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食料自給率低く、食糧の60%を
     海外に依存しているというけど
          ほんとうのところは・
・・
 

カロリーでとか、依存しているとか、
 「コメも野菜もタバコも酒もひっくるめて
食料として一束」として考えるのが間違いのもと)


まったく性格の異なる自給率計算式で
高低の二つの数字を算出して、なぜ並べて見せるのだろうか

食料自給率の計算法

農業白書では二つ紹介されている。なぜ低い方ばかり強調するのか
 カロリーベース食料自給率では 40%で先進国中、最下位とか
 金額(生産額)ベース食料自給率では  68%でまあまあ

二つの計算方法が日本に出て来た経過

農水省の「食料需給表」には、
1988年から金額(生産額)ベース食料自給率に加えて、カロリーベース食料自給率が併記されていたが、
95年には金額ベースが姿を消し、カロリーベースだけになった。この結果、
1987年の自給率が76%だったものが、
一挙に42%という半分強という数字に劇的に変化させられた。
実態としての自給の量がかわったのではない。計算式だけを変えて、数字をおとしたマジックである。

なぜ自給率の数字を下げるような計算法に切り替えたのだろうか。
88年は牛肉・オレンジ問題が決着した年である。農業交渉の次のテーマはコメだったのである。「低い自給率を示し、コメを守れと主張する論拠にした」のではないか、と当時は噂されていた。

そして最近、また金額(生産額)ベース食料自給率がベールを脱いで登場させられた。
つまり、自給率の計算法は、その時々の政府の都合で出て来たり、引っ込んだり・・・・・・・・
幽霊の存在を疑っている国民の大多数までもが、自給率幽霊を信じ切っている!!

カロリーベース食料自給率の計算式

国民1人が1日に摂取できるように仕向けられている国産の食べものからの熱量・1016カロリー(平成19年)を分子にして、
分母には国民1人にたいし1日に摂取できるように仕向けられている総供給熱量(国産+輸入品?輸出品)・2551カロリーをおき、割り算して100を掛けてパーセントを算出することにしている。答えは約40%になる。
「仕向けられている」ということは、「このカロリー分の食べものすべてを食べている」ということではなく、「食べられるよ、とその人の食卓におかれているカロリー」と考えると解りやすい。このうちなん%かは廃棄されていているが、その分も含まれている。
1人分として毎日2551カロリー分が用意されていて(廃棄食品をいちおう度外視してみる)そのうち1016カロリーだけが国産の食べもので用意されている分である、というものだ。2551カロリー分の食べものが食卓におかれているだけで、実際に食べているのは厚生労働省が発表している(後述)1898カロリー(国産だけではない)と考えるといい。
だが、なんでこんなに大量の食いものを用意しているのだろうか?
答えを小さくしたいから、故意に分母の数字を大きくしたとしか、思えない。このような大きな数字を分母にした理由が納得できない。

金額ベース食料自給率の計算式

2006年の場合を例にとると、
国内生産された農産物の出荷金額・10兆2000億円を分子におき、国内消費仕向け金額として、14兆9000億円を分母に(分母の数字は国産に輸入分をプラスし、輸出分を差し引いている)。答えは約68%になる。日本の食料自給率が68%もの高率になってしまう原因は、分母にあたる国内生産金額が輸入価格に比較して高く、国内顧客の比率が圧倒的に高いからと言われている。計算してみると国内生産金額の約半分に相当する金額の食料が輸入されていることになる。
「国内の生産活動を正当に評価するには、金額ベースも必要」として、今後も続けるようだ。カロリーの少ない野菜でもカロリーの高い農産物でも、金額(生産額)ベースでならば、同等に評価されるということのようだ。
この計算法も日本だけのもので、当然この計算式での国際比較はない。

カロリーベース食料自給率では先進国中最下位だとか

たんなる農水省が推定試算の数字で国際比較するのはどうかと思う。
国際比較は穀物の重量ベースだけしか通用しない
また、欧米人は肉食民族(肉、乳製品などが主食で穀物が副食)、日本人は草食民族(穀物・コメが主食)で農業構造も食習慣・食文化にみあって積み上げられてきているので、摂取カロリーで比較すること事態がおかしい。
世界のどの国もFAOもカロリーベースの自給率計算はしていない。以下のカロリーベース食料自給率は先進国の中で最低という農水省の
推定試算による数字
オーストラリア   237%、
カナダ       145%、
アメリカ      128%、
フランス      122%
スペイン       89%、
ドイツ、スエーデン  84%、
イギリス       70%、
イタリア       62%
オランダ       58%、
次にスイス、韓国そして日本の40%などと。

コメ、野菜など、日本人にとって日常的に大切な食べものについては及第点である、
 数字は品目別重量ベースである。食品、農産物を「食料という束」で考えると間違う
(カロリーでも金額でもなく、重要な穀物の重さで計るのがいい、というのが、国際的な常識)

品目別重量ベース自給率

「農産物の品目別重量ベース自給率」も農水省が毎年公表している。
計算法は分子に国内生産量、分母に国内消費仕向量(国産+輸入量?輸出量)×100である。
1群
米         94%、(主食用としては100%) 
サツマイモ     92% 
ジャガイモ     76%
野菜類       79%(ほとんどの農家が自給している家庭内消費野菜は含まれない)
果実全体としては  39% 
その内、みかん   94%  りんご56% 
きのこ類      81%
食用魚介類     52% (世界自然保護基金・WWFのデータでは漁獲時に40%を廃棄していると)
海藻        67% 
砂糖        32% 
塩         食用は85?100%、工業用(ソーダ向け)を含めると15%になる
(塩は私が工業会のデータから加えた)

2群
小麦   13% 
大豆    5%(食品向けだけに限ると24%)
油脂類  13%
2群は今後の農政の根幹にすえるべきテーマである。特に大豆は重要である。

3群
牛肉      43% 
豚肉      52% 
鶏肉      69% 
鶏卵      95% 
牛乳・乳製品  67% 

3群に表示されている数字には輸入飼料というマイナス要因は加味されていない。1、2群ともに重量ベースであるが、
3群だけは飼料のほとんどが輸入品であるので、カロリーベース自給率の数字を便宜的に使って、輸入飼料分をマイナスすると

豚肉      5%
牛肉     10%
ニワトリ肉   7%
タマゴ     9%
乳製品・牛乳 29%
としてカウントされる。カロリーベース食料自給率はこの数字でカウントしているので、自給率を低めている最大の要因になっている。


「食料として束」に考えて、その中に飼料を加えると、永久に自給率はあがらない。土地が無い。
自給率は食料として一束に考えるのが間違いのもと。
 大豆の、小麦のなどと個々の自給率として考えるべき。

輸入がある日突然ストップしても日本は国レベルではまったく心配ない。
品目別重量ベース自給率に記載されているコメ、野菜その他をみれば一目瞭然である。
足りないのは大豆、油糧種子だけ。コメと野菜はおおむね100%
食料自給率が低いのではなくて、大豆、小麦、ナタネ、飼料の国内生産が低いということだけのこと

日本は食糧輸入大国!と言うが、それはウソ

  国別の農産物輸入額(2006年・国連FAOのデータ) 
アメリカ  679億ドル
ドイツ   528億ドル
イギリス  455億ドル
日本    425億ドル
中国    380億
フランス  373億ドル
イタリア  350億

という数字だが、解りやすく示すために、国民一人当たりの輸入額として換算すると
ドイツ  640ドル
フランス 621ドル
イタリア 596ドル
イギリス 568ドル
日本   340ドル
アメリカ 226ドル
中国     3ドル
である。
農水省のデータとは若干の乖離があるが、それは算入している品目に差異があるから。ここでは国際比較をしているので、FAOを用いた。

財務省のデータでは(農産物輸入額)
1位から10位までのベストテンが紹介されているが、
3位にタバコ、
5位に果物(乾燥ものふくむ)、
6位にアルコール飲料、
10位に冷凍野菜までも含まれている。

勿論ベストテンだから
1位トウモロコシ、
2位豚肉、
4位牛肉、
7位大豆、8位小麦となっている。
大豆、小麦が7位、8位ということは、
タバコ、アルコール飲料の占める割合が決して小さくないことを証明している。

前述している農水省が推定して数字をはじきだしたこれらの国のカロリーベース食料自給率では
イギリスが70%、ドイツが84%、フランスは122%、アメリカは128%と推定して算出されていた!
カロリーでの食料自給率十分のはずのこれらの国々が、日本を上回って、これほどまで大量の食品を輸入している!
日本同様に海外から大量に輸入してはいるが、依存ではないのである。
饑餓人口を抱えた国は貧しい国が多く、これらの国々では海外から輸入したくても、「依存したくても」買えない。つまり海外からの輸入が多いことは裕福な先進国の特徴なのである。
日本は困っているから輸入しているのではない。自国にたっぷりとある食べものを踏みつけて、捨てて、海外の美味しいもの(肉や乳製品)を買いあさっているのである。これは依存とは言わない。コメ、オシンコ、みそ汁を捨てて、パン、肉、バター、チーズを食べることは依存ではなく、より豊かな暮らしを求めてのことだし、国産の有名ブランドのバッグを捨てて、シャネルを求めるようなものではないだろうか。

日本以外の国は輸入だけでなく輸出もしているからである。評論家の人たちは「純輸入大国・日本」というが(数字の上ではその通りだが)、日本はコメ、野菜中心の食文化、また農業構造もそのように作られてきているために、農産物を輸出できるような食文化をもっていないのだ。有り余った野菜を漬け物にして輸出することなどできるわけがない。なんでもかんでも自国を卑屈にとらえようとしている「純輸入大国」という決めつけ方は、「日本人のくせになにを言うのか」と怒りさえ覚える。
日本の輸入量は農業大国・フランスやドイツの半分前後の数字で世界5位である。
日本は輸入大国ではなく、国内自給及第点の国であることの証明である。
(だが、
農水省は輸入が多いのはその国が豊かである証拠だと。貧しい国は輸入できないから、だいたい自給率は高く算出されるという注意書きもしている



日本農業は補助金漬け!  高関税で過保護? もウソ

日本の農業補助金は世界でも最低レベル

農水省の予算は約2兆6000億円。このうち半分(49%)は公共事業費で農業補助金とは無関係な金額である。
(農村の箱もの、農免道路とかの道路工事費で農業には直接関係はないもの)
日本の農家の大部分を占める兼業農家はほんの僅かしか「補助金」というものはもらっていない。
(中山間部、減反など)大部分の農家は兼業農家で補助金とは無関係の存在である。
先進各国では、「直接支払い」による個別所得補償が農業所得の大きな割合を占めている。
アメリカでは農業所得の46%が個別所得補償されている。これに対し、
日本は0.7%でしかない。これでは、日本農業に勝ち目はなく、衰退は必然である。
ヨーロッパ各国では手厚い補償がなされており、
これが自給率の維持・向上の大きな要因になっているとも言われている。


各国が「直接支払い」を無制限に行なえば、農産物の貿易が成り立たない。
そこで、支給額の上限について、国際的な取り決めがなされている。
これをAMS(Aggregate Measurement of Support=助成合計量)という。
図表3はその上限枠のうちのどの程度を各国政府が支払っているかを見たものだが、
アメリカでは可能な上限枠の 75%、EUでも64%を支払っているのに対し、
日本では18%にしか達していない。
日本政府が本気で農業を護ろうとしてこなかったことが、この数字に端的に占めされている。
だが、日本の補助金は多すぎると、外国から非難されている。これは価格支持補助金だから。アメリカ、EUその他外国はこういう交渉にはでてこない
「個別農家への直接支払い」だから。上のカラーの表がそれである。

日本の貿易関税率は世界でも最低レベル(財務省の資料)

日本の食品輸入関税は高く、消費者は高いモノを買わされていると非難する識者がすくなくない。
しかし、公表されているデータでは日本の農作物の平均関税は12%であり、
農作物輸出国であるEUの20%、タイの35%、アルゼンチンの34%よりはるかに低い。
コメ、砂糖、乳製品に関してだけは高関税を維持しているが、こうした最重要品目は全体の1割にも満たない。

そのほかの関税は相当に低く、野菜は平均3%(0?8%。ほとんどが無税)である。
魚は概ね無税で、一部分にのみ5?15%かけられている。

コメの1キロ当たりの輸入関税は340円である。砂糖、バターがコメほどではないが、やや高い関税。
日本のコメは1キロあたり250円から450円ぐらいだから、どんなに安いコメでも、
これだけの関税がかけられると、日本では販売はできない。
この3品だけが高く、あとはほとんど無税か、極めて低い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
乳製品などは概ね20%?40%
牛乳は日本が25%プラス63円/Kg
牛肉は38.5%
牛肉は50%
小麦65円/Kg、米402円/Kg
穀類は政府認定の輸入だと無税になる
日本の関税率表は下記のURLに
http://www.customs.go.jp/tariff/2007/index.htm

アメリカの関税率表は下記のURLに
http://www.usitc.gov/tata/hts/bychapter/index.htm
牛肉は4.4セント/Kgや4?26.4%が常にかかる
牛乳は0.34セント(34円)/liter(≒Kg)(日本よりも高い)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「生活習慣病、メタボ、肥満を国産で賄おう!」というカロリーベース食料自給率引き上げは
健康的な日本食を支えてきた農業構造を不健康型に変革しようというのではなかろうか!

厚生労働省は「平成19年国民健康・栄養調査結果の概要について」という調査結果を発表した(毎年調査・公表されている)。
国民一人1日当たりカロリー摂取量は平均1898カロリーである。(20歳以上の平均は1913)
糖尿病が強く疑われる人は約890万人。糖尿病の可能性が否定できない人は約1320万人、合わせて約2210万人と推定される(国民6人に1人)、と。また、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の状況については、
40?74歳でみると、男性の2人に1人、女性の5人に1人が強く疑われる者又は予備群と考えられる、と。
1898カロリーでも肥満、糖尿病、メタボになってしまっている国民が増えて由々しき問題だと危惧されているにもかかわらず、農水省はなぜ2551を計算の分母におくのだろうか。



「世界の食料需給が中長期的にはひっ迫する可能性もあると見込まれるから、穀物の国内生産をを高める必要あり」
「お金さえだせば、いくらでも食糧は買える」という幻想から目覚める時が来た!と。

この言葉は私が作った表現でない。農水省とその幹部の文言で、自給率の引き上げ政策の前提になっている現状認識である。記述から判断すると「気象異変」が最大の根拠になっていて、非常に説得力がある内容になっている。
ケムトレイル、気象改変装置、サイレント・ツナミ、大旱魃、大規模なハリケーンやサイクロン(それぞれネットで調べてください)・・・・世界のいたるところで食糧生産に壊滅的なダメージが発生している!
人口をたくさん抱える国々の所得が上昇して、肉、乳製品の需要が急増し、飼料用穀物の需要が飛躍的に増大し、価格が急騰したり、投機筋の介入があったりして、日本はしばしば入札に負けるようになってきた。
だが、いまのところ、輸入ストップしても肉と乳製品さえ欲しがらなければ日本はそれほど困らない
(食糧の輸入という場合、穀物のことだと考えるといい)とも言われている。だから、いまのうちに農業生産力をどう維持し強めるかが農政の課題だとも言われている。
饑餓の時は摂取カロリーとか、栄養とかは無関係、目の前にコメが、大豆が、ダイコン、カボチャがどれだけあるかだけで、なんとか腹を満たせばいいのだ。アメリカで最近話題になり、
ブームを迎えようとしているのは「キッチンガーデナー・インターナショナル」運動である。個々の家庭での食べもの自給運動である。

戦時中、動物園の動物は殺された。私が住んでいたあたりでは、食糧がもったいないからとペットは禁止された。
戦後、東京が饑餓にあふれ、裁判官が餓死し、食糧メーデーすらおこなわれていたのに、富裕層や多くの農村には食糧は豊富にあった。私が疎開した農村ではわが家以外すべて白いメシを食っていた。
国レベルでの自給率100%でも食糧安全保障にはならない。
歴史は個々の家庭での自給を教えている(後述)。
隠匿、買い占めなどで、裕福な所へ流れるもの。

肉や乳製品は裕福な豊かな暮らしのためのもので、食料危機になれば動物の飼育は禁止になるのが歴史の教え。
牛肉1キロ作るためには穀物11キロ(豚肉は7キロ、鶏肉は4キロだといわれている)が必要という現実は食糧危機の時には排除される。

食料危機を克服しようとするなら、1991年からのキューバの経験を学ぶことだ。アメリカから経済封鎖を受けていたキューバは、全面依存していたソ連崩壊で石油を含めてほとんどがストップした。この時に政府がとった政策は大規模農業(ガソリンを使う)を個人レベルの小さな農業(手作業)に変換して、ミミズ等の有機物(化学肥料も石油製品)による食料生産に切り替えた。コンクリートもはがして畑にした。

誰が計算したのか年間2500万トンとも言われている廃棄食料も問題だ。

日本で唯一残された穀物・コメの100%自給は死守すべきもの。世界の国々では穀物自給は国防問題であると考えている

世界で安定的にコメ輸出能力をもつのはアメリカとオーストラリアだけになるかもしれない。

現在コメの輸出能力があるのはタイ、ベトナム、インド、アメリカとオーストラリアなどである。しかし東南アジアの国々は人口増、気候変動によって、安定的な輸出国としては信頼できない。しかもほとんどが、日本人が食べない長粒米である。アメリカの輸出可能と言われている国内総生産量の17%というのも、極めて怪しい。年によって異なるが、生産量は約700万トンだから120万トンが輸出可能な量。
このうち「日本人がまあまあ食えるかな」というアメリカ短粒米はわずか2.5%しかない。しかも現地に住む友人から聞いたかぎりでは、カリフォルニアなどで生産されている日本のコメに近い「短粒米」は、食用にも利用されるが米菓やビール向けが主で、「多分日本人の好みにはあわないだろう」といっていた。
従ってこの短粒米を含めて輸出可能な17%には当然インディカ米を大量に含むことになる。オーストラリアで最高値段のコメを何度も食べたことがある。しかし、わが家のヒノヒカリ、コガネマサリ(コシヒカリよりは食味は劣ると言われているが)にもはるかに劣る食味だった。2000年ごろからは中国でも日本向け品種として日本のコメのような粘り気のあるコメが全国的に普及するようになったというが、08年に中国東北部で数日間食べ続けたが、日本の食味からははるかに劣る印象だった。
多分、関税を大幅に引き下げさせられて、輸入されることになっても、大半はインディカ米、中粒米だから業務用にまわされる可能性が高いと考える。
タイ、ベトナム、インド以外で、生産量の多い、中国(1億9000万トン)インドネイア(1億3000万トン)、バングラディシュ()5400万トン、ミャンマー(2450万トン)、フィリピン(1480万トン)などは国内需要にすら満たなく輸入国になっている(2006年FAO統計)。

また、世界のコメ貿易量は2005年現在(センサスでは一番新しい)、世界コメ生産量(籾米ベース)は約6億3,000万トンで、輸出できる国際貿易量はわずかに0.3%でしかない。コメは他の穀物のように輸出するために作られているのではなく、国内消費のために作られ、余剰分が輸出に向けられている程度しかないもの、と考える必要がある。
日本人の食味にあわない外米をあえて輸入可能にするよう要求するというのは、工業製品の海外輸出を促進しようとする国内圧力のほうが強いのではないだろか。
日本はコメを守るために、補助金を惜しんではならない。穀物ではコメしか残っていない。穀物自給は国防問題でもある。
そして次の穀物・大豆、小麦、ナタネ(油糧種子だが)の自給率の大幅引き上げを農政の根幹にすえるべきだ。

日本のコメは安すぎる

国際的には高価だと言われているが
月収3000円や10000円で暮らせる国の人が作るコメの値段と
月収20万円ないと暮らせない人が作るコメの値段を比べても無理というもの。(この非難は国内でのコメ生産をやめろ!と言うに等しい)
日本ではご飯は茶碗1杯が45円で、500ミリリットルの水が120円、コーヒー1杯500円は不自然ではないだろうか。それほど日本のコメは安い。
また日本のコメと外国のコメはぜんぜん違う。外国のコメは日本人の好みに合わない。
1993年の天候異変による戦後最大のコメ凶作で、大量のコメが東南アジアから輸入されたが、食べた人はいなかったのでは。日本人の口に合わないインディカ米、中粒米だったからだ。
同じものだとして比べれば高いかもしれない?が別物でもある。

大規模化はもう十分にすすんでいる

マスコミに登場する大部分の学者や評論家は「規模の拡大で効率化をはかり、価格を引き下げる努力をせよ」と叫んでいる。
だが統計ではすでに大規模化は終わっているとみるべきではないだろうか。
コメでは大規模化した農家が四苦八苦して、農協はこれら大規模コメ農家への特別補助金をだすよう運動をしている。
また最近は農水省がいかに旗を振っても農家の規模拡大は進展しない、意欲ある農家がいない、と学者はいうが、
農水省は「規模拡大のデメリットばかりで、意欲ある農家も二の足を踏んでいる」と白書に書いている状態にある。
理由はあまりにもコメ価格が安いからである。

野菜、畜産の大規模化は十分に進んでいる。規模拡大のメリットがあるから。
規模拡大はもういい(一般的に規模拡大とは穀物生産についていうのだが)
コメの生産量では、全生産量のうち、主業農家(生産量)では37%、準主業農家27%、副業的農家36%となっているのに対して、
コメ以外での主業農家比率は、野菜83%、果樹68%、花き86%、生乳96%、肉用牛93%、豚92%となっている。
これらの数値は、専業化・規模拡大のメリットのある作物や畜産については、すでに専業化・規模拡大が十分に進行していることを雄弁に物語っている。(穀物のコメには規模拡大のメリットがないと認識されている)
コメ農業では産出額に占める主業農家の割合が4割未満と野菜、畜産など他部門に比べて低く、農家戸数でもわずか1割だけと主業農家への生産集中が低くなっている。

「主業農家」とは、農業所得が主(農家所得の50%以上が農業所得)で、60日以上自営農業に従事している65歳未満の者がいる農家をいう
(主業農家といっても専業農家のことではない。兼業農家も含まれている。この条件を満たしているだけである)

農家の種類について説明

05年センサスによる(センサスというのは日本では5年に1回行われる全国調査。05年は最新のもの)
総農家数   2,838,000(252万、09年4月)
販売農家数  1,953,000(175万、同上)

専業、兼業農家という分類法
@専業農家    442,000(14、3%)この中には定年後高齢者農業が含まれる(いわゆる年金専業農家だから、農業収入が僅かでも専業にカウントされる)
このうち男子、65歳以下の農業専門の人がいる農家  186,000(6、6%)
@兼業農家
   第一種兼業農家    307,000  (10.8%)農業収入が他からの収入よりも多い
   第二種兼業農家   1,204,000  (42.4%)農業収入が他からの収入よりも少ない
   自給的農家      885,000  (31.2%)販売しない農家
専業農家は1960年には34.4%だったが、以後10年ごとの調査でなお一貫して減少している
第一種兼業農家も1960年には33.6%だったが、同じように減少しつづけている
第二種兼業農家は1960年には32.1%、1980年には65.1%にまで増加した。

主業、準主業という分類(農家の分類については、1995年から農水省はこの分類法を主に採用している)


主業農家(年間60日以上農業に従事し、65歳以下の男子がいて、他の所得よりも農業所得が多い)
準主業農家(年間60日以上農業に従事し、65歳以下の男子がいて他の所得より農業所得が少ない)
副業的農家(60日以上働く65歳未満の男子がいない農家。農業所得は問題にならない)
経済的には主業農家が一番厳しい。
一番上の主業農家という場合、兼業農家も含んでいる。
それなりに規模も大きく、農業専業でメシが食えた比較大規模農家が、農産物価格の低迷で暮らしが成り立たなくなり、廃業、兼業化が進んだ状況がこれらの数字からわかる。

09年4月現在では
主業農家は約37万戸
農業に主に携わっている人は299万人で、そのうち65才以上が60%を占めている。
また主業農家に多い基幹的従事者(大部分の時間、農業に従事)では、なんと59%が65才以上である。



農地の保全・確保・維持

日本の農業はピーク時は600万ヘクタールで耕作されていたのが、耕作する人の減少でいまや23%程度も減ってしまっている。23%というとあまり感じないだろうが、約4分の1も減少してしまっているのだ。減少傾向はとどまることがなく、年々減少し続けている。(平地のいいところはショッピングセンター、分譲住宅地などへ)
この対策として農地法の改定が論議されている。
従来の耕作者主義から、
誰でも効率的にやるというのなら貸借ができるという提案。そしていづれ売買にもつながりそう。
しかしこの法律改正の中で中心になっているのは平坦な優良な農地であって、一番問題を含んでいる山間部、中山間部は論外にされている。(世界的にも企業、大資本による土地買い取りが進行中。たとえば石油資本がスーダンの広大な土地で自国の食糧にするとか。スーダン国民は飢えたまま・・・・・日経に頻繁に掲載されていた)
また国主導で農地の復活作業が行われているが、
農地の保全は集落と行政でチームを作り、復活後の農地が農地として役立つようにできる体制が作られなければ、
土木工事だけで終わり、再びもとの木阿弥になる。この政策も時々新聞ネタになっている。

「一束として考える食料」ではなく大豆、小麦、ナタネの生産量引き上げを最重点に

多額の補助金(長期にわたるもの)、コメの裏作奨励。転作は小麦、大豆、ナタネを。
コメを作らせないための水張りだの、ひまわりなどはやめたほうがいい。転作というような消極的な施策ではなく、減反した農地に大豆、小麦、ナタネなどを作付けしそれらの生産量を増大させる積極的な施策をより一層強く講じるべき。現在も進められたいるが、補助金があまりにもすくなすぎる。
主要生産地に専用(大豆、小麦、ナタネなどの)の収穫機械の配置
転作田んぼを公共事業での暗渠作り。ここに大豆、小麦、ナタネなどを。
今後,人口が増える見通しはない。水田稲作の田んぼは150万町歩もあればいいのではないか(今は252万ヘクタール)。
これら3品目には野菜並み以上に収入を得られる個別補償の補助金を。

飼料は輸入で賄う体制を十分に。肉、乳製品などには国内畜産を守れる相当な関税と農家への個別補助を。輸入している飼料1,600万トンを自給できる農地は日本にはない(穀物の輸入量は2800万トン残りの1200万トンは食用)。ある程度の自給と輸入で賄うべきもの。
(補助金、補助金と書いているが、農水省予算の半分を占める公共事業費をまわせば十分である。農業への手厚い保護は国民の暮らしを守ることに繋がる。欧米並みの保護を。)

わが国の食糧を支えるのは(あえて「わが国の農業」と言わない)

農業従事者の高齢化と後継者不足を考えると、国民皆農で、みんなで食べものを作るという観点しか残っていない
(国民皆農、新規就農促進、国民すべて兼業農家へ。「キッチンガーデナー・インターナショナル」運動である)

食べもの作りの農民は食べもの作りをなりわいとすることによって食えない暮らしに、
食いものつくりでなく、商工業に携わってお金稼ぎをなりわいとする人は富み食える、そういう世の中がこの社会。

農産物価格はあまりにも安すぎて、農業専業では暮らしにくい水準になってしまっているし、生産量がすでに不足どころか飽和状態になっている。
コメ、野菜、畜産の事例では「規模拡大政策は終焉」したとみるべき。
高齢化、後継者難は農産物価格が今の2倍、3倍以上にならないと解決しない。だがそれは無理。
将来的には他産業、年金などからの収入で食料生産に携わることができる兼業農家、年金専業農家、新規就農でしか
日本の食は支えることはできない。
国民皆農政策である。これは食料安保(個々の家庭での自給)の観点からも重要である。

兼業農家の位置づけ

身銭を切って農業を守っている人たちである。
中小企業を日本の宝だと位置づけているのなら、兼業農家は日本の食を支える宝だ
補助金には無用の農家だ
農業というよりも、地産地消、食育、地域の食料供給コミュニテイとしも育成すべきもの。全国各地ですすめられている
百姓市はその良い例である。

「食料自給率引き上げ」ではなくて「大豆、小麦、ナタネの国内生産量アップ」に全力投球すべきだ

多額の補助金(10年、20年という長期のもの)、コメの裏作奨励で小麦を、転作には春小麦、大豆、ナタネなどを。
主要生産地にこれら専用の農機(ハーベスターその他)の配置を。

日本の食べもの自給、いまのところ良好。だが将来は・・・・・・・・

農業やっても食えないから、みんなやらなくなった。農産物価格さえ高くなって、農業で儲かれば誰もやめない、
農家を金持ちにさせる以外にないが。現実は無理だから・・・・・
兼業農家、年金専業農家、半農半Xの新規就農、家庭菜園の普及など、国民皆農でしか無理

農業、特に穀物自給を国防の観点から考える。
コメ農家への補助金や関税維持は国防費と考えよ、 
コメ輸入は絶対にしない、
新規就農、国民皆農、兼業農家保護、市民農園を食料安保の観点からの位置づけを
大豆、小麦、ナタネの大増産計画実施、

食料(束にした)自給率引き上げ論争も引き上げ政策もむだなこと

全国民に行き渡るだけの食糧が十分にあったとしても、その時になれば、まったく意味をなさない。
私の戦後体験、第二次オイルショック、08年のフリピン暴動などの例。   
パニック、隠匿、売り惜しみ、買い占め、金持ちに集中し、貧乏人にはこない、それが普通だから。
個々の家庭内での自給の確保、準備が肝要
国民皆農、国民総兼業農家、
そしてコメ、大豆、ナタネ、小麦に係ること