同交付金は、国が本年度補正予算に総額3100億円を計上。全国の10地域に100億円、84地域に25億円をそれぞれ上限とした交付金を出し、13年度まで地域医療充実のための取り組みを支援する計画だった。 県は9月に100億円交付の対象地域として「富士・東部」、25億円の対象地域として「峡南」の両医療圏を選定し、申請に必要な地域医療再生計画を策定するなどの準備を進めてきた。 しかし厚生労働省が今月9日、3100億円のうち750億円の執行を停止する方針を示したことを受け、県は「100億円の交付地域がなくなり、一律25億円となるのがほぼ確実な状況」(医務課)と判断。新たに富士・東部で交付額25億円を想定した計画を策定し、14日開かれた県医療審議会に示した。 当初計画では大月、都留の両市立病院を再編し、拠点病院を新たに設けることで医師確保などにつなげることを想定していた。だが「多額の費用が必要な拠点病院は25億円の交付金では整備できない」(横内正明知事)として、25億円の交付を想定した新たな計画では、上野原を加えた東部地域の市立3病院の診療や救急体制の強化などを図る内容に方針転換した。 交付金が減少する見通しに、横内正明知事はこの日の記者会見で「拠点病院ができなくなることは極めて残念だ」と強調。石井由己雄大月市長は「病院再編というチャンスが消えれば、医療格差の是正が遠回りになる。東部地域の市立病院が互いに補い合っていきたい」とした。 一方、25億円の交付を見込んで策定した峡南医療圏の計画は当初案通りに国に申請する方針。ただ政府が執行停止額の上積みに向け最終調整を進めており、地元首長からは交付金の削減がさらに拡大することへの不安の声もある。石川洋司鰍沢町長は「25億円の交付額は最低でも維持してほしい。これ以上削られれば事業の価値がなくなってしまう」と懸念を示した。 地域医療再生計画の厚労省への提出期限は16日。厚労省側から交付金削減後の制度設計について具体的な説明がないため、県は富士・東部医療圏については25億円と100億円を想定した二つの計画を提出する方針だ。
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