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著作権法は現代の禁酒法
Winnyの開発者、金子勇氏に逆転無罪判決が出た。これは法技術的にはともかく、ファイルの無断コピーが大量に行なわれ、P2Pがインターネットのインフラになりつつある実態に裁判所があわせたもので、コモンロー的には当然の判決だろう。BitTorrentやSkypeばかりでなく、ヤフー動画でさえ実はP2Pで配信されている。皮肉なことに、47氏(金子氏)の
禁酒法は13年あまりで廃止されたが、著作権法は国際条約になっているため、改廃することがきわめて困難だ。そして文化庁が著作権法を強化するとき、いつも口実にするのが「国際的ハーモナイゼーション」である。このように著作権の保護によって「産業競争力」を強化しようと各国が争う状況は、近代初頭の重商主義と似ている。それによって個々の企業にとっては利益が上がるが、情報重商主義によって情報の流通が阻害され、消費者の利益は損なわれる。こうした問題を個々の権利者の側からだけ見て「知財強化」をはかる産業政策的な方針は、長期的にみると情報流通を阻害し、社会全体の利益には必ずしもならない。
保護貿易をめぐっては、他国が保護を強化するから自国も強化しなければならないという囚人のジレンマがみられるが、知的財産権では権利保護の弱い国に情報が集中するという租税回避と同様のジレンマが生じている。 現在、インターネットの世界でもっとも映像コンテンツが集積しているのは韓国である。また中国が巨大な「コピー天国」として、世界の海賊盤の8割を生産しているともいわれる。これは世界経済にとっては、必ずしも悪いニュースとはいえない。特に開発途上国への技術移転や医療援助にとって、このような「情報密輸」は有用かもしれない。
欧米圏で情報を「財産」とみなす擬制が成立したのは、情報が書物やフィルムなどの物質に付随して売買されることが自然だった時代に法的な規範ができたためだが、そうした法律よりも先にデジタル情報技術が普及したアジアでは、情報を物として扱う規範は自明でもないし、効率的かどうかも疑わしい。GDPの0.1%にも満たない音楽産業の利益を守るために、P2Pのような重要な技術革新を非合法化することは、社会的な損失のほうがはるかに大きい。
1993年ごろ、ウェブ・ブラウザが急速に普及し始めたときWinnyのような訴訟が起こされていたら、今日のインターネットはなかっただろう。また1984年に、ユニバーサル・スタジオがソニーのVTRを著作権法違反で差し止める裁判に勝訴していたら、映画業界は最大の収入源を失っていただろう。歴史的には、むしろこうしたコピーを容易にする技術によって情報の流通が促進され、新しいビジネスモデルが生まれて情報産業は発展してきたのである。
47氏は2ちゃんねるで、P2Pを使って課金するシステムなどにも言及しており、すべての情報をコピーフリーにしろと主張していたわけではない。今や彼のいうように「後ろに戻れなく」なったとすれば、もう著作権法にはこだわらず、ネットワークで情報を共有することを前提にした制度設計のイノベーションを考えるときではないか。
個人的な意見ですけど、P2P技術が出てきたことで著作権などのという予言が現実になりつつあるのだ。ニューズウィークに書いたように、そもそもインターネット自体がホストを直結するP2Pネットワークなのだから、P2Pソフトの開発者をすべて逮捕したら、世の中からインターネット技術者はいなくなるだろう。つまりインターネットは日常的な著作権侵害を見逃すことで成り立っており、著作権法は、リアル・ネットワークスのロブ・グレイザーもいうように、現代の禁酒法になりつつある。
従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入しているのだと思います。
お上の圧力で規制するというのも一つの手ですが、技術的に可能であれば
誰かがこの壁に穴あけてしまって後ろに戻れなくなるはず。
最終的には崩れるだけで、将来的には今とは別の著作権の概念が
必要になると思います。
禁酒法は13年あまりで廃止されたが、著作権法は国際条約になっているため、改廃することがきわめて困難だ。そして文化庁が著作権法を強化するとき、いつも口実にするのが「国際的ハーモナイゼーション」である。このように著作権の保護によって「産業競争力」を強化しようと各国が争う状況は、近代初頭の重商主義と似ている。それによって個々の企業にとっては利益が上がるが、情報重商主義によって情報の流通が阻害され、消費者の利益は損なわれる。こうした問題を個々の権利者の側からだけ見て「知財強化」をはかる産業政策的な方針は、長期的にみると情報流通を阻害し、社会全体の利益には必ずしもならない。
保護貿易をめぐっては、他国が保護を強化するから自国も強化しなければならないという囚人のジレンマがみられるが、知的財産権では権利保護の弱い国に情報が集中するという租税回避と同様のジレンマが生じている。 現在、インターネットの世界でもっとも映像コンテンツが集積しているのは韓国である。また中国が巨大な「コピー天国」として、世界の海賊盤の8割を生産しているともいわれる。これは世界経済にとっては、必ずしも悪いニュースとはいえない。特に開発途上国への技術移転や医療援助にとって、このような「情報密輸」は有用かもしれない。
欧米圏で情報を「財産」とみなす擬制が成立したのは、情報が書物やフィルムなどの物質に付随して売買されることが自然だった時代に法的な規範ができたためだが、そうした法律よりも先にデジタル情報技術が普及したアジアでは、情報を物として扱う規範は自明でもないし、効率的かどうかも疑わしい。GDPの0.1%にも満たない音楽産業の利益を守るために、P2Pのような重要な技術革新を非合法化することは、社会的な損失のほうがはるかに大きい。
1993年ごろ、ウェブ・ブラウザが急速に普及し始めたときWinnyのような訴訟が起こされていたら、今日のインターネットはなかっただろう。また1984年に、ユニバーサル・スタジオがソニーのVTRを著作権法違反で差し止める裁判に勝訴していたら、映画業界は最大の収入源を失っていただろう。歴史的には、むしろこうしたコピーを容易にする技術によって情報の流通が促進され、新しいビジネスモデルが生まれて情報産業は発展してきたのである。
47氏は2ちゃんねるで、P2Pを使って課金するシステムなどにも言及しており、すべての情報をコピーフリーにしろと主張していたわけではない。今や彼のいうように「後ろに戻れなく」なったとすれば、もう著作権法にはこだわらず、ネットワークで情報を共有することを前提にした制度設計のイノベーションを考えるときではないか。
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http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-51318/1.htm
いきなりサイドのネタで申し訳ありませんが、記事を読んで笑ったので。
>47氏(弁護団は金子氏ではないと主張している)
これは、どのようなソースに基づいて書かれたのでしょうか?
京都での裁判を傍聴された方のブログを読むと、弁護人からの被告人に対する質問で、
「47番目の書き込みを示します。これはあなたの書き込みですか」
「はい」
というやりとりもあるようです。
http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20051212/p2
「国際的」とかいう理由で利権を貪っているのは
JASRACやB-CASが腐っているのと似ていますね
もはや「著作者を守る」という建前すら無視しているように感じます
禁酒法というのも言いえて妙ですね
ネットサーフィンだってサーバから文章や画像をダウンロードしているのにそれはお咎め無しという
根本的な問題はどうするつもりなのか興味深いです
日本の明治時代だって、かの有名な岩窟王とかああ無常とか、全部現代だったら著作権法違反の無断翻訳・無断改変のオンパレードです。
現代の閉塞した日本社会に生きる我々としては、こういう技術が開く、否応なしの後戻り不可能な変化こそが、唯一の突破口なのかもしれません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E6%97%97%E6%B3%95
馬車から車に変わるとき、新技術の重要性が不勉強なせいで、邪魔をしてしまう法律を作り発展を阻害しています。
ほとんどの人が過去から何も学ばずに来た人がよくわかります。
愚者は失敗に学び、賢者は歴史から学ぶ。
いつの時代でもどうやら賢者は少数派のようです。
インターネットというものが普及してそれを利用した悪事に対する明確な線引きやルールが出来ていないだけっという見方も出来ると思います。
著作権法は確かに時代遅れだと思うのだが、かといってそれに変わる新しいものを定義できていないのであって、今のようにP2Pにおいて価値ある情報(ってかソフトとか)を自由にコピーして使えるような状態がこれからのあり方であるとは思えない。
明確なルールや価値ある情報を守るシステムが出来れば順次、今のようなコピーフリーな状況は無くなっていくと思われるのだが。
著作権は守るべきだけど,音楽をコピーして友達に渡すとダメとか,図書館で借りる本はコピーが出来ないとか,コピーや配布行為を悪とみなす事がいかに馬鹿げていることか.結局のところ,個人が簡単にできる事を規制しても皆が損をするだけ,ということですね.
クリエーターなどの作品が保護されると同時に、ネット上で自由に流通されるようにするには、従来のテレビ放送のような広告料や寄付金等でクリエーターの作品を高額買取し、他方で自由に配布させることを保証するようなビジネスモデルにするか、ダウンロード毎に課金するようなモデルにするか、何か従来とは異なるビジネスモデルを産み出す以外にはなく、既得権益を保護するためだけの硬直化した保護のやり方では全く駄目でしょうね。
これは私的使用だからOKだと思うのですが、仮定の話でしょうか。
原判決では開発したソフトウェアが犯罪行為に広く利用されていると知って公開したことが幇助とされましたが、今回は、ソフトを違法行為のみに使用させるように勧めて提供しなければ幇助としないと判断されましたね。
しかし、ちょっと疑問なのは、実験のデータ収集のために匿名でソフトウェアを故意にばら撒くというのは金子氏特有の事情とも思えるのですが、ソフトウェア開発の現場ではそういう実験が普通にありうることなのでしょうか?そうだとすれば妥当な線引きなのだろうと思いますが、そうでなければ少し騒ぎすぎではないかと思います。
最近「著作権」という言葉が出てきた時には、私は「流通ビジネス権」と読み替えてみることにしてます。中には情報を生成した人を保護するための議論もありますが、話の半分は流通機構で利益を得る人達の話だということが分かります。
坂本龍一氏の下記の話は腑に落ちました。
これからの音楽のかたちと価値とは
http://www.phileweb.com/interview/article/200908/31/25.html
>これは私的使用だからOKだと思うのですが、仮定の話でしょうか。
私的というあいまいな限定をすればOKですが,基本的にはいつ著作権に触れるかわからない状態で,そういう意味でダメだと思っています.
特にコピーが複数だったり,孫コピーだった場合は判断が微妙なうえ,その可否がコピー実行者側で判断出来ないのが悩ましい限りです.
P2Pもしかり.
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