宮崎正弘の国際ニュース・早読み |
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年)4月13日(木曜日)
通巻第1439号
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湾岸戦争の立案者が不正・腐敗の伏魔殿=「世界銀行」の改革に乗り込んだ
ネオコンの旗振り役、ウォルフォウィッツが不正融資、賄賂の厚い壁に挑む
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腐敗は政治につきもの。
蛮勇をふるう改革者が必要だ。
世界銀行が賄賂、不正融資、不正送金の闇に覆われている事実は存外知られていないが、先進国家にとって癌になる恐れがある。
嘗て「ネオコン」の旗手といわれた、ポール・ウォルフォウィッツ(前国防副長官)はブッシュ政権によって世界銀行総裁を拝命したのが、一年前。
これまでは改革に猛進すればするほど周囲の冷笑を浴びてきた。
汚職の伏魔殿で、いったい何が出来るか!と冷ややかな視線を浴びながらも、ひたすら世銀浄化に挑んできた。
4月11日、ウォルフォウィッツはインドネシアのジャカルタへ飛んで講演した。
「世銀の銀行部門は53名のスタッフが、65名に増員され、これまでの調査で387件の融資案件が疑わしく、そのうちの140件をチェックし直している」(NYタイムズ、4月12日付け)。
「融資が不正流用されている」と世銀の調査スタッフは厳しい目を向けている。
現在深刻な調査が実施されているのはインド、バングラデシュ、アルゼンチン、チャドなどへ世銀が融資をいったん決定した案件。
それにしてもイラク戦争の泥沼化を他方に眺めやりながらもウォルフォウィッツは決してめげないのだ。
サダムフセインが大量破壊兵器を隠し持っているとして、イラク戦争開戦の閣内議論をまとめ上げ、ペンタゴンでラムズフェルト長官の決断を主導した影の人物だけはある。
前総裁だったウォルヘンソンとて「世銀は汚職の癌」とまで辛辣に比喩し、腐敗ぶりを嘆いた。しかし手も足もでなかった。
米国に次ぐ出資額を誇る日本には、副総裁の椅子さえ廻ってきたことがなく、かろうじて寺沢芳男(前参議院議員、元野村証券NY会長)が関連機関の長になったくらい。
ともかく世界銀行の途上国融資の焦げ付きは以前から指摘されていたが、カネの使われ方に不明瞭、曖昧な点が多く、ウォルフォウィッツ世銀総裁が最初にやったことは疑惑のあるプロジェクトへの融資延期という強行手段だった。
コンゴに適用する予定だった返済繰り延べ計画のやり直し。同国の政治家への賄賂疑惑の捜査が曖昧な事実を槍玉に挙げた。それもコンゴの大統領が訪米の際に宿泊したホテル代金が8万ドルとは何事か!とウォルフォウィッツ総裁が突如噛みついたのである。
インドの医療システムへの融資8億ドルは「本当に医療制度改善に使われるのか、審査やり直し」でストップ。
バングラデシュの道路建設は競争入札の条件をクリアしていないという理由で3500万ドルを差し止めた。
アフリカのケニヤ、チャドや南米のアルゼンチンも同様。合計33のプロジェクトへの融資が宙に浮いた。
イラク戦争でウォルフォウィッツを批判してきた全米マスコミも、こんどばかりは絶賛気味な論評を展開している。
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(サイト情報)
<<A>>ブッシュ大統領は4月5日、ワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学で「テロとの世界的な戦い」の演説。大統領は「米国はイランの核武装開発計画を外交努力で阻止したい」。また「イラクが民主主義と平和を目指すことにより、テロリズムとの戦いの同盟国になりうる」とした。日中・日韓関係の改善の重要性を指摘して、米国もこれらの関係改善に向けて加勢してきた。米国と日本との関係は良好で、沖縄の米軍基地移設がこの度日米間で合意に至ったことを評価する、とした。
(1)ブッシュ大統領の演説
President Bush Discusses Global War on Terror、White House, April 10, 2006
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2006/04/20060410-1.html
(2)国務省ワシントンファイルの解説記事
http://usinfo.state.gov/usinfo/Archive/2006/Apr/10-539641.html
(3)イラン政策についてのCRSのリポート
Iran: U.S. Concerns and Policy Responses、CRS Report, April 6, 2006
http://fpc.state.gov/documents/organization/64413.pdf
<<B>>米国の経済成長の要である中小企業の経営者や自営業者の功績を称える行事が全米各地で予定されているが、ブッシュ大統領は3月23日の大統領宣言で、中小企業は雇用機会の増大に貢献し、米国の経済成長、雇用促進の原動力であると述べた。
(4)全文 Small Business Week, 2006、A Proclamation by the President of the United States of America
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2006/03/20060323-9.html
(5)国勢調査局の「中小企業週間2006」特集記事
U.S. Census Bureau Facts for Features, Small Business Week 2006
http://www.census.gov/Press-Release/www/releases/archives/facts_for_features_special_editions/006601.html
(6)ホワイトハウスの「米国経済に関するファクトシート」: Fact Sheet: Economic Growth Continues - More Than 5.1 Million Jobs Created Since August 2003
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2006/04/20060407-2.html
(7)中小企業の規模、従業員、売上高に関するさらに詳しい統計
Statistics about Business Size (including Small Business) from the U.S. Census Bureau
http://www.census.gov/epcd/www/smallbus.html
(8)政府説明責任局(GAO)の中小企業庁に関するレポート
http://www.gao.gov/new.items/d06605t.pdf
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(読者の声1)内紛が報じられている「新しい教科書をつくる会」のことですが、この組織の中にスパイが潜り込まないように注意する必要があります。
中国共産党の「対日工作」を読んでいると何故やたらと「中国へ招待」するのかがわかりますね。要は酒と女で誑かして弱点を掴みたいわけです。
(IT生、滋賀県)
以下は引用です。
「中国共産党の中央委員会調査部は、かって特務として、中国人にとってもっとも恐ろしい組織でした。党内のスパイ摘発はもちろん党員の生活のありとあらゆることを把握していた。つまり中国人は現在でも、すべてを、情報機関に握られていると考えてよい。したがって、合法的に海外に出る中国人は新聞記者であれ、学生、ビジネスマン、外交官などどんな身分であっても情報機関から何らかの依頼をされている筈だ。何千万という中国人が実質的には情報機関員として働いているとみてもよい。旧ソ連のように私はKGBですと名札をつけて歩いている情報要員ではないところが、恐ろしい」(192頁)(菅沼光弘 元公安調査庁調査第二部長、『この国を支配管理する者たち』、徳間書店)。
(宮崎正弘のコメント)「つくる会」の主要役員は、殆どが知り合いですので、内紛は憂慮にたえないことです。
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(休刊のお知らせ)小誌は4月15日から17日を休刊します。
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<宮崎正弘のロングセラーズ>
『中国瓦解』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書、861円)
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1470円)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1680円)
『拉致』(徳間文庫、620円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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◎小誌の購読は下記サイトから。(過去五年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所2001−2006 ◎転送自由。転載は出典を明記。
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