入院基本料「1点引き上げると相当な金額に」
10月10日の「医療経済フォーラムジャパン」の公開シンポジウムでは、有床診療所や病院が算定する入院基本料の取扱いが焦点になり、中央社会保険医療協議会(中医協)の遠藤久夫会長が、入院基本料を1点引き上げると「相当な金額になる」と指摘。引き上げを行うとすれば、具体的にどれだけ引き上げるのかや、患者の納得をどう得るかがポイントになるとの見方を示し、医療側の考えをただした。
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日本病院会の山本修三会長は、「患者さんのために必要な人を雇ってチーム医療を提供すれば、満足度の向上につながる」と説明した。一方で、入院基本料を具体的にどれだけ引き上げるべきかについては、「まだ具体的な数字は出していない」と明言しなかった。
全国社会保険協会連合会の伊藤雅治理事長は、「現場の実感だと、ここ数年続いているマイナス改定の中で、加算方式は限界に来ている」などと述べ、入院基本料の底上げをあらためて訴えた。
遠藤会長は、現在の診療報酬について「相当批判があり、私自身、適正かどうか疑問を持つものもある。算定根拠がはっきりしていないものも相当ある」と述べた。その上で、医師や看護師によるサービスを担保するため、これらの人員の配置状況に応じて点数が決まる現在の仕組みについて、「努力しないが故にマンパワーを確保できないケースと、努力をしても無理なケースをどこで峻別するべきかという、非常に難しい問題をぎりぎりのところで抱えている」などと述べた。
このほか会場からは、いわゆる「ビル診」など診療時間外の対応が困難な診療所と、総合診療医として地域に密着し、幅広い疾患や時間に対応する診療所の医療費をどう配分すべきか、質問が投げ掛けられた。
これに対し日本医師会の竹嶋康弘副会長は、日医として総合診療医の育成に取り組む姿勢を示す一方、「診療報酬を付ける段階にはまだ行っていない」と、現段階で診療報酬により評価することには慎重な考えを示した。
また、司会を務めた医事評論家の水野肇氏は、「医療費に無駄があるとすれば、一番の無駄はいきなり大学病院の外来に行く患者が多過ぎることだ」と述べ、総合診療医育成の重要性を強調した。
更新:2009/10/13 17:30 キャリアブレイン
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