国民生活に直結する分野で大胆な政策転換を図り、政権交代の持つ意味を知らしめている鳩山政権が、外交・防衛分野でも「変革」を印象付けられるか、正念場を迎えている。
評価の分かれ目となる重要なテーマの一つが、アフガニスタン復興支援だ。来年1月に根拠法の期限が切れる海上自衛隊のインド洋での給油活動問題が絡み、ひと筋縄ではいかないが、鳩山政権には「戦力不保持」をうたう憲法に基づき、人道支援で復興に貢献してもらいたい。
変革を示す第一歩はインド洋からの海自艦船の完全撤退だろう。岡田克也外相は、給油活動について「単純延長はない」「兵を出すばかりが支援ではない」とし、前政権との違いをにじませてきた。客観情勢としても、法改正に日程的な猶予がなく、延長は物理的に困難だとの認識を示した。
外相見解を受け、海自艦船は1月にいったん撤収する見通しが強まったが、撤収の流れは民主党方針からすれば当然だ。国会でこの間、給油継続に反対してきた経緯がある。鳩山首相は就任前から「基本的に延長しない立場だ」と表明。社民、国民新両党との連立合意の際にも、来年1月での撤収方針を口頭確認している。
確かに、米国主導の国連安保理から給油継続の要求がある。鳩山政権としては日米同盟にひびを入れたくない思いはあるだろう。だが、日本の政治が変わったことを内外に示したいなら、筋違いの圧力をはねのける強い姿勢が求められる。海自艦船は「いったん」ではなく、完全撤退させるべきだ。
インド洋への自衛隊派遣には憲法を拡大解釈したとの疑念も付きまとう。他国の艦船やヘリに給油しても、対テロ作戦に限定使用されたかどうかは明らかでない。日本が結果的であれ、戦争に加担した可能性を否定できないのだ。
そもそも、給油活動への国際的認識は低い。和平構築の道筋に貢献している支援との受け止めは少ないとされる。実際、アフガン側も「本質的な支援ではない」(カルザイ大統領)と、給油にこだわっていない。
ここは決断の時だ。鳩山政権は軍事協力に終止符を打ち、職業訓練など民生分野を軸とした支援強化に施策を切り替えたい。アフガンの若者が生活力を高めれば、貧困からテロ組織に取り込まれる連鎖を断ち切る好機ともなろう。
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