[掲載]2008年5月17日
ムック本「ノンフィクションと教養」(1200円)を16日、講談社が刊行した。昨年末に休刊になった「月刊現代」の編集長だった高橋明男ジャーナル・ラボ担当部長が編集人だ。月刊現代は、すぐれたノンフィクション作品を世に出してきた「講談社ノンフィクション賞」の掲載誌。休刊が決まったとき、取材に行った私に高橋さんは「無念」という言葉を繰り返していた。
「今回の本の裏テーマは、ノンフィクションの逆襲」と高橋さんは言う。「ノンフィクションは、まだまだ死なない。この本から反転攻勢するんだという思いを込めました」
責任編集は作家の佐藤優氏。月刊現代の主要ライターの一人だった。休刊後も、この雑誌への愛情をさまざまな場で表明している。
その佐藤氏の提案で目玉企画になったのが「100冊×10人セレクション」。加藤陽子、佐藤優、佐野眞一、岩瀬達哉、魚住昭、重松清、二宮清純、野村進、原武史、保阪正康の各氏が、それぞれ100冊を選び、すべての本にコメントを寄せた。延べ千冊。さながら高品質ノンフィクションの総合カタログだ。
この中から「総合ベスト10」も選出した。『日本共産党の研究』(立花隆)、『戦艦大和ノ最期』(吉田満)、『レイテ戦記』(大岡昇平)、『昭和史発掘』(松本清張)、『誘拐』(本田靖春)、『ベスト&ブライテスト』(D・ハルバースタム)など名作が並ぶ。
こういう本が出るというので、書店が早くも反応した。「この千冊でブックフェアをしたい。リストを教えてほしい」という依頼がいくつもきた。ネット書店も専門ページを近く立ち上げるという。
月刊現代の休刊直後から構想を練り、4カ月がかりで作った本。高橋さんは「月刊現代のDNAを残したかった。この本で、ノンフィクションの世界が活気づくとうれしい」と語る。「月刊現代の逆襲」とも言えそうな一冊だ。(西秀治)
著者:佐藤 優
出版社:講談社 価格:¥ 1,200
著者:立花 隆
出版社:講談社 価格:¥ 730
著者:立花 隆
出版社:講談社 価格:¥ 650
著者:立花 隆
出版社:講談社 価格:¥ 620
著者:吉田 満
出版社:講談社 価格:¥ 987
著者:大岡 昇平
出版社:中央公論新社 価格:¥ 880
著者:大岡 昇平
出版社:中央公論新社 価格:¥ 900
著者:大岡 昇平
出版社:中央公論社 価格:¥ 920
著者:松本 清張
出版社:文藝春秋 価格:¥ 870
著者:本田 靖春
出版社:筑摩書房 価格:¥ 840
著者:デイヴィッド ハルバースタム
出版社:朝日新聞社 価格:¥ 945
著者:デイヴィッド ハルバースタム
出版社:朝日新聞社 価格:¥ 945
著者:デイヴィッド ハルバースタム
出版社:朝日新聞社 価格:¥ 945
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