きょうのコラム「時鐘」 2009年10月14日

 日本一を目指す争いを控えたプロ野球界は、人事の季節でもある。新しい指揮官や参謀の名前が次々と報じられる

BCリーグを引っ張った金森栄治監督が、ロッテの打撃コーチに就く。寂しいが、感謝と声援を送りたい。請われて赴く人があれば、不本意な処遇に直面する人もいる。いま一番の注目は、楽天球団の野村克也監督の去就だろう。弱小チームを2位に押し上げ、日本一も狙おうという矢先に、今季限りのクビ通告である

契約満了という申し出に、「冷たい球団だよ」と毒づく監督。いいトシをした大人の争いには、ほかからはうかがい知れない事情があるに違いないが、戦いの駆け引きなら監督の方が数段上。ファンの同情を味方に付けている

野村監督は、丹後の生まれ。北陸と同じ厳しい風土で育った。「オレは日本海に咲く月見草」というボヤキが有名だが、最下位の屈辱も優勝の栄光も球歴に刻み、毒舌も健在。随分と派手な月見草である

「老人力」の見本のような74歳の指揮官は、次の一手を思案する気配である。球場外の駆け引きの方が面白いプロ野球も、たまにはいい。