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日本年金機構:10年1月発足、民主、「つなぎ」で容認へ

 長妻昭厚生労働相は8日、社会保険庁を解体して新設する非公務員型法人「日本年金機構」について、前政権の方針通り、来年1月に発足させる意向を表明した。社保庁と国税庁を統合する「歳入庁」構想を公約に掲げた民主党は、機構発足に反対してきた。結局社保庁を存続させる法案が間に合わず、歳入庁創設までの「つなぎ」として容認する方針に転じた格好だが、懲戒処分を受け、機構に採用されない社保庁職員の扱いなど、課題は積み残したままだ。【塙和也、野倉恵】

 「既に内定者の方がいる。(移転先が決まっている)オフィスの問題がある」。長妻氏は8日、年金機構発足を認める理由を、記者団にこう説明した。

 民主党にとり、機構容認に転じるには大義がほしく、結論を出せずにきた。しかし、既に民間から採用が内定していた1000人は不安を募らせていた。

 役員選任も急がねばならず、発足を先送りすれば、内定者への補償問題が生じる。選択肢は限られ、厚労省幹部は「表明をちゅうちょしていたが、さすがにタイムリミットが来た」と話す。

 前政権が懲戒処分歴のある社保庁職員約790人を機構へ移行させず、再就職が決まらない場合は公務員の首切りにあたる「分限免職」とすると決めていた点も、長妻氏の判断を遅らせた。政府は各省庁への配転も想定するが、民主党の看板政策「公務員人件費の削減」に矛盾する。また、「配置転換には限界がある」(総務省幹部)ため、多くの採用は困難だ。

 解決策として、年金記録照合作業に1~2年の有期で雇用する案も浮上している。だが、長妻氏は野党時代、懲戒処分を受けた職員の採用に批判的だったこともあり、整合性を問われかねない。

 「年金記録問題の幕引きにつながる」と、機構に反対してきた民主党は、政権交代で懸念は解消されたと強調する。機構が「情報隠し」に走らぬよう、関連資料の国会提出などを義務づける協定を国と結ばせる意向だ。

 2年間での解決に向けた作業を見据え、10年度の概算要求には2000億円を盛り込む。近く厚労相直属の「年金記録対応チーム」(仮称)も発足させる。

 しかし、膨大な予算をかける8億5000万件の紙台帳とコンピューターの記録の全件照合に関し、厚労省は「7000人を投入しても10年かかる」と説明してきた。2年で仕上げるための人員確保は容易ではない。

 民主党の歳入庁構想も、具体像はこれからだ。公務員組織に戻すなら、やはり、目玉の行革方針にそぐわない。新政権は年金記録問題解決の「担保」を示せないまま、機構発足の受け入れを迫られた。

毎日新聞 2009年10月9日 0時04分(最終更新 10月9日 0時28分)

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