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この章の学習内容は,次の通りです。 (1)アルカン (2)アルケン (3)アルキン メタンなどの鎖式の飽和炭化水素をアルカンと総称します。また,アルカンはメタン系炭化水素またはパラフィンともよばれます。エチレンなどの分子中に二重結合を1つ含み,他はすべて単結合の鎖式炭化水素をアルケンと総称します。アルケンは,エチレン系炭化水素またはオレフィンともよばれます。アセチレンなどの分子中に三重結合を1個含む鎖式炭化水素をアルキンと総称します。アルキンはアセチレン系炭化水素ともよばれます。この章では,アルカン,アルケン,アルキンについて勉強しましょう。 炭素数1のアルカンはメタンです。メタンは,下のモデルのような正四面体構造をしており,正四面体の中心に炭素原子が,各頂点に4個の水素原子が位置しています。水素原子−炭素原子−水素原子の結合角は約109.5°になります。炭素数の多いアルカン分子では,各炭素原子がそれぞれ正四面体の中心に存在し,その頂点方向で他の原子と結合した構造をしています。 |
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![]() アルケン分子では,二重結合をしている炭素原子2個と,これに結合する原子4個は同一平面上に存在し,結合角は約120°になります。アルケン分子では,構造異性体だけではなく,幾何異性体も存在することに注意して下さい。一般に炭素原子間の二重結合は,それを軸として回転することは難しいのです。このため,2−ブテンでは,下のモデルのように,メチル基が二重結合をはさんで反対側にあるトランス形と,同じ側にあるシス形の異性体が存在するのです。 |
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![]() アルキン分子では,三重結合をしている炭素原子とこれに結合する2個の原子は,一直線上に存在します。したがって,結合角は180°になりますね |
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また,アセチレンに塩化水素や酢酸,シアン化水素などを付加させると塩化ビニル,酢酸ビニル,アクリロニトリルなどのビニル化合物ができます。塩化ビニルからポリ塩化ビニルができます。ポリ塩化ビニルは水道管などに使われています。酢酸ビニルからはポリ酢酸ビニルができます。ポリ酢酸ビニルは接着剤やガムの原料になります。アクリロニトリルからはポリアクリロニトリルができます。アクリル製品にはセーターや毛布などがあります。 ![]() いきなりいろいろな化合物が出てきて,驚いている人も多いでしょう。しかし,心配はいりません。すぐに慣れます。炭素原子には不対電子が4個有り,4カ所で共有結合ができること,二重結合は不対電子が4個,三重結合は不対電子が6個関係していることを理解しておけば,構造はある程度類推できます。また,有機化合物には多くの慣用名がありますが,現在では命名法によって整理されています。命名法をマスターすれば,名前から構造を知ることができるのですよ。とても便利です。 それでは,この章の学習内容の確認です。
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答
1.正四面体構造
2.置換反応
3.平面構造
4.付加反応
5.直線構造
6.異性体
7.構造異性体
8.立体異性体