【社説】燃料節約のため訓練できない空軍パイロット
国会国防委員会が行っている国政監査の資料によると、昨年の韓国空軍パイロット一人当たり年間飛行訓練時間はわずか131時間だった。ここ数年を見ても、2004-06年には134時間、07年は132時間と、わずかではあるが減り続けていることが分かる。空軍の飛行訓練指針によると、パイロットが最高の技量を維持し続けるための訓練時間は年間240時間と定められている。また、中級レベルの維持には180時間、最低でも150時間は必要とされている。昨年の飛行訓練時間はこの最低レベルと比べて19時間も短かった。
1990年代に空軍は年間180時間以上の訓練時間を確保していたが、アジア通貨危機以後、ウォン安の影響で燃料価格が高騰したため、燃料代を節約するという理由で、訓練時間も130時間前後と一気に50時間も短くなった。訓練時間の短縮は当然技量の低下と安全面での問題に直結する。昨年11月にはF5E戦闘機2機が空中で衝突する事故が起こった。これは完全にパイロットの力量不足が原因で起こったものだ。また、ここ10年の間には9件のパイロット死亡事故が発生したが、7件は機体に何ら問題がなく、操縦時のミスや無理な出動などといったパイロット側のミスが原因だった。パイロット一人を養成するのに平均100億ウォン(約7億7000万円)は掛かるという。このように大切に育ててきたパイロットたちが、燃料を節約するためにまともな訓練を行うことができず、それによる技量不足の影響で事故に遭う、という悲惨な結果を招いているのだ。
先進各国の空軍では、たとえ燃料代が高騰し国の経済が困難な状況に陥ったとしても、パイロットの訓練用燃料までは節約しない。各国の2005年の訓練時間を見ると、日本とドイツは150時間、フランス・オーストラリア・台湾は180時間、英国・カナダは210時間だった。米国は戦闘機189時間、爆撃機260時間だ。米海軍空母艦載機のパイロットたちは、艦長クラスの将校も含め、1年に数百時間をかけて空母での離着陸訓練や戦闘訓練を行っている。
北朝鮮空軍は最悪の経済状況とエネルギー不足の影響で、飛行訓練は行っていないという。一時は120時間ほどの訓練時間が確保されている、という話も飛び交っていたが、最近は飛行機を飛ばすことさえできないようだ。しかし北朝鮮の地上戦力は、物量面で韓国軍のほぼ2倍に達する。休戦ライン近くに配備されている北朝鮮の数千の長距離砲は、ソウルや首都圏に住む国民にとって大きな脅威となっている。
韓国空軍はこのような北朝鮮の軍事力を効率的に制圧し、無力化させる任務を負っている。より優勢な空軍力を利用して、北朝鮮の挑発を封じ込めるのが、韓国軍の戦略の基本だ。空軍力は北朝鮮の軍事力に対して前方と後方から攻撃を加え、軍事挑発をできないようにする最高の手段でもある。そのため、たとえ北朝鮮が訓練もできないような状況にあるとしても、韓国空軍までが最低限の訓練時間さえ満たせずに地上でじっとしていてはならない。
800機以上の航空機を保有する空軍が消費する燃料代は年間3000億ウォン(約230億円)から3400億ウォン(約260億円)だが、これに300億ウォン(約23億円)から500億ウォン(約38億円)をプラスすれば、年間150時間という最低限の訓練時間は確保できるという。現在、政府内に存在する委員会は461だ。それらの人件費を節約するだけでも、韓国空軍のパイロットたちは、燃料代を節約するという理由で訓練ができないような状況からは抜け出せるはずだ。
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