7日、パレスチナ自治区ガザ市での抗議デモで、アッバス自治政府議長のポスターに靴を投げ付けるパレスチナ人男性(AP=共同) アッバス議長に批判集中 イスラエル追及自制で【エルサレム共同】パレスチナ自治政府のアッバス議長が、イスラエルによる自治区ガザへの大規模攻撃を国連の場で追及する動きに自らブレーキをかけたとして激しい内部批判を浴びている。自治区では抗議行動が相次ぎ、議長側近は7日、地元ラジオに「(対応に)誤りがあった」と認めた。 問題視されたのが、昨年末から約3週間続いたガザ攻撃について国連人権理事会の調査団が「戦争犯罪に当たる」と指摘した報告書への対応。同理事会は2日、報告書を支持して国連総会などに議論を移す決議案を採択する予定だったが、当事者のパレスチナ自治政府が土壇場で支持を撤回し、採択は来年3月に先送りされた。 パレスチナ当局者によると、中東和平の仲介役の米国が、決議案が採択されれば和平交渉の早期再開が困難になると「強い圧力」をかけ、アッバス氏は撤回を迫られたという。イスラエルは、採択されれば「和平プロセスに致命的な打撃となる」と警告していた。 一方、パレスチナの一部メディアは、アッバス氏がガザ攻撃のさなかにイスラエル指導部と秘密会談しガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスを弱体化させるため作戦継続を要請したことを、今回イスラエルから暴露すると脅されたのが撤回の理由だと報じた。 パレスチナの人権団体は連名で、自治政府の対応は「司法による救済というパレスチナ人の権利を否定し、犠牲者を侮辱した」との声明を発表。ハマス幹部は「アッバスはイスラエルと手を組み、パレスチナ人を裏切った」と激しく非難した。 【共同通信】
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