亀井発言にエール続々
2009年10月11日(日)10時0分配信 日刊ゲンダイ
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●御手洗会長こそ元凶
亀井静香金融担当相の「家族間の殺人増加」発言が波紋を広げている。
亀井が日本経団連の御手洗冨士夫会長に向かって、「日本で家族間の殺人事件が増えているのは(大企業が)日本型経営を捨てて、人間を人間として扱わなくなったからだ」と述べ、その責任を感じるべきだと詰め寄ったことだ。
殺人増加の責任を問われた御手洗会長は憮然とし、財界からは亀井批判が噴出しているが、当の亀井は「取り消す気は全然ない」と平然としている。亀井流のパフォーマンスという見方もあるが、この発言は正鵠を得ている。「もっとやれ」といいたいくらいだ。
作家の江上剛氏もこう言う。
「小泉政権以降、大企業は大きな利益をあげているのに、社員の収入は抑えられてきた。そこに大不況が襲いかかっているわけです。医療費を払えずヤミ金からカネを借りたり、保険料未納で病院に行けない子どもがいる。やむを得ず、ケガをしても学校の医務室で治してもらっているというのです。その一方で、違法な偽装請負までして金儲けしてきたのが御手洗会長のキヤノンです。庶民が反感を持っていて不思議ではありません。庶民が亀井大臣にエールを送るのは当然です」
実は、家族間の殺人はデータの上では目立って増えていない。
この点は亀井の勘違いだが、殺人の背景に労働環境の悪化があるのは紛れもない事実だ。08年に起きた秋葉原無差別殺人を見ればいい。
「『カプセル家族』の危機―続発する家庭内殺人」の著者で、教育評論家の尾木直樹氏はこう言う。
「最近増えているのは、派遣労働や派遣切りが原因の無差別殺人で、08年の秋葉原事件がその象徴です。昔の経営者は未曽有の不況に際し、内部留保を取り崩してでも社員の雇用を守ろうとしたが、日本型経営のトヨタの系列でさえ派遣切りをして悲劇を招いた。亀井発言からは、国民を守るという強いメッセージが伝わってきます」
次はどんな亀井節が出てくるか。
(日刊ゲンダイ2009年10月8日掲載)