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詐欺、証拠は赤ちゃんの血 中国人偽装母子事件

2009年10月10日15時4分

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 札幌市に住む中国人の女(28)が不法残留の中国人夫婦の子供を自分の子と偽り、出産一時金をだまし取った詐欺事件が今年1月に発覚した。詐欺容疑の裏付けには、子供と女が親子ではないことを示す証拠が必要だったが、子供はすでに中国に出国。証拠集めが難航する中、北海道警は子供の血液が医療機関に残っていることをつきとめた。

 捜査関係者によると、愛知県警から今年1月、「母子関係を偽装して金をだまし取った女が札幌にいる」と連絡があった。入管法違反(不法残留)容疑で同県警に逮捕された中国人夫婦が「女から健康保険証を借りて出産し、その女が実子として役所に届けた」と供述したという。

 道警が捜査を始めると、女は札幌市内のシステムエンジニアで、名古屋市の大学に留学中の08年2月、不法滞在中の中国人夫婦の妻が入院できないと知り、健康保険証などを貸して自分の名前で入院させて女児を出産させていた疑いが浮上。出産後、夫婦が「子どもがいると日本で稼げない」と訴えると、女児の旅券を取り、中国にいる夫婦の親類の元へ女児を届け、現金10万円を受け取っていた。

 女はこれらの不法行為に際し、女児を実子と偽った出生届を名古屋市昭和区役所に提出して出産一時金35万円をだまし取った疑いも強まった。

 しかし、女児は中国にいて、女の実子でないことを客観的に示す証拠集めは難航した。そんな時、身内に出産経験のある捜査員が思いついた。「病院に血液が残されているかも」。先天性の難病を見つけるために新生児から血液を採取して行う「マススクリーニング検査」を受けている可能性があった。

 検査は、親の希望で実施され、検査用血液は専門機関で一定期間保管される。病院に問い合わせると、名古屋市の委託機関に女児の血液が保管されていることが分かった。おなかを痛めた実の母親が、娘の健康を心配して検査を希望したとみられるという。(小峰健二)

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