2009年10月17日

映画「ATOM(アトム)」とディズニー

昨日、角川配給映画「ATOM(手塚治虫生誕80年記念作品)」を見ました。製作したのは香港発のアニメ制作会社「イマジ・スタジオ」ですが、ドリームワークスが関わっているため、実にディズニー風の映画でした。日本のアトムが、世界のアトムとして映画界にデビューした作品であり、私は100点満点の出来栄えと評価します。 

声優には、ニコラス・ケイジやサミュエル・L・ジャクソンなどの大物俳優を起用、私には「オスカーを狙った大作に仕上げた」と感じられました。 

しかし、です。この映画は日本では物議をかもし出すだろうなと考えたのは、私だけではないでしょう。その理由です。 

第一に、全体がキリスト教の「旋律」で描かれていることです。神から得たエネルギーでアトムはパワーを発揮し、正義のために邪悪と闘うというお決まりのストーリーであるからです。つまり、日本の手塚作品を欧米人が喜ぶような「旋律」に変えた作品と言えるのです。 

第二に、私には日本の宝「手塚治虫」に対し最大限の敬愛の念を表した作品と受け取れましたが、欧米人の「思考」を理解できない日本人には「手塚治虫を持っていかれた」と受け取られるかもしれません。故手塚治虫氏の長男の手塚真氏が監修に加わっており、内容的にも全く問題がないのですが、アトムの表情も、日本人的な表情から、欧米人的な表情に変化しており、心ない一部の日本人は「パクられた」と掲示板等に書き込むに違いありません。 

第三に、手塚治虫生誕80周年記念映画が、中国人の手によってつくられたという風評被害への懸念です。エンドロールには、中国系の名前がこれでもか、というほどでてきます。私は何も感じませんが、いわゆる「ネット右翼」と呼ばれる人たちの反応が心配です。

 

さて、この映画をみた感想ですが、一言で表すと「日本人よ、友愛精神を取り戻し悪魔と闘え」です。自分のことしか考えない邪悪な為政者に支配された国で、友愛精神のアトムが正義のために命をかけて悪魔と闘うのですが、私には、世界の映画関係者は「日本は悪魔に支配されている」と考えているに違いないと思えました。

 

オバマ大統領の来日に合わせるかの様に11月14日に公開されるディズニー映画「クリスマス・キャロル」も、まさにキリスト教映画そのものです。(「クリスマス・キャロル」の意味は、イエス・キリストの誕生を祝う歌です。)

 

「ATOM」と「クリスマス・キャロル」の二本の映画が一部の日本人のキリスト教徒を迫害する行為を「悔い改め」させる結果につながればいい、私はそう考えます。

 

「ATOM」のパンフレットには、手塚治虫とウォルト・ディズニーが会っていたエピソードも紹介されており、互いに尊敬し合っていたことがうかがえます。

 

最後になりますが、私が以前にこのブログに書いたウォルト・ディズニーを敬愛する手塚治虫の寄稿文を紹介します。

http://gpscompany.blogdehp.ne.jp/article/13445151.html