新政権への「提言」を厚労省に提出−日医
日本医師会の中川俊男常任理事は10月14日の定例記者会見で、医療政策についての「日本医師会の提言−新政権に期待する−」を同日、厚生労働省の政務三役あてに提出したことを明らかにした。中川氏は提言実現に向け、「特定の政党に限らず説明していきたい。真摯に議論ができる環境に、近い将来なるだろうと信じている」と期待感を示した。
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「日本医師会の提言−新政権に期待する−」は、新政権に対し、日医の医療政策を改めて説明することを目的に作成。中川氏によると、医療崩壊の実態を示した上で、「重要度かつ優先度の高い個別課題」を取り上げた。
第1部の総論は、▽社会保障費削減政策を振り返る▽医療崩壊の実態▽医師不足対策▽国民皆保険を守るための日本医師会緊急提言−など、第2部の各論は、▽日本医師会「高齢者のための医療制度」▽新医師臨床研修制度を見直し、地域で医師を育てる▽2010年度の診療報酬改定において解決すべき課題−などの柱で構成。
「国民皆保険を守るための日本医師会緊急提言」では、▽診療報酬の大幅かつ全体的な引き上げにより、地域医療の崩壊を食い止める▽患者一部負担割合を引き下げ、経済的理由による受診抑制を起こさない−の2点を掲げている。
このうち「患者一部負担割合の引き下げ」では、「まずは早期発見、早期治療が重要であり、そのために、外来引き下げを優先する」とした上で、▽0歳から義務教育就学期間中は、外来患者一部負担を無料にする▽義務教育修了後の現役世代については、現在の3割負担を2割負担に引き下げる▽70歳以上は一律1割負担にする−の3点を提案。外来患者一部負担割合の引き下げに伴う給付費増額は、「保険料の引き上げではなく、公費での対応を求めたい」としている。
これに関連して、中川氏は会見で、「公費割合は上がることになる。これは(経済情勢を踏まえた)緊急措置なので、やっていただきたい。まず来年度は緊急措置だが、再来年度に恒久的なものに移行すれば、それは非常にいいことだと思う」などと述べた。
また、診療報酬の大幅な引き上げについては、02年度から08年度までの間に引き下げられた診療報酬は「累計7.73%である」と強調し、「大幅ということは、まずこれを元に戻すということ」などとしたが、具体的な引き上げ率については明言を避けた。
提言の具体化・実現のためにどのように働き掛けていくかとの質問に対し中川氏は、「特定の政権に限らず、機会があれば与野党共に説明する方向でいきたいと思う。(日医の)日本の医療を良くしたいという思いは、厚労省の政務三役の先生方と一致していると思うので、真摯に議論ができる環境に、近い将来なるだろうと信じている」と述べた。
更新:2009/10/14 21:32 キャリアブレイン
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