政治・行政
・渡辺博史・一橋大大学院教授の日銀副総裁就任に民主党が同意しなかったことで、日銀は2人の副総裁のうちの1人を欠いたままでの出発を余儀なくされた。元財務官である渡辺氏は、元副総裁の武藤敏郎氏、国際協力銀行総裁の田波耕治氏につぐ3人目の候補で、財務省にとっては切り札的な人物。政府が財務省出身者の起用に固執しているに対して、民主党は、財政と金融の分離、天下りの排除を原則に、財務省出身者の日銀入りに徹底して抗した形だ。だが、党内では不協和音も生じ始めており、9日の衆参両院本会議での人事案採決を前に、党の結束を固めて造反を防げるかどうか、小沢代表の手腕が問われている。
社会・文化
・先日、厚生労働省が「医療安全調査委員会(仮称)」の最終試案を公表した。平成10年度以降に設置が予定されているこの委員会は、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会の医療版であり、第三者機関として医療死亡事故の調査を行うことを目的としている。試案では、調査対象を「医療過誤か、合理的説明がつかない死亡」に限定。この場合、医療機関は調査委への届け出を義務付けられる。調査によって、悪質なカルテ改竄や重大な過失が判明すれば、調査委は警察に通報することになる。試案は今国会で提出される見通し。
産業・経済
・国際通貨基金(IMF)の「世界金融安定報告」で、米低所得者向け住宅融資に端を発するいわゆる「サブプライムローン」問題に絡む損失額の試算が明らかにされた。それによると、全世界の金融機関がこの問題で被った損失は、最大で9450億ドル、約96兆円に達する見通し。これは、昨年9月時点での試算の約5倍の規模であり、今後もさらに膨らむことが懸念されている。IMFは、この問題の影響が長期化するとの予測の下に、今後の対策として、資本不足の金融機関の資本増強、公的資金の投入などを検討する必要があるとしている
国際
・北京五輪の聖火リレーの立ち寄り地である米カリフォルニア州サンフランシスコの観光名所ゴールデンゲート・ブリッジ(金門橋)に、抗議の横断幕が掲げられた。これは、チベット支援団体「自由チベット学生組織」の人権活動家が、チベット暴動に対する中国政府の対応を批判し、五輪に抗議をする目的で計画したパフォーマンス。高さ約45メートルの上空に掲げられた横断幕には、「世界は1つ。夢は1つ。チベットに自由を」などのスローガンが書かれていた。よじ登ったワイヤーから降りた活動家らは、不法侵入容疑などで逮捕された。
自然・科学
・米ハーバード大幹細胞研究所が、難病患者の皮膚からiPS細胞を作成することに成功した。iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、患者本人の細胞から作られる人工の幹細胞。体のさまざまな部位の細胞になる能力を持つため、再生医療での活用が期待されており、各国の研究競争が激化している。今回、同研究所は「レッシュ・ナイハン症候群」という遺伝子疾患の患者1人から細胞の提供を受けた。今後も神経疾患や糖尿病、肥満症などの複数の病気の患者から細胞の提供を受けて、iPS細胞の作成を進めることにしているという。