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「北朝鮮、対日改善望む」温首相説明 日中韓首脳会議

2009年10月10日13時33分

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写真北京の人民大会堂で記者会見する(右から)鳩山首相、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領=10日、代表撮影

写真日中韓首脳会議にのぞむ、(右から)鳩山首相、温家宝・中国首相、李明博・韓国大統領=10日午前9時15分、中国・北京の人民大会堂、代表撮影

写真温中国首相(右)の出迎えに、握手を交わす鳩山首相=10日午前、中国・北京の人民大会堂、飯塚悟撮影

 【北京=有馬央記、東岡徹、箱田哲也】鳩山由紀夫首相は10日午前、北京の人民大会堂で、日中韓首脳会議に臨んだ。中国からは温家宝(ウェン・チアパオ)首相、韓国からは李明博(イ・ミョンバク)大統領が参加。温首相は、先に会談した北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記について「6者協議に反対していない。対日関係の改善も望んでいる」と説明した。日中韓協力10周年を記念する共同声明を採択し、6者協議の早期再開に向けて取り組む方針などを盛り込んだ。

 約2時間の会議を終え、3首脳は共同記者会見した。温首相は金総書記との会談について「北朝鮮側は6者協議に反対せず、6者協議を含む2カ国、多国間協議を通じて問題の解決に対処する姿勢を示した。また、米国との関係改善とともに、日本や韓国との関係改善も望んでいるとの印象を受けた。米朝が真剣で建設的な対話をすることを支持する」と語った。

 鳩山首相は「(温首相から)日朝間を改善したいという金正日総書記の思いも、今日伝えていただいた。その言葉を、信頼申し上げたい。そのためにも、2国間会談から6者協議につなげていただきたい」と述べた。

 金総書記が、米国だけでなく、日本、韓国との2国間関係改善に意欲を示したことで、米朝協議に向けた環境が整いつつあると言える。

 会議の冒頭、鳩山首相は「今までややもすると、日本は米国に依存しすぎていた。日米同盟は重要だと考えながら、アジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい」と述べた。

 会議では、環境問題に焦点を絞った「持続可能な開発に関する共同声明」も別途採択。今後成長が予想される環境分野を「グリーン経済」と名付け、環境配慮型の産業構造への転換や、温室効果ガス削減に向けた協力強化の方針を打ち出した。水資源管理のための閣僚級協議を新たに設置することでも合意した。

 日中韓首脳会議は99年に、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の首脳会議の機会を利用して、非公式朝食会の形で始まった。以降ほぼ毎年開かれ、昨年12月には初めてASEAN関連会議とは独立し、「日中韓サミット」として福岡で開催された。

 10周年を記念する共同声明では、3カ国が「東アジア共同体」の構築に向けて協力してきた経緯について触れた。「歴史を直視し未来に向かうとの精神」にのっとって今後の協力を拡大する方針も盛り込んだ。

 鳩山首相は会議で、自らも「東アジア共同体構想」を掲げていることを説明して、連携を訴えた。「構想の核となるのがこの3国だと思う」と語り、「経済的な連携強化から始め、文化的社会的レベルの交流強化を図っていく」と説明した。

 北朝鮮問題をめぐっては、温首相と5日に会談した金総書記が「朝米協議の結果を見て、6者協議を含む多国間協議を行う用意がある」と発言したとされる。だが、会談の詳細な内容や、金総書記の健康状態などは明らかになっておらず、鳩山首相と李大統領は、温首相から直接説明を受ける機会として今回の首脳会議を重視していた。また、近く開かれる見通しの米朝協議についても意見交換。3首脳は、北朝鮮の核問題解決に最も有用な枠組みは6者協議であり、米朝協議を6者協議の再開につなげるべきだという認識を確認した。

 また、鳩山首相は、あらためて過去の歴史を直視する姿勢を強調したと見られる。日中韓首脳会議は小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝問題で中韓首脳が反発し、開催が見送られたこともあった。鳩山氏の姿勢を中韓両国は評価しており、3カ国の信頼関係の強化を確認した。

 鳩山首相は10日午後には胡錦濤(フー・チンタオ)・中国国家主席、温首相との個別の首脳会談も行う。

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