一連の中川財務省辞任騒動に思うこと。

2 月 26th, 2009 | By KohMei | Category: Topics, メディアを疑え!, 日記

たまには真面目な話も書こうかなと。
私の院での専門は、ジャーナリズムでした。先生方にも大手メディアのOBやら現役の方が沢山いたりしたわけですが…。
まあなんというかね、日本のマスコミの信用できなさは異常。

とりあえず、今回の一連の騒動に関する疑問点をまとめてみました。
以下、長くなりますが是非最後まで読んでみて欲しいです。

1.中川氏に行動について
1)会見前に何が行われていたのか?
 →記者などを集めた食事会があった事は確認されている。
  参加した記者の詳しい話などは出ていない。
 
 ここで、会見前の食事会において中川氏に同行していたのは読売新聞の越前谷記者であったことがわかっています。
・不審な点1
 越前谷記者は、読売新聞の採用HPに先輩紹介としてインタビューが掲載されていました。
 画像はこちら 

 しかし、食事会の際に同行していた事実が発覚した直後、名前など全ての情報が削除されました。
 今のサイトはこうなってます

 なんで消す必要があったのか謎。そもそも普段から説明責任説明責任と政治家をチクチクやってる人達の説明責任はどうなっていますか? 

 一応でここ釈明的なことが書かれてますが…これですむならなんでわざわざ採用情報のところとか、他社のインタビュー(魚拓はこちら)まで削除する必要があるんでしょうか?
 
2)会見での前後不覚の原因は何か?
 →会見があった「前日」にお酒を飲んでいたのは本人も認めている事実。ただし、当日に関しては本人の弁は以下の通り。
 
 「G7本会合があった14日は昼食に出たワインを口に含んだだけ。記者会見前には絶対に飲んでいない」
 もちろん証言だけで無罪断定は出来ませんが。ただ、中川氏は以下のようなことも言っています。
 
 「1月にひいた風邪がずっと治らない。金融危機や国会対応で睡眠時間2、3時間の日が続いている。1泊3日の強行軍、ローマは気温0度前後で悪寒がした。熱も37度以上はあったろう。世界銀行のゼーリック総裁もゴホゴホしていた。 13日夜と14日朝と同日昼、主治医にもらった風邪薬と解熱剤、抗生物質をいつもの2倍飲んだ。それ以外に、腰痛の 鎮痛剤も朝昼晩と1錠ずつ飲んでいた」
 
 ここで、風邪薬と腰痛の薬を同時に飲んでいると述べているわけですが…
 風邪薬と腰痛の薬は、かなり成分が被っているようです。
 
 腰痛(デパス・アセトアミノフェン・アスピリン・イブプロフェンetc)
 風邪薬(アセトアミノフェン・イブプロフェン・コデイン・エフェドリン・抗ヒスタミン薬etc)
 
 風邪薬を飲んで眠気で朦朧とした経験のある人は多いはず。おそらく腰痛の薬とで成分が重なったことで、過剰摂取になったのでは?しかも2倍飲んでるし…。
 また、会見直前に(本人の弁を置いておくとして)軽くでもアルコールを摂取したならば、普段は大丈夫だったとしても相互作用で酷い状況になることはありえますね。
  
 当日について、中川氏の証言としては以下。
 「14日朝はスッキリと目覚めた。同日午前に始まったG7会合は大丈夫だった。頭もさえていたし、各国代表らと 激しい議論を戦わせた。ところが、同日午後の日露財務大臣会談あたりから、フラフラときていた。『薬のせいだ』と直感した」

3)バチカンの博物館での真実は何か?
 朦朧とした状態で美術品に触ったり、途中で座り込んだりして警報機がなってしまったらしい。
 ただし、バチカン側からの抗議は現在無し。
 
 ところで、ここで疑問が。
 ・不審な点2
  毎日新聞他の報道より
  http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090221k0000e040018000c.html

  「午後4時の閉館時刻を30分ほど過ぎていたため」
  
  …バチカンの2/14の閉館時刻は18時だそうですが?

  あと、「疲れていたようだが、酒臭くはなく、酔っている様子はなかったという。」
  ここの部分がTBSのニュースで削除されていたようで。なんとしても酒の責任にしたいがための印象操作といわれても仕方無いのではないでしょうか。
  
2.会見に対する海外の報道について
1)中川氏は本当に日本で報道される前に海外報道で厳しい批判にあったのか?
 →ABC記者のブログで寝ているのではないか、などと言われたが、そもそも酔っているとは書かれていない。

 また、Financial Timesの記事では中川氏の辞任について
 He liked being finance minister. And actually, he really was very good at it - at least on the days he could remember. He was definitely one of the more intelligent members of the Cabinet, he’d heard foreign reporters say that (後略
 彼は財務大臣の職務を好んでいたし、実際彼はたいへん良くやった。彼は文句なしに内閣でもよりインテリジェントなメンバーに数えられ、外国人記者にも評価されていた。
 とのこと。
元記事はこちら 
 
 海外で、所謂”SAKE Trouble”とか言われ始めたのは、日本での叩きが始まってからのようで。
 日本で叩く→外電が拾って報道する→日本に逆輸入「海外でもこんなに叩かれているぞ!」
 …世の中ではこれをソースロンダリングとかマッチポンプと呼びますが。
 
2)イギリス首脳の会見で中川氏は批判されたのか?
 →されていない。

 日本のメディアはこんな感じの報道。ゴードン・ブラウン首相も苦言を呈しているように読めますね。
 
 しかし、実際の会見内容は以下の通り。
 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/feb/19/gordon-brown-apology
 ”Your Finance Minister has actually been very ambitious in some of the things he has recommended”
 と、期待さえ示す発言をされているわけですが…。と、いうわけで以下の点。
 
3)マスメディアの報道と海外報道に差異は無いか?
 →海外で批判されているのはむしろブラウン首相を助ける事になったゴシップな質問をした空気を読めない日本の記者。
  ガーディアン誌の記事なんかからはそれが見て取れるんじゃないでしょうか。(最終段落付近とか)
  ”Everyone chuckled. But the Japanese refused to give up.”
  「みんなクスクス笑いをしてるのに、日本人は諦めなかった」
  で、何をどうすると「日本批判をしてました」っていう記事になりますか?
  
3.まとめ:この騒動について
1)果たしてこの騒動で、G7における中川氏の功績を無視してまで大臣を辞任する必要があったのか?
IMFのストロスカーン専務理事のコメントで、
  “The biggest concrete result of this summit is the loan by the Japanese… now I will continue with the objective of doubling the Fund’s resources.”
 「今回のサミットでの最大の具体的な成果は、日本によるその貸付である。」
 と、中川氏らによるG7での働きについて賛辞を送っています。
  これ、日本ではなぜか全然報道されないんですよね。というか…
 
  ・不審な点3
  時事通信の記事から、上述のコメントが突然削除されました。
  削除前
  削除後
  なんで消す必要があったのかわかりません。印象操作がしたいとしか思えないのですが、他の解釈がある方は大募集。

2)事の発端である中川氏の会見が海外で批判されたという日本の報道は正しかったのか?
→ABC記者のブログ以外でそういった話は無く、またそれも薬の飲みすぎで寝ていた事を問題視されている。
 海外記事での報道は、日本の報道がされてからのこと。つまりマッチポンプなんじゃないの?っていう疑惑。
 
3)辞任し謝罪もした上で今なお行われているバッシングは果たして正しいのか?
→確かに、会見の内容そのものはお粗末だったことは事実。ただし、それに関しての謝罪もし、責任として辞任もしたわけで。
 それ以上のバッシングが続いていることの是非は、以上を読まれた皆さんが是非判断して下さい。

え、昨日の記事と落差がありすぎるって?
まーそこは気にするなw

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