“大人の交流”に警視庁が「待った!」 アダルトライブチャットの赤裸々実態とは…
10月12日7時52分配信 産経新聞
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公然わいせつ容疑で警視庁に摘発された会社が運営していたアダルトライブチャットサイト(写真:産経新聞) |
■「コスプレ」「S女」…1万人のチャットガールがスタンバイ
トップ画面で明滅する「スタンバイ」「ツーショット」の文字。その下には顔のアップや下着姿、胸を手で隠したいわゆる「手ブラ」姿など、女性会員のプロフィル画像が並ぶ。スタンバイは「待機中」、ツーショットは「男性会員と1対1でチャット中」という意味だ。
「コスプレ」「ロリータ」「ぽっちゃり」「S女」…。女性のタイプ別に画像が掲載されたページもある。
今回、警視庁が摘発した「ショーガール」は、全国1万人以上の女性会員数を誇るアダルトライブチャットサイト。男性会員は「チャットガール」と呼ばれる女性会員の中から好みの相手を選び、文字や音声で会話をすることができる。女性会員はパソコンに設置したカメラで、自分の様子をリアルタイムで中継。男性会員もカメラを設置すれば、テレビ電話のように楽しむことも可能だ。
こうしたサイトの多くは「ノーマルチャット」「ツーショットチャット」の2つのコースに分かれる。
ノーマルでは複数の男性会員が参加して会話を楽しむのに対し、ツーショットは男女が1対1で利用。女性を“独占”できるとあって利用料金はツーショットの方が高いが、会話がエスカレートするに従い、男性側からの要求に応じて女性が裸になったりわいせつ行為をしてみたりすることもあるなど、性的な要素が強くなっている。
こうした行為について警視庁は今回、公然わいせつと判断したのだ。
■「1対1」でも公然わいせつと判断
「ツーショット内では男女が1対1で会話をするので、公然わいせつにあたるかどうかはグレーの部分だと思っていた。法律上、ギリギリ大丈夫だと思っていた」
警視庁に逮捕されたサイト運営会社「マッシュアップ」(東京都新宿区)社長、森雅登容疑者(48)は、取り調べにこう供述したという。
森容疑者らの逮捕容疑は、ショーガールのツーショットチャット内で、50歳と26歳の女性会員が陰部を見せたり自慰行為をしたりする場面を、チャット相手の男性会員にそれぞれ閲覧させた−というものだ。女性会員らも同容疑で逮捕されたが、既に処分保留で釈放されている。
同社はショーガールを含めて3つのアダルトライブチャットサイトを運営。ショーガールは平成20年度だけで約7億4千万円を売り上げたという。
これまで1対1のツーショットに公然わいせつ容疑が適用された例はなかったが、警視庁の捜査幹部は「会員制をうたってはいるが、誰でも希望すれば会員になることは可能。つまり、不特定の人間がわいせつ行為を認識し得る状態だったといえる」と、公然性を指摘する。
ただ、森容疑者とともに逮捕された従業員の中には「(裸を見せた)責任は会社側ではなく女性側にある」と、“自己責任”を理由に容疑を一部否認した者もいるという。
だが、これについても捜査幹部は「サイト上の注意書きには、衣服を脱ぐなどの過激な行為はノーマルではなくツーショットでやるよう指示する内容のものもあった。会社の方針として、もうけの大きいツーショットへ会員を誘導するようにしていた」と、ツーショット内でのわいせつ行為に会社が積極的にかかわっていたとの見方を示しているのだ。
■人気の秘密は「独特のコミュニケーション」 女性も報酬に釣られて…
風俗ジャーナリストの村上行夫さんによると、アダルトライブチャットが登場したのはネット料金に定額制が登場した1990年ごろ。電話で女性と話すツーショットダイヤルに代わる成人向けサービスとして人気を集めてきた。
「みだらな言葉をあえて文字でやり取りするという独特のコミュニケーション方法にハマる男性も多く、月に300万円もつぎ込んで“チャット破産”する人がいるぐらい」
村上氏は、人気が今も健在だと強調する。“嗜好別”に細分化され、「人妻専門」や「熟女専門」をうたったサイトも登場しているほどだ。
また、手軽に稼げる副業として女性の人気も高いという。
ショーガールのツーショットの場合、男性会員が支払う利用料金は1分250円、1時間1万5千円。女性会員はこのうち、1分100円、1時間6千円を報酬として受け取ることができる。女性側はパソコンの前に座って待機する必要があるため、男性からの指名がなければ待ち時間を無駄にすることになるが、人気が出れば高給アルバイトになり得るのだ。
今年7月には静岡県浜松市内の区役所に勤める女性職員が、チャット中に服を脱ぐなどして約200万円の報酬を得ていたとして、停職処分を受けた。村上氏は「客と直接接触するわけではないので女性側の抵抗も少なく、チャットガールへの応募者は増えているようだ」と話す。
■わいせつ物陳列、児童ポルノには問えず…ハードルは“生中継”
一方で、複数の男性が参加するノーマルチャット中に行為がエスカレートし、サイト運営者や会員が公然わいせつ容疑で摘発されるケースも相次いでいる。
大阪府警は平成13年、女性のわいせつな姿をネット上で流したとして、サイト運営者を相次いで逮捕。今年4月には、主婦や女子大生など約8500人が登録する大規模なサイトを運営していた男らを逮捕している。
だが、「法律が現状に追いついていない」と指摘するのは、ネット犯罪に詳しい奥村徹弁護士だ。
「わいせつな画像を媒体に保存してネット上で公開すると、罰則が懲役2年以下のわいせつ物陳列罪に問えるのに対し、生中継だと6月以下の懲役の公然わいせつ罪にしか問えない」
また、奥村弁護士は「アルバイトで雇った児童を使っている生中継サイトもあるようだが、何かの媒体に画像を記録しているわけではないから、児童ポルノにはあたらない。児童が下着をつけていれば、公然わいせつにも問うことができない」とした上で、「もうかるし、罪も重くないからこうしたサイトはどんどん増えていっている。法律がインターネットを想定しておらず、時代遅れな面もある」と警告する。
警視庁の捜査を受け、ショーガールのトップ画面には現在、こんな注意書きが掲載されている。
《当サイト内のルールとして2ショットも含めすべてのチャットにおいて女性の局部露出並びに局部の露出の危険性のある行為は禁止しております。もしサイト内のルールに違反した場合男性・女性会員は強制退会となる場合がありますのでご注意下さい》
社長らは逮捕されたが、サイトには今日も大勢の会員が訪れている。“大人の交流”への需要は依然として根強いようだ。
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最終更新:10月12日7時52分
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