタメンに右打者を7人送り出した。「打順ではなく、打線になるようにオーダーを考えた。よくつながった」。スコアラーが分析した情報も生かす。「狙い球が予想通りにきた。陰のヒーローだ」。知を生かして、心にも訴えかける。17日に先発させる予定の田中には、酷使に耐えるよう求めてブルペン待機させた。「岩隈、マー君の継投を考えていた。マー君は1イニングだけなら、あしたも連投だった」。大事なのは勝ち方ではなく、勝利という結果だけ。なりふり構わない姿勢を貫いた。

 怒りと悔しさと寂しさと。負の感情を胸に押し込んでいた。試合前、選手全員を集めて開いたミーティングで、初めて自らの口で解任通告を受けた事実を伝えた。

 「(島田)社長に『日本シリーズに行っても続投はない』と言われた。解雇された理由は分からない。(来季も)みんなと一緒に野球をやりたかった…」。次第にこみ上げる思いを抑えきれなくなる。声を詰まらせて「すいません」と言うと、ぬれた目元をそっとぬぐった。「何で涙が出たんだろう…。悔し涙か。一生懸命やって結果を出しているのに」。球団への恨み節をひとしきり語り、「意地がある。CSは『くそったれシリーズ』だ」と命名した。

 「2連敗で終わる」と予言し、油断を誘っておいて、覆してみせるしたたかさ。17日には予定通り田中を先発マウンドに送り込む。「すべてをマー君に託す。やってくれるでしょう。すんなりいきたい」。2連勝での第2ステージ進出に自信を漂わせた。 

  (永山陽平)

 

この記事を印刷する


中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ