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きょうのコラム「時鐘」 2009年10月15日
戦後映画の名作「東京物語」には、上京した老夫婦が行く銀座の街にデパートが写っていた。「男はつらいよ」でも寅さんが「東京の一流のデパートでは」とやって商売する場面が必ずあった
デパートは長く日本人のあこがれであり、繁栄の象徴だった。上層階で開く物産展などの人気催事は「シャワー効果」と呼ばれ、上から下へと客を散らしていった。店内の人波はそのまま街に流れるから都市問題とも直結していた そのデパートの栄光が危うくなっている。日本百貨店協会のデータによると売り上げはピーク時の4分の3にまで落ちている。「大和」の4店舗閉鎖方針は、独り北陸の雄の苦境を示すものではない 再編の進む大都市のデパートでは一階からすぐ食品売り場になるのが最近の傾向である。人気のデパ地下も変化している。上からお客が降ってくる時代ではない。が、地方店ではマンネリが目立つ。海外ブランド頼りの高級化も画一化していないだろうか デパートの輝きは街の盛衰につながっている。魅力回復にセンスを磨いてほしい。「デパート物語」次回作に期待するファンは多い。 |