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九踏み目 元寇神社
2007年07月19日
●元寇神社
所在地 福岡県福岡市早良区西新7丁目
●祭神
元寇で犠牲になったすべての人々
●ご利益
モンゴルとの友好?
モンゴル神社?
所用で西新方面へ出ることになったので、思い出の場所に出かけてみることにした。西南学院大学体育館裏にある、元寇防塁跡。そこにお社がある。ボクは通称「モンゴル神社」と呼び、その前で踊りの練習をし、友人たちとバーベキューや鍋パーティーをし、野宿をしたりした。
立派な松の木が数本生えていて、うっかり寝転ぶと松ぼっくりのひだひだが、背中の肉に食い込んで痛かゆかった記憶がある。
久しぶりに出かけてみると、なんだか様子が違う。松の木が少し減ったかな?
この祠が、元寇に関連するものであることは、明々白々だったけれど、正式名称がなんというのか、ずっと知らなかった。
ボクらは「モンゴル神社」もしくは、友人の一人が住むアパートがあったため「●●邸前広場」などと呼んでいた。
改めて訪れてみると、ここが「史跡防塁跡」であることを示す石碑や、皇族の方がお手植えになった楠木であることを示す石碑はあるが、神社に関しては表示が無い。名もなき祠なのか…。
祠の中をのぞき込むと、ご神体らしき鏡はある。
もしや、と思い注連縄をめくると、扁額があった。「元寇神社」。事件そのものを祀る神社であったのだ。
ググって見ると、昭和6年に元寇で戦った、日本の御家人、モンゴル、中国、朝鮮人兵士を祀るために創建されたと書かれた個人サイトを発見した。なるほど。
敵も味方もまとめて、神様として慰霊する。日本ぽい。ここで日本兵といっしょに祀られたらかなわん! という近隣の国々からの抗議は、今のところないようだ。
20kmの防衛戦線
元寇防塁は「西は今津から、東は香椎まで約20kmにわたり…」など書いてある。勉強になる。が、元寇防塁は博多湾沿岸だけでなく、九州の西海岸にも造られた。長崎県松浦市から平戸市田平町にかけて約50kmにわたって、当時のまま放置されている。福岡市内に残るの10カ所ほどで、そのうちの一つがここ、西新防塁跡なのである。ちなみに、西南学院大学1号館の地下でも、掘り起こされた防塁を見ることができる(月〜金 17:00まで)。
元寇とは1274年(文永の役)、1281年(弘安の役)の二度におよぶ元帝国の侵略である。文永の役の時は、日本武士もモンゴル軍に敵せず、一部太宰府の水城に立て籠るほどの苦戦にあった。
いわゆる“神風”で辛くもピンチを脱した後、次なる侵攻に備えて建設したのが防塁だった。
弘安の役では、モンゴル軍は博多に上陸できなかったのは、防塁のおかげ、でもあるが、実はこのときまでにすべてが完成しているわけではない。
弘安の役もしのいだが、警戒は続けられ、鎌倉幕府滅亡の前年まで、防塁の工事や補修は続けられた。
いわば臨戦態勢が1332年まで続いたわけ。いつ果てるとも無い不安は心理的にも、財政の面でも、九州の御家人や庶民の大きな負担となっただろう。
モンゴル兵士の亡霊
学生時代によく祖原山に登った。山と行っても小高いこぶのような場所で、頂上に展望台があった(今は撤去されている)。
ここに、モンゴル兵士の亡霊が出るというウワサがあったのだ。
ボクは基本的に人間の魂が肉体を離れても、恨んでお化けになるなんてことがあるんだろうか、と考える。が、もし本当に幽霊というものがあるならば、ぜひじっくり話してみたい、とも考える。
どのていどの恨みなら、化けて出てやろうと思えるのか? そこんところを聞いてみたいのである。
ウワサとは、「てつはう」の音がして奇妙な雄叫びが聞こえる。とか、妙な気配がして振り向くと、モンゴル兵士が一人、恨めしそうに立っている。そんな話だった。
「てつはう」の音ね…。ともかく、ボクは何回か、友人や後輩と、もしくは一人で夜を過ごしたことがあるが、そんな異変には全く気づかなかった。
祖原山は、文永の役において、日本の御家人と蒙古軍の激戦区の一つだったことは確かである。今津方面から上陸してきたこモンゴル軍は、日本兵を散々に破り、この丘をに占領した。
祖原公園は、学生時代よりも木々が密生し、見通しが悪くなっていた。できたてのドームやシーホーク、福岡タワーを眺めながら、モンゴル兵との邂逅を願っていたなんて。変なの。
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● 執筆者: 高野龍也
印刷会社営業から、地元出版社勤務、フリーペー パー発行などを経てフリーライターに。2001年から3年間、某紙 企画で九州各地を取材して放浪。市町村単位で150市町村を踏破。 2005年10月よりペーパーカンパニーに参画。現在も紙面、企業広報紙、ホームページなどにて執筆。趣味は、写真を撮ること。パイプおよび喫煙。散歩。
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