十勝毎日新聞社ニュース
「信じられない」…絶句 十勝に大きな衝撃
「ずっと応援していた」
「まだ若いのに…」「お父さん(故中川一郎元農相)の代からずっと応援していた」「十勝農業のためまだまだやってくれると思っていた」−。休日の午前中に駆け巡った突然の悲報に、中川昭一さんの地元・十勝でも大きな衝撃が広がった。帯広市の街中では市民の反応を取材する報道陣が多数見られるなど、一時物々しい雰囲気に包まれた。
張り出された号外に見入る市民(4日午前11時50分ごろ、JR帯広駅で。折原徹也撮影)
帯広市の会社員中川真理子さん(40)は「以前勤めていた建設会社の社長が中川さんと親しく、会社の新年会に出席してくれた時に花束を渡した。20歳になって初めての選挙で投票したのも中川さんで、ずっと応援していたのに」とショックを隠せない様子。
同市の主婦松井千晶さん(52)は「テレビのニュースを見て、エッと思った。いろいろ悩みはあったかとは思うが、お父さんも突然亡くなっているだけに運命的な何かを感じる。20年前、子供が通った小学校の運動会で中川さんと一緒に玉入れに参加、楽しんだ思い出がふと浮かんできた」。同市の会社員佐藤範雄さん(36)は「十勝のため再び頑張るという記事が載っていただけにびっくりした。今回の総選挙では海外での記者会見問題の影響もあり落選したが、中川さんも言っていたように十勝のことを一番よく知っている政治家。次のチャンスがあったと思うので、頑張ってほしかった」と話した。
同市の無職高屋敷正さん(81)は「どんな政治家が出ても、十勝といえばやはり中川親子をおいてほかにいないので残念。余裕のある雰囲気が特に気に入っていた」と語った。
一郎さんの生家がある、広尾町の男性漁業者(50)は「十勝選出の有力政治家。惜しい人材をなくしたと思う。実績も十分あった人だった。石川(知裕)さんと競い合ってより良い十勝をつくってほしかった」と残念がった。同町の主婦(63)も「ショックで頭が真っ白。疲れていたんでしょうか。お父さん(一郎さん)のころからずっと応援していた。次の選挙も応援しようと思っていた」と言葉少な。
幕別町内で自営業を営む樋口陵さん(44)は「父親と2代にわたり、守り続けた十勝の自民政権が絶たれて残念。帯広に帰ってきた時のニュースや新聞の記事で、生気がないように感じていたので、何となく心配だった。選挙での敗北が大きかったのでしょう」、清水町の会社役員桜井邦夫さん(61)は「十勝にとどまらず日本のために活躍していた。自民党政治やご自身の問題でいろいろ批判はあったが、今後の政治人生にどう生かすか期待していた。まだ若いだけに本当に残念」と話した。
浦幌町の農業男性(49)は「これまで十勝農業のために働いてきて、これからもまだまだやってくれると思っていた。1次産業の今後が心配」と肩を落とした。幕別町の農業男性(70)は「もう一度応援しようとの考えは、われわれ(農業者)にもあった。ただ、これから中心となるべき40、50代の支援をどう取り付けるかという課題もあった」と語った。
号外張り出し
中川昭一さんの急死を受け、十勝毎日新聞社は4日午前、号外を発行。市内のスーパーやJR帯広駅などに張り出した。突然の訃報に、市民からは驚きと戸惑いの声が上がった。
「うそ…」「やだ…」。午前11時40分、JR帯広駅北口に掲げられた号外を前に、多くの市民が口を押さえた。市内の主婦(52)は「信じられない。この間の街頭演説では元気な様子だったのに」と驚きを隠せない様子。市内の会社員男性(35)は「農業関係の仕事なので、選挙運動も手伝った。今回の選挙でも会ったが、すでに例の一件(G7後の記者会見)ですべてが終わった感じを受けていた」と話した。
「大切な政治家失った」
管内政財界に動揺広がる
突然飛び込んできた中川昭一さんの悲報に、十勝の政治・経済関係者にも「信じられない」「受け止められない」といった動揺、驚き、悲しみが広がった。
自民党道11選挙区支部副支部長の小野寺秀道議(帯広市区)は「十勝、北海道、日本にとって大切な政治家を、この地域で失ったのは大きな損失。言葉に表せないほどのショック」と動揺を隠さない。同支部幹事長の大谷亨道議は「再起を期すると思っていた。経産大臣、農水大臣の経験など日本の政治家の中で最もタフな政治家だったと思っている」と語った。
他党の関係者も一様に驚いた様子。民主党帯広の三津丈夫代表は「最近は会合などに顔を出していると聞き捲土重来(けんどちょうらい)を期して活動を再開したと思っていた」、共産党十勝地区委員会の佐藤糸江委員長は「政治信条、思想は違うが、ご冥福をお祈りする」と話した。公明党十勝総支部の大石清一総支部長は「びっくりのひと言。再起に向けて頑張っているのだと思っていた。年齢的にまだ若いのだが…」と述べていた。
高橋はるみ道知事は午前11時ごろ、池田町の秋のワイン祭りのあいさつで「私も大変お世話になりました。心よりご冥福を申し上げます」と語った。十勝毎日新聞社の取材に、「誰よりも十勝を愛されていた方で残念」と述べた。
砂川敏文帯広市長は「言葉がない。これからもお力添えを賜りたかった。残念でならない」、高橋正夫十勝町村会長は「十勝はもちろん日本をリードしていた人材で失った痛手は大きい。今後もいろいろな可能性を秘めていただけに残念」とコメントした。
帯広商工会議所の高橋勝坦会頭は「昨秋からの経済危機下の要望もすぐに対応してくれた。地元では知られていない気配りをしてくれていると感じていた」と実績を振り返った。萩原一利帯広建設業協会会長は「北海道・十勝にとってとても大切な人を失った。力も人脈もある人だから、まだまだ活躍してほしかった」と話した。
十勝農協連の山本勝博会長は、「今後も頼りにしていた。ただ残念という言葉しか見当たらない」と声を震わせた。全十勝地区農民連盟の山田富士雄委員長は「十勝だけでなく日本農業のため努力していただいた。農業政策には持論があり、非常に能力の高い政治家で尊敬していた」と話した。
※高橋勝坦会頭の高の字は異体字です。
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