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赤旗日刊紙に連載された旭爪(ひのつめ)あかねさんの「稲の旋律」の映画化。5月から撮影が開始されていたがいよいよ完成も間近。12月11日に、東京・有楽町朝日ホールで完成有料試写会を開き、以後2010年1月のポレポレ東中野での公開を皮切りに、順次全国で上映される。

(「しんぶん赤旗・日曜版」2009年10月11日号から)映画『アンダンテ ~稲の旋律~』公式ホームページ



<参照>
2009年5月4日(月)「しんぶん赤旗」
「稲の旋律」撮影始まる/千葉・横芝光町映画「稲の旋律」撮影始まる/横芝光町【読売新聞】以下は「しんぶん赤旗記事情報/G-Search」で検索、貼り付け。
(写真は「G-Search」には記録されていないので映画「稲の旋律」撮影始まる/横芝光町【読売新聞】のものを転用)==============================================
本紙連載小説の映画化すすむ/「アンダンテ~稲の旋律~」ロケ訪問/青年主人公の再生物語(しんぶん赤旗)2009.07.20 日刊紙 16頁 一般 (全2,113字)
田植えシーンに取り組む女優陣(中央左)(5月3日、横芝光町台地区で) 本紙で、爆発的人気を得た連載小説「稲の旋律」(旭爪あかね作)の映画化が決まり、5月から撮影が始まっています。タイトルは「アンダンテ~稲の旋律~」(同映画製作委員会)。千葉県横芝光町のロケ現場を訪ねました。
引きこもりの生活に苦しむ主人公の千華(新妻聖子)が、自然農業に取り組む晋平(筧利夫)との交流から、再生の道を探っていく物語。原作は、2001年の連載中から連日のように読者から感想が寄せられる人気ぶりで、03年に多喜二・百合子賞を受賞しています。
この日は、陽光照り付ける田んぼでのロケーション。この田んぼは、横芝光町の佐藤晴彦町長が会長を務める、同映画を支援する町民の会のメンバーが提供。メガホンをとる金田敬監督は、「自然相手でこちらの思い通りにいかない難しさはありますが、田んぼがとても奇麗で説得力がある」と話します。
これまで主にミュージカルで活躍し、文化庁芸術祭新人賞などを受賞している千華役の新妻さんは、今作が映画デビュー作。晋平役の筧さん、千華の元同僚・逸子役の秋本奈緒美さんは、ともに舞台、テレビ、映画と幅広く活躍中です。
この日、メーンキャストの3人はそろって農作業スタイル。千華と晋平を乗せて、逸子が軽トラックを運転する場面の撮影が進みました。危なっかしい運転で農道を走る軽トラが田んぼに突っ込み、そこからさらに、晋平がトラクターで軽トラを引き上げます。細かいカット割りで、約4時間かけて撮っていきました。
脱輪にあわてる千華と逸子とは対照的に、「落ちたらまた引き上げればいいんだから」という晋平の大らかなせりふが現場に響きます。効率優先の競争社会で生きづらさを抱えてきた千華が、そんな晋平を見つめて「アンダンテ(歩く速さで)」というタイトルにもなっている言葉を、ふとこぼす重要なシーン。監督は「効率的に物事を進めることがすべてではないというメッセージを、原作のイメージを壊さず伝えたい」と話します。ほかに、松方弘樹さん、宇都宮雅代さん、村野武範さんらが出演します。
制作費の大半は、映画の鑑賞券をかねた製作協力券(1口10万円=100枚)の販売でまかないます。12月11日に、東京・有楽町朝日ホールで完成有料試写会を開き、その後全国で上映予定。
問い合わせは ℡042(396)7815 映画「アンダンテ~稲の旋律~」製作委員会
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千華役/新妻聖子さん 原作はとても面白くて、一晩で読んでしまいました。人に良く思われたくて、良い格好をして、疲れてしまうというのは、誰でも多かれ少なかれ経験していること。千華は、我慢のタンクがいっぱいになって、それ以上前に進めなくなってしまいます。疲れて休んでいるのは、無理をしていたから。転んでけがをして痛くて立ち上がれないんだから、無理やり立ち上がらないで、傷が癒えるまで待って、そこからまた歩き出せばいいんだよ、という晋平さんのセリフは、本当にその通りだと思います。「引きこもり」の一歩手前で苦しんでいる人も多いのではないでしょうか。映画をご覧になった方が、今一度自分を見つめ直して、無理のない範囲で優しく生きていけることができたら、と思います。
逸子役/秋本奈緒美さん逸子は一度離婚をしていて、女ひとりで頑張らなければと、キャリアを積んできた女性。逸子も千華ちゃんと同じように農作業を通して、ほぐれていきます。今の若い人たちは、私の若いころより、生きづらいのではないかと思います。情報はあふれてはいるけれど、体感する情報が少ない。農業問題もこの作品の大きなテーマですが、お説教くさくなく、晋平を通して語られていきます。日本の食の現状をもっと知らせるために、この作品の果たす役割は大きいと思います。
晋平役/筧利夫さん 農業問題が前面に押し出された作品です。ストーリーを通して、こうした問題について考えていただけたらいいな、と思いますね。「曲がって植えようが転んで植えようが、稲はまっすぐ上を向いて伸びるんだよ」というせりふに、晋平という役の魅力が象徴されていると思います。農作業の服装にもなじんできて、変に力が入ることなく、やれるようになってきましたね。晋平役のモデルといわれる土屋喜信さんに、いろいろお話を聞きながら、演じています。
原作者旭爪あかねさん/伝えたかったこと 映画化の話を聞いたときはとても驚きました。脚本を読みましたが、私が伝えたかったことを大切にしてくださっていると感じています。「稲の旋律」を書いた当時、千華のような人間を「甘えている」とおっしゃるのは、主に上の世代の方で、若い人たちには共感してもらえていたように思います。それから7年がたち、状況が変わってきました。ワーキングプアや貧困の問題がクローズアップされ、若い人の中でも、「働かずにひきこもっていられる千華」を甘えていると感じる方が多くなってきているような気がします。けれど、千華の抱えている問題も、働いても食べられない、働きたくても働けない問題も、根底ではつながっているのだと思います。この映画が、千華や私と同世代の方にも共感してもらえる作品になったらうれしいです。
しんぶん赤旗