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会社法

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会社法の機関設計を図を使って覚える方法1

条文からは読み解きにくい会社法の機関設計

法律の勉強をされている方や、司法試験、司法書士、公認会計士の試験など会社法における株式会社の機関設計について苦手にしている方も少なくないと思います。
私自身大変悩んだ経験があります。
そこで、今回は私が考えた図を使った機関設計の覚え方をお教えします。
<根拠条文>
295条 すべての株式会社には株主総会を設置しなければならない
326条1項 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
326条2項 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。 
327条1項1号 公開会社は、取締役会を置かなければならない
327条1項2号 監査役会設置会社は、取締役会を置かなければならない
327条1項3号 委員会設置会社は、取締役会を置かなければならない
327条2項 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
327条2項但し書き ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。
327条3項 会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
327条4項 委員会設置会社は、監査役を置いてはならない。
327条5項 委員会設置会社は、会計監査人を置かなければならない。
328条1項 大会社(公開会社でないもの及び委員会設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
328条2項 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。 
さすがにこれらすべてを正確に覚えることは現実的だとは思えません。
たとえ、覚えたとしても試験当日に問われている問題に応じてこれらの条文から短時間で機関設計を構築するは難しいと思われます。
以下、上記に記されている条文から考えられるすべての会社設計のパターンを記述してみます。
<その全パターン>
(大会社かつ公開会社)
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人+会計参与
(大会社かつ非公開会社)
株主総会+取締役+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人
株主総会+取締役+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人+会計参与
(非大会社かつ公開会社)
株主総会+取締役会+監査役
株主総会+取締役会+監査役会
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計参与
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人+会計参与
(非大会社かつ非公開会社)
株主総会+取締役
株主総会+取締役+監査役
株主総会+取締役+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+会計参与★
株主総会+取締役会+監査役
株主総会+取締役会+監査役会
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人
株主総会+取締役+会計参与
株主総会+取締役+監査役+会計参与
株主総会+取締役+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計参与
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人+会計参与
条文が無理だからといって、これらのパターンを暗記するのも難しいです。
なにか会社設計のメカニズムや統一的なルールがあればなぁ。。。

基本コンセプト

そこで私が考えたのが電車の乗り換え案内サイトなどで利用されているグラフ理論です。
グラフ理論といっても難しいものではないので安心してください。
大会社や公開会社など会社の条件を考えなければ、原則としてありうる会社設計のパターンは以下のようになります。
これは非大会社かつ非公開会社と同じになります。
<原則としてありうる会社設計のパターン>
株主総会+取締役
株主総会+取締役+監査役
株主総会+取締役+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+会計参与★
株主総会+取締役会+監査役
株主総会+取締役会+監査役会
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人
株主総会+取締役+会計参与
株主総会+取締役+監査役+会計参与
株主総会+取締役+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計参与
株主総会+取締役会+監査役+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人+会計参与
株主総会+取締役会+三委員会+会計監査人+会計参与
大会社や公開会社などの機関設計はこの中から経営の適正化の度合いが高い機関設計を取捨選択している状態です。
★でしめしたパターンは非大会社かつ非公開会社に認められた例外的な設計パターンです。
★以外に会計参与の設置になんの制約もありません。
つまり、会計参与は★を除いた機関設計において設置するも、しないも自由なのです。
上の示したパターンをよく見ると会計参与が設置されているかどうかで設計が対象的なっているのが分かると思います。

それらを考慮して機関設計の統一的なルールをグラフに表したのが下の図です。
ただし、下の図には会計参与の設置については一旦無視しています。
http://art11.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586754_org.v1245419266.jpg
この図は会社設計のすべてのパターンを1つのグラフで示したものです。
私自身作ってみて驚いたのは、このグラフが綺麗な6角形になること。
さらに、一番下の株主総会から一段上が経営層
さらに一段上が、会社内部の監督機関
頂点にある「会計監査人」が会社外部の監査機関
さらにグラフの左から右へ行くほど機関が組織化します。(取締役の左が取締役会など)
このグラフの使い方は以下のようになっています
{{
○このグラフは必ず「株主総会」からスタートします。
○このグラフは「株主総会」からスタートする会社設計の登山です。
○登山の際に通れるルートが矢印で示されています。
○この登山はより右のルートを選ぶほどより会社の適正な経営を確保します。
○四角囲みの機関で登山(機関設計)を終わることができます
○しかし、丸囲みの機関で登山(機関設計)を終わらせることはできず、必ず次のポイント(ノードないし機関)に到達しなければなりません。
}}
図から考えられるルートを示すと以下のようになります。
http://art14.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586756_org.v1245419274.jpg
この赤い矢印でしめしたルートがそれぞれの会社設計のパターンになります。
先にしめした<原則としてありうる会社設計のパターン>と見比べてみてください。
★でしめした例外を除き、会計参与が自由設置であること加味するとすべてのパターンがこのグラフで理解できることが分かってもらえると思います。
また、このグラフは比較的覚えやすいと思います。

○まず亀の甲羅のような形を覚えます。(一つかけた六角形)
○上に行くほど会社の強い監督機関が並びます
○右に行くほど機関は組織化されます。

この図をそばにおいて会社法の機関設計の勉強をしていただければ、効率的に勉強が進み、形も自然に覚えられると思います。

機関設計における制約

あとは、このグラフに大会社や非公開会社における機関設計の制約を書き込んでいけば完成です。
以下に大会社と公開会社における制約をしめしました。
http://art13.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586757.v1245419282.jpg?size=450

非大会社かつ非公開会社の例外

さらに、非大会社かつ非非公開会社の例外を加味してやります。
これはゲーム感覚で楽しく覚えられるように「裏ルート」と名づけました。
この裏ルートを加味することで、グラフは綺麗な六角形になります。
http://art13.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586759.v1245419291.jpg?size=450
これでこのグラフは完成です。
このグラフを覚えることは、先ほど示した会社設計に関する条文を覚えたり、総ての場合の設計パターンを暗記するのと同等の意味があります。
どちらが楽でしょうか?それは読者の判断にお任せします。

それでは、この完成したグラフがすべてのパターンがきちんと示しているかどうかを確認していきましょう。

大会社かつ公開会社

http://art11.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586761.v1245419299.jpg?size=450
大会社しばりと公開会社しばりがあり、さらに大会社かつ公開会社しばりがありますので上記の2パターンになります。
あらためて見ると意外に少ないですね。

大会社かつ非公開会社

http://art11.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586764.v1245419308.jpg?size=450
大会社しばりのみを考えればよいのですごく簡単ですね。

非大会社かつ公開会社

http://art11.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586766.v1245419316.jpg?size=450
こちらは公開会社しばりです。とにかく取締役会のみを通過することを考えればよいですね。

非大会社かつ非公開会社

http://art13.photozou.jp/pub/838/249838/photo/22586769.v1245419324.jpg?size=450
しばりはありませんが、裏ルートがあるので忘れずに。


どうでしょか?意外と簡単に楽しく機関設計を考えることができるようになったと思います。
あとはすべてのパターンに会計参与が自由設置であることを加味すれば完璧です。
ただし、非大会社かつ非公開会社の裏ルートではすでに会計参与が設置されているので、その点に注意が必要です。


可能でしたら、最初の白いグラフを印刷して自分で制約を書き込んだり、
グラフにそれぞれの機関の特徴

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すごい・・・!

プリントアウトして、参考にさせてもらいます!

2009/8/2(日) 午後 4:06 [ nar*ta*0*9 ]

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すごいです!!
ありがとうございます。

2009/9/2(水) 午後 1:36 [ id3*369* ]

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