スエリーの青空

2009-03-31

見れば見るほど情緒を忘れる

6時起きして早朝ジョギングして長風呂して化粧して着替えて出発。


イースタン・プロミス

タナベキネマという天王寺より南にある映画館にて、評判いいんだな〜近いうちDVD借りて見たいな〜と思っていたイースタンプロミスがなぜか今頃上映中。しかも今日が最終日。スクリーンで見れるもんなら見なきゃ。

デビッド・クローネンバーグの映画。ヴィゴ・モーテンセンの映画。デビッドクローネンバーグにしては題材からして一見まっとうそうで、やっぱりやりすぎ。そんなクローネンバーグが好き。

キリル役のヴァンサン・カッセルはイっちゃってるようでイキきれない悲しさが見えて、よかった。ええ俳優さんなのね。

ロシア語話すヴィゴ萌え。かっこ悪いことをヴィゴがやるから猛烈にかっこいい。全体的に一つ一つ取り上げて見るとかっこ悪いはずのことがなぜかかっこいい。ロシアハードボイルド


『眠り姫』

なんとなく気になって見に行ってしまった。西区九条のシネヌーヴォ。映画館の場所わかりにくいったらない。上映時間に遅刻して行ったら客はまだ誰もいないためまだ上映は始まっておらず、椅子が20脚ほど並んだ部屋に通され、小さなスクリーンでいちから上映してくれた。こんな劇場初めてきた。

影絵好きにはたまらない映画。とくに夕闇の作る影絵がいい。あの影絵は自分のいる場所が明るいと見えなくなるのだ。

しかし鮮烈なんだけどものすごく眠くなる。眠い。おなか減った。それでも主人公に無性に共感して胸が苦しくなった。私もそろそろ幻聴はじまってもおかしくないなぁとかしみじみ。しゃあないしゃあない。とりあえずうまいもん食おう。


『プラスティックシティ』

次は梅田にチャリ置いて京都入り。みなみ会館にて。眠い。時間なくてメシ食えなかった。

なんかよくわからん映画やったけどなんかきれいやし手法は新しい。暴力を双方から爽快に描ききりつつ、即座に悲しみと虚無感でもって断固否定!という、暴力を否定するにはこれかなりうまいやり方ではないかしら。この監督の次回作に期待。

女がきれい。ユダ役の俳優さんが渋くてかっこいい。オダギリくんはがんばりすぎ。

イースタンプロミスとの共通点2つ。タトゥーとボス親子の支離滅裂ぷり。


銭ゲバ

これもみなみ会館にて。上映は今日までだったので眠いけど見て帰る。コロッケ焼きそばパンをがっついてから(焼きそばパンと言えば川本真琴の『焼きそばパン』は思春期的な名曲ですよ)。

唐十郎っていいなぁ。彼の歌がまた良い。この時代の映画ってサービス精神旺盛らしい。なるほど。構図とかすげーおもろ。うむ、楽しかった。


だぁー、眠い。梅田まで新快速で戻り、梅田からチャリで帰宅。私ってつくづく情緒に欠けてるよなとがっかりしつつ。ワイン空けたし寝ますわ。


「おかえりなさい」

石井ゆかり『星なしで、ラブレターを。』より 「おかえりなさい」「待つこと」についての考察 p192より

待つ

というのは「来て欲しいと念じ続ける」ということなのだが、きっといろいろ種類があって、「辛くなく待つ」ことも、ちゃんと実現できるんじゃないだろうか

(中略)

その人がいつ帰ってきてもいいように、心の中にその人のいる場所をあけておいて、その上で、『秘密の花園』のメアリーのように、『千夜一夜物語』のシェラザート姫のように、自分という庭がいくら探検しても飽きないほどおもしろくなっているよう、この世界への自分の冒険を絶え間なく楽しみ続けておくのだ。

遠く離れたその人に会える日を待つ間も、もう死ぬまで会えない人との会合を待つ間も、大切な人と過ごす時間を待つ間も、まだ見ぬ人を待つ間でさえ、「待つ」ときはいつだって、そういうふうに、待っていたいなと思うのだ。

それで、その人が自分のもとにいつか、たどり着いてくれた時は、余裕綽々で「おかえりなさい」って笑ってみたいと思うのだ。

2009-03-30

トーレス サングレ デ トロ 赤

ワイン日本酒に詳しい派遣Kさん(今日からいがぐり坊主頭。カワイイ。)のオススメ。確かにこの子は美味しい…。フルーティーなのに渋みもあり。

ハーフボトルだけど翌日以降の酸化した味も知りたいので少し残しておく。

バルサミコ酢を振りかけた水菜の上に、半額セール品のカツオのタタキを載せてその上から軽くポン酢を振りかける。簡単すぎるサラダ。バルサミコ酢はコクがある。刻々コクコク。しょうゆと合わせるとうまいと思うのは色にだまされているのかな。だましきってくれるなら私はとても幸せよ。で、これが今日のワインに合う。このチョイスした私えらい。ほめてつかわす。

今日は(も)店長とラブラブだった。忙しい中でもイチャイチャ。忙しいのに不謹慎なくらい二人してゲラゲラ笑い。今日の私は昨日のつんけんした私よりマシだった。店長へ、素直にラブリー。

明日は京都みなみ会館の単館上映な映画づくし。出来れば午前中に現地入りしてラストは『銭ゲバ』(1970)で終電乙。の予定。気張っていくでぇ。

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2009-03-29

ぐだぐだぐらくだ

仕事帰りに一人でしゃぶしゃぶを食べた。

こんな些細なことで喜べるのはそれが本来の得意科目ではないから。小心者でよかったね。

私の行動は、うまいものを食べたり飲んだり、素晴らしいものを見たり聴いたりすることが第一の目的ではない。それを小心者である私が、よいしょ、って体験しにいくことが第一に重要なのであって、それがうまいかまずいか、素晴らしいかつまらないかは二の次だ。

もちろん、うまいものを食べたいし、素晴らしいものを知りたいんだけど、その価値をこの私が発見するということに意義がある。また、もしもまずくてもつまらなくても、その事柄の何かについて誰かに言いたいことが一個でも見つかれば、それを誰か一人にでも伝えられたなら、その体験は私にとって意義深いことと位置付けられる。

だから、あらゆることを意義深いことにするため、私は今日も明日もぐだぐだと日記を書く。うんまあそういうこと。


〆は、

さくらのアイスと渋めの緑茶。アイスはほどよい溶け具合のやわらかな甘さ。仲居さんの笑顔素敵やったし、やっぱね、かごの屋より木曽路選んで正解やったと思います。

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今夜は一人木曽路

無性にしゃぶしゃぶしたい夜でした。肉を食べたらまた別の肉を食べたくなるのよ。欲望エンドレス。ぬる燗と共に。

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2009-03-27

フィッシュストーリー

20:05、仕事が終わり、チャリ猛ダッシュで梅田へ。ツインタワービル三階のシネ・リーブル梅田で『フィッシュストーリー』を見るため。開演は20:55。ツインタワービル到着は80:41。間に合ったぁ。

めちゃくちゃいい。スケールが大きいんだか小さいんだか…なストーリー、日本映画の良い部分をたっぷり堪能した。とにかくいい映画。

伊藤淳史、めっちゃいい顔…。チビノリダーの子がほんまええ役者さんにならはって。なんかすごいうれしいわ。

多部未華子ってめっちゃいいねえ。主役とか張る女優さんがあそこまで顔崩すか。ジムキャリー並ちゃいますか。すごいな。んでも全部込みでかわいい娘さんやなぁ。

森山未来、めっちゃいいやん、ハマり役。トレンDな若手俳優さんだとばかり、あなどってたよゴメン。あんなことも出来るんだスゲー。

他、全部いい、めっちゃいい。私は伊坂幸太郎の本は数えるほどしか読んでいないし、この『フィッシュストーリー』の原作も読んじゃいないけど、雰囲気はよく掴めてたんじゃないかな。時折見られる舞台みたいなわざとらしいセリフ回しや演出も、そうそうこんな感じだわ、とニヤニヤしてた。

逆に音楽に溢れてるこの物語が小説ではどう描かれたのか、気になるのでそのうち読んでみよう。

パンクバンド逆鱗のレコーディングシーンでは泣かされた。外でサントラCD買ってしまったじゃないか。劇中歌『フィッシュストーリー』、ボーカルの子も言っていたが、ほんとにすごくいい曲だと思います。

自転車かっ飛ばして見に来てよかった。道中寒かったけど全然問題なし。寒いけど幸福な帰り道。23:45帰宅。今日もいい一日だったなぁ。

2009-03-26

アモーレ・ペロス

これはレビューではない。いいも悪いもない。どうしようもない。どうしてなんだろう。真剣であればあるほど、どうしようもなくなる。この辺りで手を打つ、ということが出来ない。だからドラマになるし彼らは主役になるのだけど、現実問題、何とか生活していくならどっかで手を打たにゃいかんのよ。だけどやっぱり手が打てない恐ろしく真剣な人達ばかりがここにいて絡み合って団子。いちぬけた!は、まだ出来ない設定らしい。何のせい。たぶん音楽のせいだったりもするのよね。あー、TSUTAYAのあの子は普段どんな音楽を聴くんだろうな。どんな文章を好むんだろう。今夜は何を食べたかな。私の夕食は来来亭のワンタンメン。ワンタンと一緒にすするスープ。舌をヤケドしまいかとハラハラしながらも、温かなワンタンメンを前に、どうして手をこまねいて見ていられよう(私は麺はかため、ワンタンの皮が好きなの!)。あんなこんなそんな真剣さは勝ちも負けも霞ませて今夜もどこか手の届かないところへ連れていってしまうのでした。

2009-03-25

春にして君を想う

なんて素敵なタイトルだろう。でも、タイトルから期待したような穏やかでやさしいラブストーリーじゃないのよ。いや、ある意味、究極のそれなのかもしれないけど。


老いた男女の逃避行モノなのだけど、甘さはほんの少しだけ。その「ほんの少し」がまたすごく効果的。手を引いて歩くだけ。肩を寄せ合って眠るだけ。愛だの恋だのまったく言わないし匂わせもしない。

故郷に骨を埋めたいという夢を追う女、その夢に寄り添う男。ほら、色気ないねえ。でもそれがいい。


色気もなきゃ色味も抑え目。二人が映るシーンのほとんどは色味がない。時々鮮やかな色彩や陰影が使われるのは二人が見ている、現実とも幻ともつかない光景。それがうっとりするほどきれい。


不思議な映画。とっても静かで一見地味な作品なんだけど、構図の取り方、光と影の使い方、音の作り方(賛美歌弦楽器の調べ、ノイズ、等)などがさりげなく素晴らしい。目が離せない、息をひそめて見てしまう。美しい。ただ美しい画というだけではなくて、静謐な映像と音が寡黙な主人公の心を映し出して見せていて、それがじんわり、美しい。


ステラ老人ホームで職員らに強情を張り駄々をこねるシーンは悲しかった、痛かった。

守られているとどんなに成熟した大人でも子供になってしまう。私、身に覚えありまくり。一人で立てるようになって、それからわがままを言おう。守られることの怖さを忘れないようにしよう。


この作品は家で見るなら絶対、ディスプレイ以外の灯りを断ち、耳には密閉型イヤホン装備で見るべき。


そうそう。孫娘の聴いていたのはシュガーキューブス。ほらやっぱりあの声はビョークだよ。



今日、TSUTAYAで借りたのはこの『春にして君を想う』と、『アモーレ・ペロス』。

会計をしてくれたレジの女の子がDVDを手渡しながら

「この二つの作品、わたしどっちも大好きなんですよ。だから今すごいびっくりしました」

と話し掛けてくれた。

普段こんなふうに見知らぬ人から声を掛けられることのない日陰モノな私はもっとびっくり、あわわわ…って言いそうになりつつ、やっとのことでつなぐ会話。

「あ、あの棚(左後ろのほうを指差しながら)品揃えなかなか面白いですよね」

「はじっこのですよね? ですね。はい、またそのうち棚を拡げて監督特集とかやる予定なので楽しみにしててくださいね」

「へぇ〜、ふむむ、それはそれは。どうもありがとう」

「いえ〜、ありがとうございました」


最後はちゃんと目を見て話せたぞ。うへー、うれしかった。いっそ恋してしまいそうになった。ありがとう。またそのうち会えるかしら。



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2009-03-24

はずかしい顔

元同僚Nくんが二ヶ月ぶりに職場に顔を見せた。その日の仕事も終わりかけ、バタバタと〆に入っていたので背中で彼と店長が話すのを聞いていた。

聞きながら、そのうちいつか私も…とか、私だって昔は多少…とか思っていたら、帰りに鏡を見たら私の顔はとても幼くなっていた。自分からは何もしないで文句垂れてばかりのイヤなガキの顔。

はずかしい。久しぶりに会ったというのにこんな顔を見せていたなんて。

Nくんはますますイイ顔のイイ男になっていた。私は彼の生き方がうらやましい。彼にはそれができるだけの素質も能力もある。私とは大違いだ。わかっていても、うらやましい。自分の顔が歪むくらいうらやましかった。

うらやんでばかりいないで、そこに近づく努力をするか、現状に納得するなり、しよう。ここから始める。何度でも始める。

2009-03-23

スエリーの青空

青空の下、夢みたいな思い出…

青空みたいな主人公

じゃれあうような子育て

愛情の元に繰り広げられるケンカ

青空みたいな音楽、街、笑顔、涙、体、バス、お別れ

そこもここもどこかしこも夢ではない、天国ではない。だから、どんな手段を使おうと、どんなにくたびれようと、彼女は彼女の望む先へ進むため、目を開いて前を見ている。

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