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田母神元航空幕僚長、広島原爆の日に講演を強行

      「唯一の被爆国だから核攻撃受けないために核武装すべき」と怪気炎

山本宏樹2009/08/11
 「我々をまた戦争に引きずり込むな」「広島の怒りをなめるな」「日本の核武装をゆるさんぞ」―― 原爆の日の8月6日、広島市中区・原爆ドーム前で約300人以上のデモ隊が田母神俊雄元航空幕僚長の講演に講義するためシュプレヒコールをあげた。演題は「ヒロシマの平和を疑う!」。原爆ドームから直線距離で僅か150メートルのホテル「メルパルク広島」の6階「平成の間」で講演会は開かれた。

田母神元航空幕僚長、広島原爆の日に講演を強行 | 原爆ドーム前で行われたデモの様子(撮影すべて山本宏樹)
原爆ドーム前で行われたデモの様子(撮影すべて山本宏樹)
 2020年までに核兵器廃絶を目指す「2020ビジョン」を進める広島市の秋葉忠利市長をはじめ、麻生太郎首相、民主党の鳩山由紀夫代表らも同日「平和記念式」や会見などで非核を訴えた。

田母神元航空幕僚長、広島原爆の日に講演を強行 | 講演する田母神氏
講演する田母神氏
 核保有論者と言われる田母神氏の講演会開催が明らかになったとき、「被爆者や遺族の感情を逆撫でする」と、秋葉市長や被爆者団体が連名で日程変更の抗議文を送るなどしたが、主催者側は「表現の自由」として応じず、地元の新聞に「予定通り8月6日に開催いたします」と意見広告を出すほどであった。

 開演前の講演会場は1300人の聴衆で溢れかえっていたが、静かだった。しかし、席の最前列に警備担当のスタッフが数人間隔で座り、何人ものSPのいる講演会は「何か起きそうな」物々しい雰囲気だった。

 講演に先立ち、田母神氏と聴衆は、国旗に向かい「君が代」を斉唱し、黙とう。冒頭、「危険人物の田母神です」と聴衆の笑いをとった田母神氏。時たまジョークを挟みながら、2時間にわたり、自論を展開した。

 「私は危ないヤツだとよく言われますけれども、本当にいい人です私は」本人がそう言う通り、物腰は柔らかい。

 だが、話し出すと止まらない。「核兵器の廃絶は即平和には繋がらない。広島市は2020年までに(核兵器廃絶)と言ってるが、核が廃絶されることは絶対ない」という。

 広島市長のスピーチによく出てくる造語「オバマジョリティー」は、プラハの演説で核廃絶を訴えたオバマ米大統領と思いを共にする多数派(マジョリティー)との意味だが、田母神氏は「日本の総理大臣以外の各国のリーダーが、自分の国が損失を被るようなことを言うことは絶対にない。アメリカが核廃絶に向け努力すると言っているのは、それによってアメリカの相対的な力が上がるから」と、市長の考えを真っ向から否定した。

 氏は続ける、「普通の国の政治リーダーは核武装した方がより安全と考えている。核攻撃を抑止できるのは核兵器しかない。核攻撃をするために持つのではなくて、守るために持つわけです。核兵器は戦争を抑制する効果がある」「日本が世界の大国として生きるのであれば核武装を追求すべきではないか。その方が核攻撃を受けません」「『日本は唯一の被爆国だから核武装すべきではない』という人がいるが、これは論理がおかしい。日本は唯一の被爆国だから三度目の核攻撃を受けないために、核武装すべきだというのが普通の考えだと思います」。

 2時間喋り尽くした田母神氏は、入場時と同じく日の丸に一礼し、会場を後にした。心配されたトラブルもなく、講演会は無事に幕を閉じた。

田母神元航空幕僚長、広島原爆の日に講演を強行 | 講演後の主催者の会見
講演後の主催者の会見
 その後、主催者側の会見が開かれ、「日本会議」広島の中尾建三理事長は「私自身も被爆者。今日が祈りの日であることに違いはないが、再び被爆者を生まない方法を考えることも意義がある」と述べた。

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[49767] 田母神氏をめぐる最大の問題は?
名前:信濃阿武
日時:2009/09/04 10:14
田母神氏の歴史や広島、核武装などをめぐる一連の発言は、欧州における極右(ハイダーやサルコジ)の台頭と同じ潮流を感じる。10年遅れで日本でもこの一派が政治の一角を占めることになるのはほぼ確実ではないだろうか。
彼らの発言思想を力によって封じ込めることは、ダモクレスの剣の恐れがある。でわ放置できるのかといえば、それも不味いだろう。
問題は、彼の発言内容は児戯ぎに等しいにもかかわらず、彼の講演会に1000人を越す聴衆が集まることにあるのなかろうか。

・少なからぬ人々が、鬱積された状況のなかで、新しいカリスマを求めている

・マスコミは彼の発言を糾弾する能力を失い、むしろ彼の活動を宣伝している

・歴史認識をもつための教育が公教育の分野でなされないままに、教育の国家管理化が進められている

現在の社会状況に光をさしこませ、権力と一体化したマスコミに変わるジャーナリズムを具現し、教育の民主化を実現することが、田母神氏ら極右のアジテーターを沈黙させるための根本的な方策ではないだろうか。
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[48874] ご参考までに
名前:忍野タカユキ
日時:2009/08/12 02:36
田茂神氏曰く、「『日本は唯一の被爆国だから核武装すべきではない』という人がいるが、これは論理がおかしい。日本は唯一の被爆国だから三度目の核攻撃を受けないために、核武装すべきだというのが普通の考えだと思います」

中尾建三理事長曰く、「私自身も被爆者。今日が祈りの日であることに違いはないが、再び被爆者を生まない方法を考えることも意義がある」

渡辺容子市民記者曰く、「これでは外国人に『3度目の原爆も日本に落とされる』と言われても仕方がないと思わざるを得ません。」  http://www.news.janjan.jp/area/0706/0706117120/1.php
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[48855] 田母神発言の限界
名前:風間勉
日時:2009/08/11 20:49
田母神氏がまたもや核兵器の必用性を訴えています。彼の主張は「核兵器に対抗するには核兵器を持つべきだ」と言う主張に過ぎません。
かって日清・日露戦役で勝利を収め、多くの権益を得た上に、第一次大戦で勝利者の側に回り、ドイツが保有していた中国・南方諸地域の権益を獲得した事は知っての通りです。
しかし軍部の戦力過信に引きずられ、大東亜戦争に突入したのです。その結果は国民の良く知るところです。兵力の増大が過信をもたらし、やがては国を滅ぼす、その良い教訓を得た日本は、例え諸外国から押付けられたとは言え、「平和三原則」を「国民の理念」として誇らしく標榜したのです。
田母神氏の主張にはこの「兵器・武力」を持ったものが陥る「誤謬」に過ぎません。兵力を持ったものはそれを使いたがる、使うことによって自分を過大評価させる。嫌と言うほど体験したことではありませんか。今また同じことを主張する同氏の「神経=頭の構造」が理解できません。
戦場では勝者の進むところ、敵・見方の死屍が累々と横たわるのです。そうした状況を思い描くことが出来ないのは、貴方が受けた職業上の教育からなのです。思い上がらないで下さい。今の世界は「平和」を渇望しているのです。
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10月5日〜10月10日 

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