社説

首相の献金問題/期待が失望に変わる前に

 透明であること、明快であること。旧来の政治手法がそういう方向に改まるかもしれないという予感を集めて、鳩山由紀夫政権は誕生した。内閣の支持率はかなり高い。

 説明すること自体を避けたり、あいまいにしたりするような態度とは無縁の、真正面から向き合った上でのメッセージが期待されている。首相とその周辺も、そこは十分自覚しているように見える。

 しかし、事が自分の疑惑となると、やはりそうはいかないようだ。献金虚偽記載問題での対応が、「政治とカネ」をめぐって何度となく繰り返されてきた光景に似てきた。

 目標に掲げる政策転換の可否ももちろん大きな関心事だが、批判や疑惑の指摘に対してどんな語り方をするかに、有権者は注目している。

 その視線には、すっかり見あきてしまった政治の光景を透明、明快な言動で一新してほしいという期待が込められている。失望に変わってしまう前に、首相はこの問題の語り方を練り直すべきではないか。

 政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いを指摘されているのは、首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書。5万円を超す個人献金の中に、既に死亡した人や献金をしていない人の分が多数含まれていたとされる。

 「故人献金」問題として6月に表面化し、「鳩山由紀夫を告発する会」という団体が東京地検に告発状を提出。地検特捜部は今月に入り、収支報告書に名前を記載された人たちから参考人聴取を始めたという。

 首相は6月末、2005〜08年の4年間に約90人分のおよそ190件・2100万円が虚偽の記載だったことを調査結果として認めた。解雇した元公設秘書が「個人献金があまりに少ない」と心配してやった、原資は首相本人の資金で不正なものではない。そんな釈明だった。

 首相就任会見では「もっと説明を尽くす努力をしていきたい」と語った。秘書が勝手にやったこと、怪しいカネではない、と言うだけでは通らないと認識しているように聞こえた。

 ところが、特捜部の捜査着手が伝えられると、一変する。「当局が調べて事実が判明するでしょうから」「わたしの知る限りはもう話してあります」

 08年分の収支報告書からは約8割に当たる55人の個人献金が削除された。断りなしに名前を使われた支持者たちは「納得できない」と話している。

 今月下旬に始まる臨時国会で野党から追及されるのは目に見えている。もう一度、自前の調査結果を精査して、きちんと説明し直した方がいい。「捜査中だから」とはぐらかす旧来の論法はもう勘弁してほしい。

2009年10月12日月曜日

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