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きょうのコラム「時鐘」 2009年10月16日
 絶滅したとされる白山で再び確認されたライチョウは、6月に見つかった1羽と同じらしい。独りぼっちでよく頑張っている 
キジの仲間で、氷河期からの生き残り。氷河が去っても進化しそこねて下界に降りられず、高山に取り残された鳥と聞かされると、間抜けなようでもある。が、白山のライチョウは、北アルプスから山伝いに長旅を続けて、新天地を見つけたらしい。そうであるなら、あっぱれな行動力、生命力である 富士山にライチョウのつがいを運んで繁殖を試みたことがあったが、ほどなく絶滅した、という記事があった。人の手ではどうにも守れぬ命もあれば、人の手を借りることなく永らえる命もある。野生とは不思議であり、神秘的ですらある 白山には、もうすぐ冬が来る。確認されたライチョウは黒褐色の夏の羽毛だったが、やがて白一色の冬衣になって厳しい風雪に耐えることになる 霊峰にすむライチョウは、神の使いとしてあがめられてきた。いま、下界には不況の嵐が吹き荒れて、一向にやむ気配がない。冬の苦難に立ち向かう気高い鳥に、命永らえよ、と祈りを込めたくなる。  |